2013年10月29日

[マンションのスラム化]がヤバ過ぎる!

[マンションのスラム化]がヤバ過ぎる!
2013.10.28   日刊SPA

 アベノミクス効果や五輪招致の成功で活況を呈すマンション市場。

ベイエリアを中心に高層マンションが次々に建設されているが、その一方では、経年劣化の激しい“おんぼろマンション”も増加し、なかには深刻なトラブルを抱える物件も少なくない。

 特に築30年を超えるような物件では、住民の高齢化や建物の老朽化、それに伴う空室率上昇や資産価値下落など、問題が山積している状況だ。

 そうして“負のスパイラル”にはまったマンションには、「スラム化」という悪夢が待つ。
共用部にはゴミが溢れ、ほとんどが空室になり、やがて怪しげな人間が住みつく……。
そんな状態に陥ったマンションがすでに首都圏でも増加しているのだ。
その惨状を追った。

◆完全なるスラム化で建物がゴミの山に……

 スラム化の兆候が表れ始めた神奈川県内の中古マンションに住む40代男性はこう話す。

「ウチのマンションは住人の多くが60代以上の年金生活者で、管理費を払わない世帯が多い。
今はもう完全に管理ができていない状況で、共用部は荒れ放題です。

もっと高齢の世帯だと老人ホームに入ってしまう人も多いため、空き家が増えるので、泥棒など治安上の心配もあります。
エレベーターなんて扉が破損したままで、『完全に壊れるまではこのままでいい』なんて言われています」

 “管理不全”の状態が長く続けばどうなるのか。
埼玉県屈指の商業都市にある4階建て分譲マンションBは、そのいい例だ。

 駅から徒歩数分という立地のよさながら、その佇まいはまるで廃墟。
共用部には粗大ゴミが大量に打ち捨てられ、溜まった雨水にはボウフラが湧き、草木は伸び放題でジャングルのようになっている。
なぜこのような惨状になったのか……。
付近の不動産屋が事情を話す。

「あの物件は築25年くらいで、バブル期に建てられたものです。
当初は賃貸用に建てられたものが家主の資金繰りが悪化して売りに出されたのですが、1棟だと買い手がつかず、1部屋ごとに売却した。
でも、正式な分譲ではないので管理組合なんてない。
だから所有者たちはそれぞれやりたい放題ですよ。
共用部が荒れていって、いつの間にかあの状態ですよ」

 近隣の住民もこう話す。

「たぶん今も何人かは住んでいると思うんだけど、外国人も出入りしてたし、どんな人なのかわからない。正直、不気味だよ」

 管理不全がスラム化を招くのは賃貸物件でも同じだ。
JR東京駅から30分ほどの埼玉県のベッドタウン。
付近ではタワーマンションの建設が次々に進むなか、不気味なオーラを放つ5階建てマンションCがあった。

 ツタが絡まる壁面はヒビ割れがひどく、窓ガラスはところどころ割れたまま。
1階には飲食店テナントが入居していたようだが、今は閉店し、その荒廃感を際立たせている。
ただ、この物件、廃墟かと思いきや5階だけ共用部の照明が灯っている。
近隣住民曰く「夜になると電気のつく部屋がいくつかある」そうで、驚くべきことにまだ居住者がいるようだ。

 ちなみに、登記簿によるとマンションCは築40年で、元の持ち主から別の人物に売却され、数年前にその息子2人に相続されている。
付近の不動産屋は「相続で揉めているのか、その頃から荒れ具合がひどくなった」と話すが、いずれにせよ、管理が放棄されてしまっているのは明らかだ。

「地方ではさらに問題が深刻になっています。
売れ残った部屋を大都市在住のサラリーマン向けに投資物件化したマンションなどは、当初から管理組合の機能が弱いところが多い。
そういった物件の増加も、スラム化の進行に拍車をかけています」(日本マンション学会の松本恭治理事)

 このようなマンションが各地に林立する未来が迫ってきている。

◆スラム化に対する行政の対応は?

