毎日新聞 2013年08月27日 東京地方版
米国のミシガン大学が、ネット上の交流サイト「フェイスブック(FB)」のユーザーの調査から、興味深い結論を導き出した。
このサービスを使えば使うほど気分が落ち込み、幸せ感や満足感が損なわれる可能性がある、というのだ。
研究対象となったユーザーは82人、調査期間も2週間なので「これだけで結論づけるのは難しい」と思う人もいるかもしれないが、
「やっぱり! 私も交流サイトを見ると何だか落ち込んでしまう」と感じた人も少なくないのではないだろうか。
また、別の研究者たちは「FBを利用することによって生じる最も一般的な感情は、嫉妬である」という調査結果を発表している。
ネットに載せるからには、なるべく楽しそうな写真や前向きな話題を選びたい。
「今日も仕事で叱られた」と愚痴をこぼすより、「こんなにおいしい夕食を食べました」とレストランのディナーの写真を載せるほうが、見る人も喜んでくれるに違いない。
そう考えて投稿するうちに、次第に「昨日よりもっと明るい話題を」とか「あの人よりきれいな盛り付けの料理を」などと過去の自分や他人との競い合いになっていく。
そして、「ハワイの別荘でくつろぎました」といった友人の日常を目にしたりすると、「うらやましいな」だけではなく、意味なく「負けてしまった」「あの人だけずるい」と敗北感や嫉妬心を抱くことになるのだ
。これでは、せっかくいろいろな人たちと日常の様子や関心ある話題を共有し、交流するためのサービスがイライラ、ギスギスの原因になってしまう。
他人と比べるのは本当に意味がない、と診察室にいてつくづく思う。
どんな人でもそれぞれ悩みや苦しみがあり、多くの場合それを外には見せない。
私たちは表面に表れたその人の一番良い部分だけを見て、「うらやましい」「それに比べて自分は不幸」と勝手に思い込んでいるのだ。
もちろん、疲れているときに楽しかった旅行の話をされたり、お金で悩んでいるときにぜいたくなディナーをした話をされたりすると、素直に「よかったね」とは言えないこともある。
でも、だからといって「私だけどうして不幸せなの?」と落ち込む必要はない。
「今はネットの交流サイトを見る元気がないな」と思う時期は、思い切ってしばらく離れる勇気も必要だ。
あそこに描かれているのは、その人のすべてではないし、自分と比べるための何かでもないのだから。
なので私の訪問サイトって少ないよ
小たぬきさんは、心の師匠です(*^^*ゞ