石井苗子の健康術
ゴールデンウィークの混雑 に
ストレスを感じる東京人
2014年5月9日 読売新聞yomiDr.
(昔は「飛び石連休」で、連休ではなかった)
今からおよそ30年前、私は旧・労働省の通訳として、欧米や当時のソビエト連邦に公式訪問をしたことがあります。
目的は、「日本人の労働時間を減らすように」と外国から注意を受けるためでした。
内政干渉ではないかと感じるぐらい日本人は働きすぎだといわれ、段階的に週休2日制になり、日曜日と祝日が重なれば月曜を振替休日としたり、「飛び石連休」から大型連休を「ゴールデンウィーク」と呼ぶのが定着してきました。
まるで社会現象的のように日本人は休日を増やしていき、愛社精神に突き動かさせるように働く日本人を諸外国が非難することで、メンタル面で日本人の国際競争力を下げようとした作戦だったのではないかと思いました。
「今年は○○を入れると何連休となります」と報道されるほど、平日を休むことを遠慮する人も少なくなりました。
今年も海外旅行者の数は健在のようですが、故郷に帰るかわりに、高齢で元気な両親を東京に招く家族も増えたようです。
同じお金の使い方としては、故郷に帰るより東京で自分たちが行きたいところに行く若者夫婦も増え、高齢の両親もそれだけお元気なのかもしれません。
連休中どこにも行かれない私は、高校の同級生3人と都内のホテルでランチをしようかということになり、私が開店10分前に到着するとすでにレストランの前に長い行列ができていました。
順番待ちで私の前に並ぶことになったご家族が、VIPカードを持っているのに予約が取れないこと、飛び込み客と一緒に並ばなくてはいけないことについてホテル側にクレームをつけていました。
なぜ年寄りを郷里から呼んでいるのに、一緒に立たせて待たせるのかと。
レストランの答えは、予約を受け入れると飛び込みのお客様が入れなくなる。
ホテルのレストランならまだ他にもあるので、そちらでご予約をお願いします、でした。
もちろん高額のレストランはいっぱいあります。
そのコーヒーショップは窓から庭が見えて景色がいいので、1人4000円以内で時間制限なく、郷里の両親にごちそうしたかったのでしょう。
そのご家族は納得がいかずご不満の様子でした。
しかしホテル側のいい分もわからないではありません。
ゴールデンウィークの予約を取ることは常連客に嫌われる可能性があります。
これは、いかにも江戸前の考え方です。
商売中心ではないのかもしれません。
普段から土日は平日より高く値段を設定していますから、ゴールデンウィーク特別価格というのは提示していませんでした。
出すのはホテルのオリジナルの味ばかりですので、ちょっとしたぜいたくを味わえます。3000円台のホテルのビュッフェランチ価格は東京のホテルでは通常価格なのです。
それだけ物価が高いということになります。
普通でもこのくらい払うものだという意識が消費者にもあるので、その辺にギャップがあるのかもしれません。
案の定、遅れて駆け付けてきた友人が「なんでこんなに混んでるの?」と不満げなのです。「ゴールデンウィークぐらい、東京はすいてるんじゃなかったの?」と。
思わず私は、「そりゃ、ずいぶん昔の話だよ」と言ってしまいました。
都内は歓送迎会で4月の夜の街は混んでいるし、夜の電車のラッシュはひどいし、せめて連休のど真ん中ぐらい都内のホテルは空いているだろうと思っていたと腹を立てるのも分らないではないですが、「東京人だと思っていばるな!」なんて陰口を言われてしまいそうです。
連休ですが、5月3日が憲法記念日だったりするのを忘れてはいないかと、ふと思ってしまいます。
各所で憲法記念日のイベントは行われていたのでしょうが、今のように憲法改正が盛り上がっていたり、日本人の8割が戦争を経験していない状況となると、真剣に考えた方がいいのではないかと不安になります。
私にとってレストランで並ぶより、憲法改正案のゆくえのほうがよほど気になったゴールデンウィークでした。
都会では・・・(・・;)
私も 旨いと評判の天ぷら屋にいきましたが 30分待ち位でした。
歩く元気があれば、デパ地下試食散歩に挑戦したかったのですが・・・。