2014年03月19日

働くママが輝くには…「待機児童ゼロ」への課題

石井苗子の健康術
働くママが輝くには…
「待機児童ゼロ」への課題
2014年3月14日   読売新聞yomi.Dr

(「女性が輝く日本へ」の「女性」とは誰を指しているのでしょう)


 安倍首相が掲げた64年ぶりの「保育」大改革は、「待機児童ゼロ」です。


 ところがスローガンは「女性が輝く日本へ」になっています。
「待機児童」の話なのに、「働く女性が輝く日本」とは書いていないのです。


 母親になってもフルタイムで働き、残業もし、家では妻もやりながら「輝け!」は心身ともに疲れるからでしょうか。


 この20年間に、結婚せずに働き続ける女性が多くなりました。
その一方で、経済的に余裕のある専業主婦になりたい女性も多くなりました。

20年前に流行(はや)った言葉に「自分探しのやりがいのある仕事を選ぶキャリアウーマン」なんてのがありましたけど、最近はこんな甘いムードではありません。


 先日、私の知り合いで35歳の裕福なイケメン男性が真剣に結婚を考え、お見合いの要望を知人たちに出したところ20件以上の申し込みが入ってきたそうで、10件お見合いを実行したといっていました。
恵まれているといえばそうなのでしょうが、できることなら余裕をもって子育てをしたいのは、働く女性の本音なのでしょう。


 それにしても、私にはなにか非常に偏っているように思えます。

保育所で働いている女性たちだって働く女性なのです。
保育士という資格が必要で、中には母親である人も当然いらっしゃいますが、働く女性を応援するために働いている女性たちなのです。


 雑誌「WEDGE」3月号によりますと、「待機児童ゼロ」といいながら、保育士という職業の人気はあまりないそうです。

待遇の問題、重労働、長時間勤務、賃金面で恵まれないことや、中には学生の時から保育士になることを親に反対されているという理由もあり、保育士の資格を取って卒業しても、最初はまず普通の企業で働き、結婚して子どもの手が離れたらパートで保育士として働いてもいいという人が多いとか。
それでは人数は足りなくなる一方です(JPホールディングス調査)。


 男性の保育士が少ないのは、賃金が低く生活が成り立たないことや、周囲が女性ばかりという環境が敬遠されがちだからだそうですが、厚生労働省の「潜在保育士についての全国調査」を見ると、パートで働きたいという保育士が60%以上とのことでした。

「煩わしいことはしたくない、雑務や責任を回避したい思考の人が驚くほど多い」という理由で、フルタイムの働き手が少ないとありました。


 
「担い手不足のワケ」(厚生労働省出典)には、「賃金が希望と合わない」が1位で、他職種への興味、責任の重さ、事故への不安、自身の健康、体力への不安、休暇が少ない、就業時間が希望と合わない、ブランクがあることへの不安、業務への社会的評価が低い 保護者との関係が難しい、子育てとの両立が難しいという順に並べられていました。


 保育士に求められている現実は、朝夕の送り迎えだったり、残業で遅くなる母親への夜間サービスとされていますが、どこも人手不足です。

保健師・看護師・高齢者施設で働く医療従事者にも同じことがいえるのですが、できる人はいるのでしょうが、やりたい人がいないのです。

肉体労働が多いことに併せて、感謝の言葉よりも苦情が多い職業の上に、人間関係に神経も使うところから、「ついていけません」とか、途中復帰した人も、「もう年齢的に無理です」と言われることも多いとか。


 少子化なのに保育士が足りないのを不思議に思われる方もいらっしゃるでしょうが、担い手が少ないのに仕事を続けながら母親になろうとする女性が増えたと考えれば理解できることです。


 子どもを預けても安心していられ、できれば住まいの近所にあって、経済的な料金で、なおかつ長時間預かってもらえる保育園が少なくなるのも不思議ではありません。


 昔、託児所と呼ばれる施設がありました。
夜になっても独りでご飯を食べている子どもを「カギっ子」などと揶揄(やゆ)していた時代がありました。

今の時代は、子どもを預ける理由も多様化してきています。
祖父母が子どもを見ているという家庭も少なくなりましたし、兄や姉が親の代わりに下のきょうだいの面倒を見るという習慣も少なくなりました。
なにもかも昔が良かったわけではありませんが、家族で助け合うは少なくなったことは事実です。


 もし本気で日本の子どもの数を増やそうとするならば、これだけ高齢者が増えてきている日本社会で、何を優先するか、国をあげての重大課題だと思うのです。


 私からの提案は、まずは企業が雇う保育士を増やしていくのはどうでしょうか。
母親か父親と一緒に時間差通勤をするのです。
昼休みは、一緒に昼食を食べる、笑われるかもしれませんが、将来はそんな社会になっているかもしれません。

posted by 小だぬき at 12:59 | Comment(2) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
姪っ子は保育士です
保育の中身を聞くと大変だそうよ
自分の子供は育てられないけど、保育はできるって人もいるとか?
聞くと見るとでは大違いかもです。
Posted by みゆきん at 2014年03月19日 15:33
私の姪っこも 保育士ですが、酷い親だと日時が替わるまで平気で預けて感謝もないそうです。

また 苦情や注文も想像以上なものがあります。

経営者も「不満なら辞めてもいい、代わりはいくらでもいる」と低賃金のままで 深夜預かりだと 終電もなく園泊まり込みもザラとのこと。

日本は 資格は厳格なのに 資格者の生活は無視の貧困な「保育・教育」大切ですね。

32年間教育公務員だった私の 平均所得は 月20万と少しにかならず それが年金額で5割減らされてしまう実態ですもの。
Posted by 小だぬき at 2014年03月19日 16:18
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