2014年10月14日

解雇ルールってどんなルール

教えてワークルール:
解雇ルールってどんなルール
毎日新聞 2014年10月13日 東京朝刊

◇使用者側の理由が妥当か判断

 解雇は働く人にとって大きな問題です。
収入源を断たれることになり、生活設計の変更など人生を変えかねない大きな影響があるからです。
安倍政権下では、「労働移動しやすくするため」と解雇ルールの緩和が検討されています。
解雇ルールとはどんなルールなのでしょうか。  

Q 解雇ってどういう辞めさせられ方のこと?  

A 解雇は、使用者が、期間の定めなく働く正社員や期間の定めのある非正規社員を契約途中で解除することです。
使用者が一方的に通告し、労働者の合意がない状態をいいます。
定年退職や、契約期間を終えて仕事を辞めることは解雇には当たりません。
解雇には「普通解雇」「整理解雇」「懲戒解雇」の3種類あり、それぞれ解雇の根拠が違います。  

Q 解雇するには理由がいるんだね。  

A そうです。使用者と労働者の力関係は不平等なので、使用者が好き勝手に解雇できないようにルールが定められています。
共通しているのは、きちんとした理由がなく、社会の常識から外れるような解雇は「解雇権の乱用」として無効です。
具体的には「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして、無効とする」(労働契約法16条、解雇権乱用法理)とされています。  

Q なんだか難しそう。  

A 確かに明確な線引きがされていないので、どういう解雇が違法か、分かりづらいかもしれません。
しかし解雇は、職場が一つ一つ違うように、中身は複雑です。
一律の線引きは難しいのです。
外国の解雇ルールも「社会的相当性」(ドイツ)や「真実かつ重大な理由」(フランス)など抽象的な規定になっています。
経済協力開発機構(OECD)の雇用保護規制の強さを調べた国際比較(2008年)では、日本の規制の強さは30カ国中24位でした。
日本が解雇しづらいとは言い難いです。  

Q 解雇が正当かどうかの判断は難しいんだね。  

A 整理解雇や懲戒解雇にはある程度分かりやすいルールがあります。
経営難などで社員を減らす整理解雇は、経営難だけではだめで、4要件を満たす必要があります。  

Q 普通解雇はどうなの?  

A 例えば、飲食店で働く人が食器を割ってしまったとしても「店の皿を割った」という理由だけで解雇することはできません。
また無断欠勤を理由に解雇しても、連絡できないやむを得ない理由があった場合は解雇できません。  

Q 能力不足だって解雇された友達もいたけど。  

A 勤務成績が著しく悪く改善の見込みがなかったり、著しく協調性に欠けて業務に支障を来したりすると普通解雇できる場合があります。  

Q 著しくってどのくらい?  

A そこが重要です。
解雇を通告されたら、まず詳しい理由の説明を求めましょう。
どの部分がどう劣っているのか聞きましょう。
労働問題に詳しい棗(なつめ)一郎弁護士は「解雇通告され、了承するサインを求められても、絶対にその場でサインせず持ち帰るべきです」といいます。
使用者に解雇の理由を書いてもらい、その理由が妥当かどうか法律の専門家などにアドバイスを求める方法もあります。
また、「顔が気に入らない」「気が合わない」など、理由にならない不当な解雇も横行しています。簡単に解雇を認めるべきではありません。  

Q 解雇って突然言われるものなの?  

A 使用者は、解雇の30日前までに予告をしなければなりません。
予告せずに解雇をしたら、最低30日分の賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。また、仕事でけがをした人が労災で休んでいる期間とその後30日間、産前産後休業期間とその後30日間は解雇はできません。
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◆解雇の種類  

◇整理解雇  
会社の経営悪化などで人員整理を行うための解雇。以下の4点を満たすことが必要
(1)整理解雇することに客観的な必要がある
(2)解雇を回避するため最大限の努力を行った
(3)解雇の人選の基準、運用が合理的に行われている
(4)労働者と使用者間の十分な協議が行われた  

◇懲戒解雇  
社員に極めて悪質な規律違反や非行があった時に、懲戒処分として行う解雇。
就業規則や労働契約書に懲戒解雇の要件を具体的に明示することが必要。
例えば飲酒運転で死亡交通事故を起こすなど。  

◇普通解雇  
整理解雇、懲戒解雇以外の解雇。勤務成績が著しく悪く改善の見込みがない、健康上の理由で長期間職場復帰が見込めないなど、労働契約を継続することが困難な事情がある時に限られる。
==============  
◇答える人・
東海林智(とうかいりん・さとし)  
1988年入社。
東京本社社会部で労働問題を担当。
著書「貧困の現場」(毎日新聞社)で日本労働ペンクラブ賞、数々の新聞報道で貧困ジャーナリズム賞を受賞、近著に「15歳からの労働組合入門」(毎日新聞社)。
posted by 小だぬき at 00:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
永久就職物色中(≧m≦)
Posted by みゆきん at 2014年10月14日 15:56
幸せになれるように 慎重に選択をしてくださいね。
Posted by 小だぬき at 2014年10月14日 17:00
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