2013年09月08日

社説:シリア情勢と日本 攻撃の根拠が知りたい

社説:シリア情勢と日本 攻撃の根拠が知りたい
毎日新聞 2013年09月07日 02時30分

  米国のオバマ政権が、化学兵器使用が疑われるシリアのアサド政権への軍事攻撃を検討する中、日本政府が難しい対応を迫られている。


 政府内では、米国が国連安全保障理事会の決議なしに攻撃に踏み切った場合、イランや北朝鮮など大量破壊兵器絡みで国際社会と対立する国々への影響も考慮して、米国の同盟国として支持や理解を表明すべきだという考え方が強い。

しかし、化学兵器が使われたのは間違いないとみられるものの、使用したのがアサド政権なのか反体制側なのかという、肝心な点がはっきりしない。

米国はまずアサド政権側が使用したと主張する明確な根拠を示してほしい。日本は米国に証拠提示を迫るべきだ。


 ロシアで開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議にあわせ、安倍晋三首相は、オバマ大統領と会談し、米国が計画するシリア攻撃について「非人道的行為を食い止める責任感に敬意を表する」と述べ、シリア情勢改善に両国が緊密に連携することを確認した。

踏み込むことを避けた首相の対応は、不明な点が多い現時点では妥当なものと言えよう。


 最大の不明点は、化学兵器を誰が使用したかだ。

米政府の報告書では、8月21日のダマスカス郊外での化学兵器使用疑惑について「アサド政権が使用したと強く確信している」としているが、断定できるのか疑問だ。
仏政府の報告書も同様だ。


 仮に化学兵器を使ったのが反体制側なら、「アサド政権に化学兵器使用を思いとどまらせる懲罰的攻撃」という米仏の攻撃の根拠は崩れる。


 2003年のイラク戦争で、当時の小泉純一郎政権は、安保理決議がない米英両軍の攻撃を支持し、復興支援で自衛隊を派遣したが、開戦の根拠となった大量破壊兵器は見つからなかった。

欧米では反省から検証が行われたが、日本では戦争支持の経緯や責任はうやむやのままだ。


 シリア攻撃に近いケースとされる1999年のコソボ紛争では、安保理決議がないまま、アルバニア系住民の保護という人道的介入を理由に北大西洋条約機構(NATO)がユーゴスラビアを空爆した。
日本は理解を示し、人道復興支援をした。
しかし、人道的介入の考え方には、拡大解釈を生むなど批判もある。


 シリア情勢は、安保理決議にロシアと中国が反対し、安保理が機能しない中、国際社会が紛争にどう対処するかという重い課題を突きつけている。

安保理決議なしの軍事攻撃が制裁の方法として妥当なものかは、なお議論が残るが、まずは最低限、明確な証拠の提示がなければ、攻撃の妥当性を判断しようがない。
政府は、米国がしっかりとした根拠を示すよう外交努力を強めるべきだ。

posted by 小だぬき at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
オリンピック決定したね
これで、福島や被災地の復興に拍車がかかるわ
皮肉だけど(笑)
Posted by みゆきん at 2013年09月08日 14:24
多くの国民が「皮肉」に共感すると思います。

3.11以後も豪雨・竜巻などでの被災者がでているのにね。収入に限りある生活感覚がないから 集中と計画の観念が 偉い人??には抜けているのでしょう。
7年間、首都直下地震がないとのデータ―があつてのことならいいのですが・・・
Posted by 小だぬき at 2013年09月08日 15:47
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