親と子の相続税
来年1月改正、広がる課税対象
2014年11月29日 読売新聞
基本押さえ簡単に把握
来年1月の税制改正で相続税が上がる。
都市部を中心に課税対象の拡大が予想され、「お金持ちだけの問題でしょ」とも言っていられなくなりそうだ。
ただし、財産を残す親も、引き継ぐ子も安易な対策は禁物だ。
相続税の基本を押さえ、親子で将来のことを話し合っておきたい。
東京都葛飾区の区民相談では、相続の相談が突出している。
2013年度の「区政・一般」相談の6598件のうち、相続・贈与関連は1487件。
2位の離婚(821件)に大差をつけている。
相談員の福田幸一さんによると、多くは「親が亡くなった。どうしたらいいか」といった、相続に直面した人からのもの。
だが最近は、「相続税が上がるって聞いたが、うちはかかるのか」といった相談も目立ってきたという。
相続税に関心が高まっているのは、税制改正により、15年以降、課税される人が増えると言われているためだ。
相続税は通常、故人の財産総額が多い場合に課せられる。
土地や建物の評価額、預貯金など全財産を合計し、借金や葬儀費用などを引いたものが財産総額。
さらに、この総額から一定額を引いた額が課税対象となる。
この一定額は「基礎控除」と呼ばれる。
今回の改正の最大のポイントは、この基礎控除を4割引き下げる点だ。
計算式だと、現行の「5000万円+1000万円×法定相続人数」が、
改正後は「3000万円+600万円×法定相続人数」となる。
課税対象額はその分増え、これまでは課税なしでも、改正後は課税されるケースも出てくる。
相続財産の多くは土地なので、地価の高い都市部ほど課税される可能性は大きい。
不動産コンサルティング会社、スタイルアクト(東京)によると、平均的な敷地面積を持つ人で比較した場合、首都圏では千葉市やさいたま市などで、関西圏では神戸市内や、兵庫県内の大阪寄りの地域で、土地だけでも新たに課税対象となる人が出そうだ。
子としては、親の財産が課税対象かどうかが気になる。
それを知るには、財産総額を調べる必要がある。
親から聞き出せればいいが、親子の間でも財産の話はしにくい。
ファイナンシャルプランナーの山田静江さんは、親に直接聞かずに財産が課税対象になるかどうかの見当を付ける方法を提案する。
まず、法定相続人の数を調べて基礎控除を計算する。
次に土地の評価額を調べる。
国税庁ホームページで調べた親の家の住所地の路線価に面積を掛けた額だ。
さらに、建物の評価額も。
固定資産税通知書に記載された評価額で、市町村などで調べられる。
これら評価額の合計が基礎控除を超えれば、その時点で課税の可能性がある。
下回るなら、基礎控除から評価額の合計を差し引いた額よりも、預貯金や株など、親の金融資産が多いか少ないかを考える。
「親の昔の年収や生活ぶりから、大体の見当を付けておきます」と山田さん。
預貯金や株などが2000万円以内なら納税は不要。
上回れば場合によって、納税が必要になる。
もしそうでも、現金化しやすい金融資産の範囲内で課税されるので、納税資金の心配はいらない。
「相続の話は親にとって気持ち良いものではない。
子の側から無理に話を持ち出して親子関係を悪化させないように」と山田さんは助言する。
相続のわかり易い図表
土地は売らない限り 収入にならないわけですから、先祖代々の土地を守ることが サラリーマンでは不可能になってしまいます。
これでは 貧困層の固定化につながりかねませんよね。