香山リカのココロの万華鏡:
イラッとしたら「1、2、3」
毎日新聞 2014年10月28日 首都圏版
「最近、診察室で目につく変化はありますか」という質問をよく受けるのだが、ここ数年の印象で答えれば「イライラを訴える人が増えた」となるかもしれない。
「電車の中で大声で話している人を見るとイライラする」「注文した料理が遅くてイライラして怒鳴ってしまった」「子どもが言うことをきかず、いつもイライラしている」など、とにかく何かがやたらに気になって、怒りや憤りの感情をつのらせている人が増えているように思うのだ。
とはいえ、「社会のマナーを何とかしてほしい」と思って診察室に来るわけではない。
必要以上にイライラしすぎだという自覚はあり、「どうすればコントロールできるのか」と相談に来るのだ。
中には「外を歩いていても職場にいても、こんなにイライラしていては、いつかたいへんなトラブルを起こしそうな気がする。
一刻も早くこれを止めてください」とかなり切羽詰まっている人もいる。
感情や衝動のコントロールはとてもむずかしいが、私たちにはありがたいことに理性がある。
理性といっても高度な思考ではなく、「おっと、これはいけない」と自分を客観的に見て、「このへんでストップ」と自分に話しかける力のようなものと考えてもらってよい。
生活していれば、いろいろと自分の意に反することは起こり、そのたびにカチンときたりムッとしたりはするが、そのつど私たちはこの理性の働きに助けられ、「ここで大声をあげるのは大人げないぞ」「ワーッと泣き出しそうだけれどがんばって静かに話そう」などと自分をうまく操縦してきた。
しかし、なぜかそれができない人が多くなっている、ということだ。
私は診察室でよくこんな話をする。
「いまの時代、自分勝手な人も増えていますからイライラがつのるのもある意味、仕方ないですよね。
でも、イライラやそれが発展した爆発は、心のエネルギーをすり減らしますからやめておきましょう」。
そして、こんなアドバイスをする。
「イライラを軽くするのは、それほどむずかしくないですよ。
イラッとしたら『1、2、3』と三つゆっくり数えてください。
その間キレずにがまんできたら、もう大丈夫。
イライラの炎はかなり小さくなっています」
数えているあいだに出遅れていた理性が動き出し、「ここは冷静に」と自分に言い聞かせることができるはず。
イライラは、自分にとっても相手にとっても何の得にもならないのだ。(精神科医)


なんだかな〜
新鮮な空気を吸って息を整える
心が狭くなったのか日本人