 老朽化マンションへの対策として、東京都豊島区では今年7月より「マンション管理推進条例」を施行。マンション管理に特化したこの条例は全国初の試みとなった。

同条例はマンション管理状況や長期修繕計画の届け出を義務づけるというもの。
悪質なものはマンション名を公表するという罰則規定を設けたせいもあり、区内の900件以上ある分譲マンションのうち、早くも270件が届け出をしています。
また、管理組合や長期修繕計画がなかったマンションでは作ろうとする動きも出ています」(豊島区都市整備局)

 また、京都市も高経年マンションへの対策を講じている。

「景観条例もあって、京都では老朽化したマンションの建て替えは現実的に困難なので、現状の建物を修繕しながら活用していくしかありません。

そこで、管理運営に問題を抱える物件を『要支援マンション』に指定し、管理士の派遣など、管理に関するさまざまなサポートを行っています。
『要支援』にはすでに47件が選定されています」(京都市都市計画局住宅室)

 ただ、これらの対策はあくまで今後スラム化が懸念される物件が対象で、“予防策”の意味合いが強い。
すでにスラム化してしまった物件への対策はどうするのかという点は、依然不透明なままだ。

◆ブームの裏で増加している 「リノベーション失敗」物件

配管類が劣化し水漏れやカビが繁殖した物件。

 近年、老朽化したマンションの活用法として、リノベーションをしてから売り出す「リノベ物件」が注目されている。
しかし、人気の高まりとは裏腹に、杜撰な工事によるトラブルも続出しているという。
住宅診断を行う個人向け不動産コンサルティング会社・さくら事務所の辻優子氏が話す。

「特に問題が多いのは水回り。
工事が終わって『あとは購入者に引き渡すだけ』という状態の物件を診断すると、洗面台下の排水管から水漏れしていたり、触れただけで管が壊れて水が噴出した物件もありました。
表面上はきちんと補修を行っているように見えても、床下などでは配管の劣化によって水漏れし、カビが増殖しているケースもあります」

 また、それ以外に「驚くほど初歩的なミスも多い」という。

「トイレや台所の換気扇のファンが逆に取り付けられていて、室内の空気を排出せずに“逆流”するケースがありました。
そうなると、臭いは住居内に流れ込むし、コンロの火を逆に煽ってしまう。
ほかにも、本来なら耐火性がある素材を使わなければいけない部分を無視してしまっていた例もあります」

◆参入障壁の低さがリノベ失敗を招く

「洗面台やシンクの水を長時間流し続けたり点検口を目視するのも不具合を見抜くには効果的」と辻氏
 杜撰な工事が行われてしまう背景について、「リノベーション業界がまだ過渡期にあるから」と、辻氏は指摘する。

「実はリノベーションの工事は役所への届け出の義務がありません。
そういった障壁の低さから、次々に新規業者が参入し、なかには正確な知識がないまま施工を行う業者も出てきているのです。

だから、悪意のもとで杜撰な工事を行っているというよりも、『何をどこまでやればいいかわからない』という状態でリノベーションに失敗しているケースが多い。
もっと業界自体が成熟してくれば改善されると思うのですが……」

 老朽化マンションが増え続けるなかで、スラム化を防ぐためにもその活用方法は重要になる。
リノベーションはその一助となるか?

