2014年10月09日

「デザート」は別腹・・・ではない

高崎尚樹の健康ルネサンス
「デザート」は別腹・・・ではない
2014.9.30 読売新聞yomiDr.

 秋らしい青空を見上げ「天高く、馬肥ゆる秋」の一節を思い出すのも、電車内でイネムリするオジサマのお腹なかの脂肪量が気になるのも、健康事業に携わる者の一種の職業病である。

この論で言えば、街を歩く女性の脚をつい見てしまうのも職業病なので、決してイヤラシイ視点ではないことを理解していただきたい。

 さて、「天高く、馬肥ゆる秋」は、馬だけでなく大方の動物も太る。

寒い冬を越すために出来る限りのエネルギー(脂肪)を蓄えなくてはいけないから、実りの秋に食べられるだけ食べるのである。

冬眠前に丸々と太った熊や、ホッペタを極限まで膨らませたリスの写真を読者の皆様も御覧になったことがあるだろう。
この動物の営みは冬に備える本能である。

 その本能は、動物の一種である我ら人類にも適用されることになる。

言い訳の一つとして「デザートは別腹」という一節が登場するが、これはウソである(ちなみに、夏には「ビールは太らない」という身勝手な理論がビール腹の男性を中心に登場する)。  

人は、生きていくためにエネルギーを必要とする。
これを熱量(カロリー)で表現したものを基礎代謝量と言い、人が1日に使う燃料である。

大まかな計算方法では、体重kg×22kcal(キロカロリー)で計算する。
基礎代謝量を1.3倍したものが日常生活に必要なエネルギー量であり、長距離を歩いたり、力仕事をされたりする方は基礎代謝量を1.5倍する。

 体重が70kgの人は、70×22=1540kcalが基礎代謝量となり、その人の活動が日常生活レベルなら1540×1.3=2002kcalが1日に必要なエネルギー量になる。

およそ2,000kcalを食べ、2,000kcalを燃料として使えば、人間は太ることも痩せることもなくバランスの取れた生活をすることになる。

 つまり、使う以上に食べたり、食べた量より動かなかったりすれば太る。
使う量より食べる量が少なかったか、食べた量より多く使えば痩せることになる。

この簡単な計算式に従って、余ってしまったエネルギーは脂肪に形を変えて体内で貯蔵されることになる。

自動車で言えば予備タンクを備えるようなもので、人間の場合はお腹の周りや体内脂肪と呼ばれることになる。

 残念ながらデザートであっても、それは上記の計算式から逃れることはできない。
いくら自分のお腹の中をまさぐっても、別腹なるものは無く、脂肪のかたまりである予備タンクしか見つからないはずである。

◆ 高崎 尚樹(たかざき なおき)
株式会社ルネサンス 取締役常務執行役員ヘルスケア事業本部長
【業務経歴】 1985年、ダイエーグループ入社。ホテル、スポーツクラブ等、レジャー・サービス事業担当。94年、ルネサンス入社。2006年、執行役員ヘルスケア推進部長。08年から現職。 【公的活動】 厚生労働省の健康体力づくり事業財団理事、健康日本21推進全国連絡協議会幹事、健やか生活習慣国民運動実行委員会運営委員、国立健康・栄養研究所協力研究員、経済産業省 次世代ヘルスケア産業協議会健康投資WG委員などを歴任。

posted by 小だぬき at 15:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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