患者と医者と薬の関係
毎日新聞 2013年12月17日 東京版
患者さんにとっても医者にとっても悩ましいもの、それは薬。
医療の現場にいると、つくづくそう思う。
もちろん、薬全般が患者さんにとって悪い影響を与えるという意味ではない。
「毒にも薬にもならない」ということわざがあるが、薬自体が「毒にも薬にもなる」場合があるのだ。
例えば、今の医療の世界では「なるべく処方はシンプルに」というのが常識になりつつある。
私が若い頃は、「気持ちが落ち込む?それでは抗うつ薬を4種類、少しずつブレンドして出しましょう」という“合わせワザ”がよく行われていたのだが、今はそれよりもなるべく1種類、多くても2種類を十分な量で処方することが推奨されている。
しかし、患者さんによってはあまりに単純すぎる処方に、「医者の手抜きなのでは」などと不安を抱く人もいる。
「4種類を10ミリグラムずつ」なら抵抗がなくても、「1種類を50ミリグラム」と聞くと「そんなに大量に出して『薬漬け』にされるのでは」と警戒心を持つ人もいる。
こういう不安や警戒心が、時として薬の効果を帳消しにしてしまうこともあり、「やっぱりあの医者の出す薬は効かなかった」とか、「かえって具合が悪くなった」ということにもなりかねない。
「えっ、『これ大丈夫?』と不安を抱くことで薬の効果が落ちるなんて事があるの?」と思う人もいるかもしれないが、実は薬が効く、効かないには飲む側の「こころの問題」も結構関係する。
「イワシの頭も信心から」ということわざほどではないが、医師と良い関係が築けている時と不信感がいっぱいの時では、明らかに効果が違うのを感じる。
ということは、まずは「薬を処方してくれる医師を信頼できるかどうか」が大切なのだろう。
話をよく聞いてくれるか。
病気や治療についてわかりやすく説明してくれるか。
別の医師にも意見を聞いてみる。セカンドオピニオンを希望した時に快く紹介状を書いてくれるか−−。信頼の判定ポイントはたくさんある。
そんな話を、長年の付き合いになった患者さんとしていたら、こんなことを言われた。
「でも、その先生を信頼できるか、処方された薬を安心して飲むことができるかって、結局は患者と先生の相性の問題だと思うんですよ」
「じゃ、その相性はどう決まるのか」などと考え出すとキリがない。
患者と医者と薬の関係は、とても大切だけれど、やっぱり悩ましいものなのだ。
いかに病気に負けない健康な心と体をつくるか、
いかに自己治癒力を高めるか、
心と体はかなり深く影響し合ってますからね。
いつも明るい気持ちで、なるべくストレスを作らないように気をつけてます。
明るい気持ちで飲むと薬の効きもいいように思います。
うつ病の私でも 不思議に思ったのは「薬の量」が悪という報道が 一部の現象で流布されていることです。
患者の容態と薬の「内容量」が冷静に報道されていないと思うのです。確かに患者や精神科医の中には悪質な例があることは確かでしょうが、例えば 睡眠剤にしても 精神安定剤・睡眠導入剤・熟睡誘導剤などがありますが、1日の処方なのか 1回あたりなのか患者の病態との関係での問題提起はなされていないと思うのです。
香山さんは その点 診療には丁寧で真剣さがあると思っています。