逃げずに夢を追いかける
2014年1月21日 読売新聞yomiDr.
(努力が報われない恐怖とストレス)
役者の仕事をしていると「私の過去を調べて用意したの?」と思うようなセリフに出会うことがあります。
今、私の手元にある台本に「報われるだけが努力じゃないわ」というセリフがあるのですが、胸にこたえます。
努力しても報われないという経験をたくさんしてきたからかもしれません。
私は大学受験に失敗した高校3年生の時、不合格というレッテルに耐えきれず、ずっと受験から逃げ続けてきました。
一度追いかけた夢をごまかして、逃げ続けていたのだと思います。
それからは、社会人になってもどこに行っても、一度追いかけた夢から逃げたことを後悔していました。
「困難を受け入れ、自分の力で立ちあがることを努力という」とか、
「一度追いかけた夢から逃げたら、どこに行ってもそれから逃げ続けることになる」も辛(つら)いセリフです。
44歳のときに受験に再挑戦したのは、何がそうさせたかと考えたのですが、自分の夢から逃げ続けることに終止符を打ちたかったのかもしれません。
夢を追う限界の年齢になっていたからだと思います。
私の悪い性格に、報われないことを恐れて努力を惜しむというのがあります。
だんだん「もう年だから」という言葉が、上品な言い訳として認められるようになってくると、諦めた事を美談として語ることさえしてしまう。
いつまでも芽が出ないのに俳優業を続けていると、「独り善がり」と中傷されることがありますし、自己満足という言葉を使われることもある。
でも本当にその仕事が好きならきっと続けるのでしょう。
辛いのは、周囲の目がその人の商品価値を決め、それを自分が甘んじて受け止めるしかないときです。
売れなくなると誰からも求められなくなっていく職業です。
だから諦めてしまう人も多い。
映像の世界は撮り直しができますが、舞台は、台本どおりに言わないと次の人がセリフにつまってしまい、全体が止まってしまうという地獄があります。
稽古の時から何度もこれをやってしまうと、とんでもないストレスになっていきますし、間違えない役者さんがそろっていると焦りの気持ちがストレスになり、だんだん夜も眠れずご飯も食べられないという状態になっていきます。
こうしたことを、喉元すぎれば…とストレスにせず、気にしないことが出来る人は、どんなに辛くても夢を追い続けることができる。
夢を諦めないことです。
一度追いかけた夢から逃げ続けると、いつかきっと、どうしてあの時にそうしておかなかったのだろうという後悔に変化していく。
後悔をたくさん蓄積することは、体に悪いストレスです。
それでなくても、自分ひとりの力ではどうにもならないことが人生には多い。
今できると思えるよいことは、ひとつでも多くやっておこうと今年は年頭に考えました。
色々理由をつけてやらないのはきっと、努力が報われない恐怖がそうさせていると思ったからです。
そして色んな病気を誘発させるストレスは恐怖です。
小だぬきさんの疾病の詳しさの原因がわかったようですて。悪くてね調和がとれているから すぐに死ぬことはないですって。すべては元職でのストレスの蓄積のようですね。トホホです。