2014年12月23日

2人に1人が「拒否・放棄」あなたも親の介護は丸投げですか

2人に1人が「拒否・放棄」
あなたも親の介護は丸投げですか
(PRESIDENT Online )相沢光
2014年12月20日(土)配信

■親の介護を
深刻に受け止めない人たち

昨年のちょうど今頃、私は父親の介護に追われていました。
体の衰えとともに認知症が進行し、昼夜を問わず呼び出されて疲労は蓄積。
精神的にも不安定になっていました。
介護をしていたのは約1か月半という短い期間でしたが、嵐に見舞われているような日々でした。
(略)
父の死と同時に介護の当事者としての役割は終わりましたが、介護を体験したことでテレビなどのメディアで取り上げられる介護の事例は身近な問題として受け止めるようになりました。

取り上げられるのは介護鬱や介護離職といった大変な話ばかり。
現在、600万人近い要介護者がいるようですが、その家庭の多くが、私が体験したような、つらさを味わっているのだな、と思っていました。

ところが、必ずしもそうとは限らないことを、つい最近会ったケアマネージャーから聞きました。
介護現場の現状について介護用品レンタル会社のIさんという人に私はしばしば尋ねます。

介護用品レンタルの担当者は多くのケアマネージャーと接します。

そうした立場上、ケアマネージャーの良し悪しを客観的にジャッジできるわけですが、そのIさんが「ベスト・ケアマネージャー」と語るFさんを紹介してくれました。

そのFさんが開口一番こう言うのです。
親が要介護になっても、他人事みたいな感じで、そう深刻に受け止めず、我々介護サービス事業者に介護を丸投げする人が結構いるんですよね」

ケアマネージャーは介護福祉士や社会福祉士、看護師などの資格を持っていて、5年以上の実務経験がないと受験できない難関資格です。

ホームヘルパーとして介護業界の門をたたいたFさんは、当初「自分の親が大変な状況になっているのだし、9割ぐらいの人は真剣に介護に取り組むだろう」と思っていたそうです。
ところが、現実はそうではありません。

要介護状態になった親の心配をする素振りは見せず、むしろ冷淡。
自分の手で介護をすることはほとんどなく、サービス事業者にすべてを任せたいという態度をとる人が、かなりいるのです。

世の中にはさまざまな親子関係があります。
子どもの頃、親から虐待を受けていた人もいるでしょう。
そこまでいかなくても、意見が対立するなどして冷え切った親子関係にある人もそれなりの数いるはずです。

Fさんは「家庭の事情は外からうかがいしれないものですが」と前置きをしたうえで「でも、それほど親子関係に問題があるとは思えない人でも、親の介護なんかしたくないという人が結構いるんですよね」といいます。

ケアマネージャーとして、多くの要介護者とその家族と接してきた今、親の心配をし前向きに介護に取り組む人と、やる気がない人の比率は半々ぐらい、という感覚になっているそうです。

■介護丸投げ派は、
介護保険支給制度にも無知

親が要介護と認定され、介護保険が適用されるようになると、さまざまな介護サービスが1割負担で利用できるようになります。
しかし、案外知られていないのは1割負担で受けられるサービスが要介護度によって限度があることや、介護保険の「単位」の計算がどのように行われるのか、知っている方は少ないのではないでしょうか。

介護が始まる時、ケアマネージャーがその説明を簡単にするのですが、私などは目の前の介護のことで頭がいっぱいで耳に入ってきませんでした。

介護が終わり、介護の問題に関心を持つようになって「単位」や利用限度のことがわかってきたというのが実情です。

長い期間に渡って介護をしている人は単位のことも理解するようなるでしょうが、やる気のない人はそんなことを学ぶ意識もないわけで、どれだけ多くのサービスを受けても1割負担でいいと思っているはずです。

ここで介護保険の「単位」について簡単に説明しておきます。

介護保険による支給限度額(月額)は「単位」で表わされます。
その単位数は現在、こうなっています。

要支援1=4970
要支援2=10400
要介護1=16580
要介護2=19480
要介護3=26750
要介護4=30600
要介護5=35830

基本的にはこの単位に10円をかけた額がひと月あたりの支給限度額です。

要介護3と認定された私の父の場合は、26750単位×10で26万7500までが支給限度額で2万6750円が自己負担額。
この「単位」を超えるサービスを利用した場合、1割負担ではなく全額負担になります。

(余談ですが、「だったら最初から10をかけて金額で表わせばいいじゃないか。
なんで「単位」なんて解かりにくい言い方をするんだ」という人がいるかもしれません。
しかし、厳密にいえば加算額が地域によって微妙に異なるのです。
たとえば1級地=11.26円、2級地=11.05円といった具合。
地域によって物価や人件費が異なるため、「単位」に地域別の加算をし補正しているわけです)。

「単位」はサービスの内容や所要時間、サービス提供者の人数、利用する時間帯などによってさまざまです。

うちが利用したサービスを例にとると、まず訪問看護師が「30分以上〜1時間未満」の利用で834単位、2人以上の看護師さんに来てもらっていたので、これに402単位が加わり1236単位(夜間や早朝、深夜の場合はさらに加算される)。

訪問看護師には週に2回来てもらっていたので、月にすると8回。
上限の26750単位中、訪問看護師のサービスだけ(1236×8)で9888単位くらいが費やされることになります。
この他にも、訪問入浴とホームヘルパーを週1回ずつ、介護用品のレンタルも利用していたので、要介護3の上限単位の半分くらいは利用していたと思います。

■生み育ててくれた人であっても ケアマネージャーは要介護者とその家族の状況を見て、どの介護サービスが必要かを考え、単位を計算しながらケアプランを立てるわけです。

そこには1割負担を超えないようにしたいという配慮もありますし、限られた財源(介護保険料50%、国や自治体の公費=税金50%)が頭にあり、できるだけ抑えたいという意識が働くこともあるようです。
もちろん利用者が必要としているのなら限度枠ギリギリまでサービスを提供してくれますが。

うちの場合は私が介護をしていたこともあって、限度枠まで余裕がある状態でしたが、自分で介護をする気がなく、それを介護サービス事業者に丸投げしてしまおうとする人は、ケアマネージャーの配慮などお構いなしに、多くのサービスを要求したりするようです。

もちろん上限を超えれば、そのサービスは利用者の全額負担になるわけで、ケアマネージャーもそれを説明するそうですが、なかなか理解してくれない人もいるといいます。

また、自分で介護をせず介護サービス事業者に任せるケースは、どうしても独居か老老介護になります。
ひとりのケアマネージャーが担当するのは最大39人。
そのなかでも独居の人はどんな状況にあるのかチェックする必要があるため、1日に1回は訪問するようにしているそうです。

それが仕事とはいえ40人近い利用者に目配りをしたうえ、そうした独居の介護者の見守りをするのは大きな負担になります。

Fさんは、そうした負担の原因となっている親の介護をしようとしない人がいるのも仕方がないと受けとめているようです。

ただ、こうも言っていました。
自分を生み育ててくれた親が要介護になっているんです。
どのような事情があるのか分りませんが、少しは心配し、介護しようとする気になるのが人というものじゃないですか。
そういう感覚がない人が結構いることには暗然としてしまいます」
介護の現場にはこうした現実があることを知り、驚いたことはいうまでもありません。

相沢光一=文
posted by 小だぬき at 06:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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