<幸福は、ごはんが炊かれる場所にある。>
2014年12月31日 東京新聞「筆洗」
<幸福は、ごはんが炊かれる場所にある。>
何年か前のお弁当屋さんのコピー、宣伝文句である
▼何も家庭だけに限らない。
どこだろうとごはんが炊かれ、そこに誰かが集まって、食べている空間には幸せがあるという。お書きになったのはコピーライターの岩崎俊一さん。
二十日に亡くなった。六十七歳
▼<年賀状は、贈り物だと思う。>
<人生は、冬ではなく、春で終わりたい。>
<がんばる人の、がんばらない時間。>。
いずれも、心に刺さるというよりも、心の上にポッと積もり、それがいつまでも解けない雪のような作品である
▼<ごはん>のコピーには裏話がある。
小学生の時、勝手に「荒れた家」と思っていた家の少年が夕方、炊きたてごはんのおこげで作った、おいしそうなおにぎりを食べていた。
それを見て「なんだ大丈夫じゃないか」と安心したそうだ。
その記憶でこのコピーができた
▼<しみしみと一人はさむし鐘の声>永井荷風。
「しみしみ」が切ない。
独り暮らしの世帯が増えている。
年末年始さえ、誰かと「ごはんが炊かれる場所」を共用できにくい時代になっている
▼家族を亡くし、一人で年越しをする若者たちに、一緒に過ごそうよと呼び掛けている女性の記事を読んだ。
家族ではない。
それでも、その場所には<幸福>な時間がきっと訪れる。
そう信じる。
小欄もこれにてお開き。良いお年を。


したっけ。
今年はお世話になりました。
来年もよろしくお願いいたします。
来年もよろしくお願いいたします。