憂楽帳:家族の病気
毎日新聞 2014年04月19日 中部夕刊
家族の病気は日常生活を大きく揺さぶる。
妻(52)が昨年2回、脳腫瘍の摘出手術を受けた。
足元がふらつくため検査すると左右の脳の間に子どものこぶし大の腫瘍があり運動中枢を圧迫していた。
7月の手術で取り切れず、11月の再手術で残りを摘出できた。
杏林大学病院(東京都)の塩川芳昭教授らの事前説明は詳細だった。
無数の血管が集まる脳の画像を見せられ、頭の骨を5センチ四方切開することやリスクに及び不安は募ったが、丁寧な分納得もできた。
最初の手術は大幅に長引き、途中で別室に呼び出された。
緊張感でドキドキしたが「頭を開くと血管を伴う種類と分かり止血に手間がかかっている」と再び丁寧な説明を受けた。
退院後の経過は良好で後遺症もごくわずか。
妻は「最初は怖かったが、スタッフを信頼でき2度目は全く不安はなかった」。
十数年前ミスを隠蔽(いんぺい)する医療機関を取材し追及したが今回、印象は異なり、徹底したインフォームドコンセント(十分な説明に基づく同意)と技術の高さが際立っていた。
家族に日常が戻った。
【小出禎樹】