2014年11月30日

路上生活より過酷な彼女たちの生。これがいまの日本の現実なのか?

路上生活より過酷な彼女たちの生。
         これがいまの日本の現実なのか?
2014.11.20 ザヴィンチNEWS

最貧困女子
 : 発売元 : 幻冬舍 著者名:鈴木大介

 軽い気持ちで読み始めたが、こんなに暗く救われない思いにとらわれるとは…。

最貧困女子。
この本でそう呼ばれているのは、低所得に加えて、
家族の無縁(助けてくれる家族親戚がいない)、
地域の無縁(苦しい時に相談できる、助言してくれる友人、知人がいない)、
制度の無縁(生活保護など、社会保障制度から漏れてしまっている、または制度そのものを知らない)の「三つの無縁」と、
精神障害、発達障害、知的障害の「三つの障害」がさまざまに重なり合って、困窮を極めた生活を送っている女性のことであり、そしてそれはセックスワークの最下層で生きる10代から20代の女性たちとぴたりと重なる。

 セックスワークの最下層、つまり生活のために、その日の寝場所、食べ物を確保するために、身を売って生きている少女たちがいるということに、まず衝撃を受けた。

なんでそんな状態に陥るのか。
彼女たちの生い立ち、堕ちていく過程はほぼ似通っている。

たいてい家出をしてセックス産業に取り込まれ、そこから抜けられなくなっていく。
一見「自己責任」と切り捨てられかねない状況だ。

家出少女=非行少女で、元々素行が悪いのだから、そういう最低の世界に堕ちていくのはしょうがない。
自業自得。
そういう論調が世の中の主流だし、現に私もそう思っていた。

 だが、筆者は丁寧な、そして丹念な取材を通して、なぜ少女たちが非行に走り、札付きの悪ガキ(!)と化し、ついには家出してセックスワークを選んでしまうのか、そしてそこから抜け出せず、最下層に沈んでいくのかを、詳細に明らかにしていく。

あまりにも悲惨で壮絶な世界…。
実際に見て聞いた筆者の衝撃とは比べ物にならないけれど、それでも読むだけでぐったりする。とてもそのまま放置しておくわけにはいかない! が、しかし…。

いったいどうやって、彼女たちを救い上げればいいのか? その問いはあまりにも重い。

 最貧困女子という、まるで戦後の赤線みたいな状況下で生きている女性が、この平成の日本に存在するというきつい現実。
彼女たちの10年後、20年後を思うと、本当にやりきれない。

ずっと身を売るために街に立ち続けるのだろうか、それとも、年をとり、売れるものがなくなり、本当のホームレス(見えるホームレス)となってやっと、社会的支援が受けられるのか…。

粗野で攻撃的、自分から社会との縁を断ち切ってしまう、普通の会話が成り立たない、めんどくさくて可愛くない彼女たち。
その圧倒的な不幸、孤独が見えにくい彼女たちの「現実」を、興味本位の差別の目ではなく、冷静で公平な目で見つめる、そのきっかけを与えてくれる真摯な一冊。
posted by 小だぬき at 18:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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