2014年12月15日

自公3分の2は民意と呼べるのか

自公3分の2は民意と呼べるのか
   「本物の野党」存在せず
ジャーナリスト・田中良紹
2014年12月15日(月)8時23分配信 THE PAGE

 第47回衆議院選挙は、過去最低を記録した前回の衆議院選挙の投票率59.32%をさらに下回り、52%前後の投票率になると見られる。

前回の選挙は有権者のおよそ4割が棄権したが6割が投票した事で、ぎりぎりだが「民意」と呼ぶことが出来ると私は思っていた。

 ところが今回は有権者のほぼ半数が選挙に背を向けた事になる。
その選挙で自公が衆議院の3分の2を超える議席を獲得した事を「民意」と呼んで良いものか、私はためらいを感ずる。

国民の半数が背を向けた選挙

 しかし政治は数である。
選挙結果は与党が大量議席を得た事で、「アベノミクス」は国民から信任され、また過去2年間に安倍政権が進めてきた政策課題も信任されたという話になる。
これからの日本は与党の思惑通りに動く事が期待されている。

 大量議席を得た以上、誰も安倍総理に逆らう事はできない。
安倍総理も「この道しかない」と言ってアベノミクスを突き進む。
しかし大量議席には国民の半数が背を向けたという「出生の秘密」が隠されている。
ちょっとでも躓けば国民の意識が急変する可能性がある。
これからはなかなか面倒な政治になりそうだと私は思っている。

 安倍総理は「アベノミクスはまだ道半ばだ」と言って選挙戦を戦った。
これに有権者は「まだ2年しか経っていないし、そう言うのならやれるかどうかやらせてみよう」という気になった。
積極的支持というより、お手並み拝見の気持ちが強いと私は見ている。

 一方で棄権したのは、何か何だか分からない選挙を政治家が勝手に仕掛けたと怒りを感じた人たちである。
訳が分からないから選挙に行く気にならなかった。
この人たちも積極的にアベノミクスを支持する考えではない。

見えなかった野党の顔

 そういう中で共産党以外の野党の顔が見えなかった。
野党第一党の民主党代表の落選が野党のふがいなさを物語っている。
そしてこの選挙で野党の政治家はつくづく己のふがいなさを痛感したはずだ。

「解散するならいつでも受けて立つ」などと子供じみた強がりを言っていたが、自民党に代わる受け皿を作ることすら出来なかった。

 今の野党は権力奪取のための権謀術数をまるで分っていない。
「政局よりも政策が大事」とか言って、権謀術数を悪しきものだと考える風潮がある。
しかし古今東西、政治は権謀術数である

政策は政治家でなくとも誰にでも作れる。官僚や学者はそのために存在する。
しかし政策を実現させるのは政治家にしかできない。

 どうやって実現するか。
政策を実現するには、まずどこにどれだけの反対者が存在するかを探る必要がある。
そのため心にもないアドバルーンを言って周囲の反応を見る。
次に反対者を切り崩す方法を考え、なるべく気付かれないようにしながら、反対者の抵抗力を削いでいく。

 そうした事をやらなければどれほど優れた政策でも実現しない。
理屈を説いて賛成が得られるのならこの世に政治家は必要ない。
学者や官僚にやらせれば良い話である。
その政治のイロハを理解できる政治家が野党に少ないのである。

 口先三寸でのし上がってきた頭でっかちが多いためか、野党協力には「政策の一致」が必要だと子供じみた事を言う。
向いている方向さえ一緒なら政策的違いがあっても手を握るのが政治だと思うが、そうは考えない。
だからいつまでも野党はバラバラだ。

日本の民主主義が目覚める?

 それがこの国の民主主義を阻んできた。
つまり政権交代を阻んできた。
言い換えれば本物の野党が存在しなかった。
そして国民には政治の選択肢が与えられなかった。

09年の民主党への政権交代を私はうまくいかないと予想していた。
日本の権力構造の内実を知っている者がどれほど民主党にいるかと考えればほとんど無理だと思っていたからである。

 不幸にも私の予想通り民主党政権は崩壊した。
ところが国民の民主党に対する期待は大きかったらしく、民主党政権に裏切られた思いの強さが前回の総選挙の過去最低の投票率となって表れた。
私は期待などしていなかったのでがっかりもしていない。
本物の野党を作るための一つの段階だと思っていた。

 そして生まれた安倍自民党政権は野党時代に培った権謀術数をいかんなく発揮している。
その一つが今回の解散・総選挙に現れた。
まさに自らの延命のためだけに投票率を下げさせる選挙を仕掛けてきたのである。
そして思惑通りに最低の投票率を記録し与党は圧勝した。

しかしそれは同時に国民の半数が背を向けた選挙となり、選挙の正統性に疑問を抱かせる事にもなった。

 この選挙で大敗した野党は根本から野党の在り方を考えざるを得ないところまで追いつめられた。
ここで今の野党が大人に脱皮できるかどうかが問われている。
そうした機会を作ったのが今回の総選挙だと考えれば、最低の投票率が日本の民主主義を目覚めさせる事になるかもしれない。
posted by 小だぬき at 10:19 | Comment(4) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
選挙結果は暗澹たる思いで茣蓙居ます。
日本(にほん)國は如何なるんでしょうなぁ。
Posted by 紋狗 悠之輔 at 2014年12月15日 11:48
私も暗澹たる思いで 開票結果を見ていました。

ただ 面白しろいもので 5百7十万の人が「日本共産党」と比例で書いたことに驚きと希望があると思います。前回より投票率が下がっていても 前回より多くの人が 投票所に足を運び 共産党に1票をいれている事実は貴重なものです。
まだまだ「民主主義」が消えたわけではありません。
来年は 統一地方選挙。地方から今度は中央を包囲していきたいものです。
Posted by 小だぬき at 2014年12月15日 12:01
比例当選・・いらないです。
Posted by みゆきん at 2014年12月15日 12:47
本来なら 全議席が比例が決まるのが 政党政治としては本堂です。死に票が出ない点で・・・。

選挙区だけなら 中選挙区に戻しての複数当選にすべきでしょうね。

一長一短はあるにしても よりよい仕組みにいつも変えていく姿勢が大事だと思います。
Posted by 小だぬき at 2014年12月15日 17:27
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