◆老朽化マンションに集う、トラブルを起こす住人たち


 経年劣化の進んだ物件では、スラム化以前に、その予兆ともいえる住人トラブルも頻発している。
特に老朽化と住民の高齢化が激しい’70年代以前に建てられた分譲団地では、その傾向が顕著だ。

23区内にあるT団地の住人が話す。
「ウチの団地には約7000人が暮らしていますが、住人の半数以上は年金生活者。
認知症の老人も多く、ボヤ騒ぎがしょっちゅう起きます。
火にかけた鍋を忘れてしまうようなことならまだしも、階段の踊り場で枯れ葉で焚き火をした老人がいて、消防車が来る騒ぎになった。
窓から生ゴミが投げ捨てられるのも日常茶飯事です」

 そういった団地物件は、違法テナントに狙われることも。

「団地の1階に飲食店が入居したのですが、実はそこは、裏で違法売春の斡旋もしていた。風俗雑誌にその情報が載ったことで発覚し、怒った住人が怒鳴りこんだので退去していきましたが……」

◆格安になった中古物件に粗悪な住人が集まる

共用部の私物などはルールを守らない住人が増えた証しであり、スラム化が進んでいるサイン。
結局は住んでいる人間次第なのだ。

 一般的な分譲マンションでも、老朽化をきっかけに住人トラブルは増加しやすい。
空室を防ごうと値下げするだけでなく、「ペット飼育可」「楽器可」などと諸条件を緩和した結果、“無法者”が紛れ込んでしまうという悪循環だ。

都内にある築30年の中古マンションを7年前に購入した男性が話す。
「ウチのマンションでは最近、空室を埋めるために管理会社がシェアハウスを容認したんです。
すると、どう見ても“堅気じゃない”男が出入りするようになった。
建前上はシェアハウスを運営しているようなんですが、その部屋に出入りしているのは明らかにお水系の女性ばかり。
ほかの住人とは『風俗の待機場になってるんじゃないか?』と話をしています。
管理会社に苦情を言ったんですが、『いや、○○号室はシェアハウスのはずですよ』の一点張りです」

 また、全ての外国人が問題を起こすわけではないが、外国人入居者の増加とともに、コミュニケーション不全によるトラブルも増加。
「中国人住民が増えて、ゴミ捨てのルールを無視するので困っている」、「隣の東南アジア系住人の部屋の騒音が酷い。
深夜なのに十何人も出入りして騒いでいる」などの声は多く聞かれた。

 ほかに、文化の違いからトラブルになることも。神奈川県の築38年のマンションに住む男性が話す。

「ウチのマンションは『ペット飼育可』なので小型犬を飼っているのですが、ある日、入居してきたばかりのマレーシア人男性にウチの犬が気絶するほど蹴り飛ばされて……。
向こうで犬は不浄な生き物とされているらしいけれど、それでウチの犬が殺されたらたまったもんじゃない。
結局、警察を呼ぶ騒ぎになりました」

 こういった住人トラブルが多発する物件の場合、「管理組合の運営やコミュニティ活動が正常に機能していないことが多い」と話すのはマンション修繕支援を行うNPO法人「匠リニューアル技術支援協会」の玉田雄次氏だ。

「特に’81年以前に建てられた旧耐震基準のマンションは、管理組合の規約が緩く、問題に対処できないことも多い。
そういったマンションでは住民の高齢化も進んでいるし、そもそも理事のなり手がなかなかいない場合も多い」

 管理組合が“形骸化”したマンションでは、理事長が不正に手を染めるケースすらある。
都内のある中古マンションでは、「理事長が修繕工事を行う業者からバックマージンを受けていた。
普通よりも速いペースで工事をくり返した結果、必要な修繕積立金がほぼゼロになってしまった」(住人)という。

 そこに住む人間次第で、スラム化はまたたく間に進行するのだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私も今年相続した山の家をコンパネで補強し、そのままにします。
山なので、雪が大変
貸家にしてもいいけど、維持費が大変なの(ーー;)
Posted by みゆきん at 2013年10月29日 13:09
人が住まなくなると 住居って急激に荒廃するのは不思議ですね。青森の山の中だと「温泉の可能性」もでるかもしれませんね。固定資産税と売却の兼ね合いですね。まぁ、ネズミ付き夏の別荘かな・・
Posted by 小だぬき at 2013年10月29日 14:57
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