「沖縄本土復帰」41年目の今
2013年 5月 15 日(水)朝日新聞「天声人語」
そのハプニングで、沖縄県議会は丸一日空転した。
14年前の夏、国旗・国歌法案の公聴会が那覇市であった日。
本会議で保守系議員が身ぶりを交えて「天皇陛下万歳」と発言し、周囲を驚かせた
▼翌日、地元紙のコラムがこう書いていた。「時代錯誤か未来の図か県議会で天皇万歳……」。憂える筆の冴(さ)えに共感した記憶が、先月28日にふと浮かんだ。
政府主催の「主権回復の日」の式場で天皇陛下万歳の三唱が起きたと聞いてのことだ
▼沖縄にとっては本土と切り離された「屈辱の日」である。
首相ら多くが万歳する中、知事に代わって出席した高良(たから)副知事は加わらず、「慣れていなかったものですから、即座に反応できなかった」と話していた。
当たり障りのない言葉が、心中の複雑さをうかがわせた
▼きょうの「本土復帰の日」も、手放しで祝える日ではない。復帰に際して地元紙は「変わらぬ基地 続く苦悩」と書いた。41年たち、「要石(かなめいし)」と呼ばれる軍事拠点の現実は動かない
▼加えてこのところは、尖閣諸島をめぐる緊張が、沖縄の負担を案じる世論をしぼませている感がある。
安全保障に冷徹な戦略は欠かせまい。
とはいえ有事の空気を沖縄ばかりに吸わせる歪(ゆが)みを、本土はしっかり知る必要がある
▼それにしても、隣国との関係修復どころか、歴史発言や靖国参拝で事を荒立ててばかりの政治は情けない。
負担に加え、自己満足のツケまで小さな島に回す。万歳三唱の向こうに、自民主唱の「国防軍」が透けていないか。
2013年05月15日
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悪化の一途だね(ーー;)
TPPで地場産業の砂糖キビが全滅の危機とか・・。週刊誌や新聞報道のように今度の参議院議院選挙は 自民党圧勝などという 愚かな国民ではないと信じたいです。