2014年05月21日

香山リカのココロの万華鏡:「好意の返報性」に注意

香山リカのココロの万華鏡:
「好意の返報性」に注意
毎日新聞 2014年05月20日 首都圏版

 人間の心理のひとつに「好意の返報性」がある。

わかりやすく言うと「親切にしてもらったら、お返しをしなければ」という気持ちだ。
旅行に出たときに「お世話になった人におみやげを買っていこう」という気になるなど、「好意の返報性」は生活にうるおいを与える大切なものだ。

 しかし、時にはこれを悪用する人もいる。

たとえば日ごろから近所の人たちに親切にしておいて、ある時「今度、ためになるセミナーがあるんだけど、ぜひ行きましょうよ」と誘う。

ふだんお世話になっている人は「行きたくないけれど、たまにはお返しをしなければ」という気持ちになり出かけて行く。
すると連れて行かれた先は高額な商品の販売会で、ほしくもないものを買わされてしまったりする。
とくに日本では昔から「義理と人情」が重んじられており、「世話になったら多少無理をしてでも返さねば」と思う人が多いのではないだろうか。

 15日夕、安倍晋三首相が行った記者会見では、私たちのこの「好意の返報性」に訴えかけるような言葉やイラストが用いられていた。

首相は、今後実現を検討すべき具体的な例のひとつとして、国連平和維持活動(PKO)の他国部隊が武装勢力に襲われた際の自衛隊による「駆け付け警護」を挙げ、パネルを使いながらこう説明した。

「一緒に平和構築のために汗を流している他国の部隊から救助してもらいたいと連絡を受けても、日本の自衛隊は彼らを見捨てるしかない。これが現実なのです」

 そう言われ、笑顔のPKO要員が描かれたイラストを見せられたら、私たちの多くはこう思うのではないか。
「たしかに現地で日本人もお世話になるこんな人たちがピンチに陥ったら、助けてあげるべきだ。
そのためにはいまの憲法の解釈を少し変える必要があるならそれは当然だろう」

 これこそまさに「好意の返報性」だ。
ほかでもこの集団的自衛権の行使の問題では「日本を守ってくれるアメリカ軍が攻撃を受けたら、今度は日本が助けるのはあたりまえ」など、この心理で考えようとする人が目につく。

しかし、本当に「お世話になったからお返しする」というあまりに日常的な感覚で、国の安全保障という重要な方針を決めてしまってよいのだろうか。

パネルのイラストを見て「こんなさわやかな若者が襲われたら、守ってあげなきゃ」と考える人たちのやさしさが戦争への道につながってしまった、などということだけはあってはならない。
posted by 小だぬき at 00:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
(*゜▽゜ノノ゛☆パチパチ
Posted by みゆきん at 2014年05月21日 13:41
ありがとうございます。
今日は みゆきさんのブログの写真と記事に関心を持ちました。海水浴に出かける時は 事前に日時・場所をお知らせくださいね。
Posted by 小だぬき at 2014年05月21日 16:49
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