2013年09月05日

香山リカのココロの万華鏡:心の嵐、年とともに治まる

香山リカのココロの万華鏡:心の嵐、年とともに治まる
毎日新聞 2013年09月03日 東京地方版

 昭和を代表する大歌手、藤圭子さんが自ら命を絶った。
家族が発表したコメントによると、藤さんは感情が激しく変化する「心の病」に長い間苦しんでいたことがうかがわれる。

診断名などは書かれていないが、めまぐるしく揺れ動く半面、明るい時や歌手としてきちんと活動できる時もあったことから推測すると、不安定さを特徴とする「パーソナリティー」の障害だった可能性も考えられる。


 不安定なパーソナリティーを特徴とする心の病、たとえば「ボーダーライン性パーソナリティー障害」を持ち、頻繁に訪れる感情の波に苦しむ人やそれに翻弄される家族は少なくない。
そういう人たちは、今回の出来事にショックを受けているのではないだろうか。


 しかし、誰の場合でも不安定さがずっと続き、悲劇的な結末が待っているわけではない。

先日、ある学会で精神科医の岡野憲一郎氏の講演を聴く機会があった。
岡野氏は「ボーダーライン」と診断された患者さんを6年後に再び診断したところ、その7割が診断基準を満たさなかった、という米国の研究を紹介し、「パーソナリティー障害というと治りにくいもの、一生続くものという従来の常識は間違っている可能性がある」と話した。
岡野氏の経験でも、特に攻撃性や衝動性といった傾向は、年齢を重ねるうちに落ち着いていくことが多いという。

逆に「むなしさ」などは長く残ることがある。
一般の人でもそうだが、不安定なパーソナリティーも年齢とともに「枯れていく」のだ。


 私の経験では、もともと創造性の高い人が「ボーダーライン」などの不安定な人格を有していた場合、皮肉なことに「枯れ」のスピードが遅いように思う。
60代になっても鮮烈な色彩で激しい絵を描くアーティストは、その年齢でも思春期の頃と同様に、家族をののしったり夜の街に飛び出して行ったりしていた。


 ただ、これは幸いなことだと思うのだが、多くの人はそこまでのエネルギーを保てず、不安定さが押し寄せてきても怒鳴ったり暴れたりせずに、なんとかしのげるようになる。
「むなしさ」が心の中に残っていても、それを周囲と調和させることもできるようになるはずだ。


 今、自分の中で荒れ狂う不安定さに困り果てている人も自分に言い聞かせてほしい。
「この嵐は年齢とともに必ず治まっていくはず」。
そうならなかった藤圭子さんは本当に痛ましい。
せめて私たちが彼女の歌を聴き続けることで、その魂が安らぐことを祈りたい。

posted by 小だぬき at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
(*゜ー゜)vオハヨ♪
寒くなったり暑くなったり
熱で
>┼○ バタッ
Posted by みゆきん at 2013年09月05日 11:09
荷物整理や部屋のかたづけ、そして豪雨では、体調も乱しますね。くれぐれもお大事にしてくださいね。
私も月曜の介助疲れか ダウンの日々でした。
幸に発熱がないので 新聞・雑誌などの流し読みが出来るのが救いです。
ムリだけは 絶対に避けて 静養に努めてくださいね。
Posted by 小だぬき at 2013年09月05日 17:21
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