再び120円台 年の瀬円安地獄
「物価上昇率ランキング」
2014年12月26日 日刊ゲンダイ
為替相場で約2週間ぶりに1ドル=120円台を付けた。
米GDP(7─9月期)の上方修正で、米経済の回復基調が鮮明となり、ドル高・円安が進んだ。
株式市場は円安を好感。
前日比219円高と5日続伸し、兜町は年内の「日経平均1万8000円」と色めき立っている。
だが、庶民生活は円安地獄にまっしぐらだ。
輸入価格の高騰で値上げラッシュは続き、来年1月からは「カップヌードル」や「一平ちゃん生麺」、冷凍食品、食用油など生活に密着した商品が一段と値上がりする。
安倍政権がスタートした2012年12月は1ドル=85円水準だった。
円安は40%以上も進み、平均的な家庭(2人以上世帯、年収600万円)の家計負担額は年38万円に達する。
■食品の凄まじい上昇
どんなモノの値上がりが激しいのか。
消費者物価指数(10月)を基に調べたところ、この1年間に最も上昇したのは公立高校授業料(524.4%)だった。
公立高校の授業料無償化に所得制限が設けられたための上昇なので、円安とは無関係だろうが、仰天だったのは肉や魚、野菜といった食品類の上昇率の凄まじさだ。
塩さけ(25.1%)、キャベツ(22.0%)、牛肩ロース輸入品(18.7%)、たこ(17.3%)などが上昇率の上位に並ぶ。
「1年前(昨年10月)のドル円相場は1ドル=100円水準でした。
円安が20円進んだことで、多くの食料品が値上がりした。
消費増税分(実質2.85%)を差し引いても2桁の上昇率とは驚きです」(市場関係者)
悲劇は家計だけではない。渡米して臓器移植を望む患者は、数千万円単位で費用が膨らんでいるという。
米国に留学を決めた学生も、想定以上の学費増大に頭を悩ます。
年末年始の海外脱出組は「円パワー」の暴落を実感することだろう。
「この先、ドル高(円安)が止まるとは考えにくい。しばらくは07年6月に付けた1ドル=124円14銭を目指すでしょう。
早ければ、年明けにも到達すると思っています。
その後はテクニカル分析上の節目である126円、130円、132円と円安が進む可能性があります」(マネーパートナーズの武市佳史チーフアナリスト)
物価はもっと上がることになる。アベクロコンビの円安誘導策がもたらした「悪い円安」で、庶民は暗い年の瀬を迎えなければならない。
食料品の値上げ、特に 野菜・果物類の値上げは 介護家庭を直撃しています。
年金や生活保護の減額、介護自己負担の増額などで 物を買いたくても躊躇する 今のインフレ誘導は 疑問を感じます。