2015年01月01日

特集:2014 重大ニュース

特集:2014 重大ニュース
毎日新聞 2014年12月31日 東京朝刊

 2014年に発生した重大な出来事をまとめました。
※文中の年齢、肩書は当時 海外は現地時間  

◇首相、長期政権へ足場

  安倍晋三首相は11月18日、消費税率10%への引き上げの1年半延期を巡って衆院解散を表明し、12月14日投開票の衆院選で与党の自民、公明両党は衆院の3分の2の議席を維持した。
首相は7月に集団的自衛権の行使容認を閣議決定して強い批判を浴び、政権の「看板」の景気回復は今春の消費税8%への引き上げなどで足踏み。
9月の内閣改造後、閣僚の不祥事も相次いで内閣支持率の低下傾向が続き、じり貧を恐れた首相は解散に打って出て、長期政権へ足場を築いた。

 首相は第1次政権で頓挫した集団的自衛権の行使容認を強硬に求め、自民、公明両党の協議が山場を迎えた6月、閣議決定に「集団的自衛権」の文言を盛り込むよう指示した。

 政府・与党は閣議決定で、従来の「武力行使の3要件」に代わる「新3要件」を設定。
日本が攻撃を受けていなくても「我が国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険」があれば、自衛隊が武力行使できるとした。
さらに「国際法上は集団的自衛権が根拠となる場合もある」と明記、戦後の憲法9条解釈の大転換に踏み切った。
当初は行使容認に反対していた公明党も押し切られ、その後釈明に追われることになった。
 首相は9月3日、政権発足後初の内閣改造を行い、12年末から維持してきた閣僚メンバーを入れ替えた。
人事を巡る自民党の不満を抑える狙いだったが、目玉の女性閣僚のうち2人が「政治とカネ」を巡って10月に辞任した。
 さらに「地方に景気回復の実感がない」と経済運営への批判が出始め、毎日新聞の世論調査で今夏以降、内閣支持率は40%台と伸び悩んだ。

 首相は第2次政権で初めて迎えた「逆境」を打開すべく、衆院解散を決断。
自身の経済政策「アベノミクス」を公約の前面に押し出し、株価上昇などの成果を訴えて、経済問題に争点を集中させた。
首相の思惑通り、与党は衆院の3分の2を維持して勝利すると、12月24日召集の特別国会で安倍氏を首相に再任。
第3次安倍政権が発足した。

 一方、首相は11月10日、民主党政権時代から緊張が続いてきた中国の習近平国家主席との首脳会談を北京で約2年半ぶりに実現させた。
米国など国際社会は、日中の偶発的な衝突が全面戦争へ発展することを懸念していただけに、関係改善の第一歩は「安倍外交」の成果となった。
ただ沖縄・尖閣諸島を巡り日中が対立している問題は事実上先送りされ、今後の火種として残った。【松尾良】  

◇青色LEDにノーベル賞

 2014年のノーベル賞は、物理学賞に、青色発光ダイオード(LED)を開発した赤崎勇・名城大終身教授(85)、天野浩・名古屋大教授(54)、中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)の日本の3氏が輝いた。
平和賞は、教育の重要性を訴えるパキスタン出身のマララ・ユスフザイさん(17)と、児童労働根絶に取り組むインドのカイラシュ・サティヤルティさん(60)が同時受賞した。

 日本のノーベル賞受賞は12年の山中伸弥・京都大教授(医学生理学賞)以来2年ぶり。
日本の受賞者は、米国籍の中村氏と南部陽一郎氏(08年物理学賞)を含め22人となった。  LEDは1960年代に赤と暗い緑が実現。
フルカラーを表現するには青が必要だが、「20世紀中の実現は不可能」とも言われていた。
赤崎、天野両氏は材料の窒化ガリウムの結晶化を成し遂げ、中村氏は実用的な明るさの実現に不可欠な技術などを開発した。
青の誕生によって消費電力の少ない白色LED照明が実現し、地球温暖化対策などに貢献した。3氏は12月10日にスウェーデン・ストックホルムで開かれた授賞式に出席。
個性的な人柄やライバル物語も注目された。  

◇平和賞マララさん

 平和賞では、敵対する印パ両国からの同時受賞は初めて。
12年にイスラム武装勢力パキスタン・タリバン運動(TTP)に銃撃されたマララさんは、全てのノーベル賞を通じて史上最年少の受賞者となった。
12月10日にノルウェー・オスロ市庁舎で授賞式と記念講演があり、マララさんは「学校の教室に誰も生徒がいない時代は私たちで最後にしよう」と呼びかけた。
サティヤルティさんも「子供の夢を否定することは最大の暴力だ」と強調した。
 パキスタンでは12月16日にタリバン運動が学校を襲撃し、生徒ら140人以上が死亡。マララさんは「私たちは絶対に負けない」との声明を出した。【千葉紀和、ニューデリー金子淳】  

◇川内・高浜原発、再稼働へ

  東京電力福島第1原発事故から3年がたち、「原発回帰」が鮮明になった。
 政府は4月に閣議決定した新しいエネルギー基本計画で、原発を「重要なベースロード電源として活用し再稼働を進める」と明確に打ち出した。
使用済み核燃料からウランやプルトニウムを取り出して再利用する核燃料サイクルも推進し、ほとんど稼働実績がない高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)も延命した。

 一方、再稼働の前提となる原子力規制委員会の安全審査は長期化した。
14原発21基が審査を申請済みだが、最大の焦点である地震や津波の想定を引き上げるよう規制委が要求し、電力会社と激しく対立したためだ。
規制委は3月、最初に想定をクリアした九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)について、人員を集中して優先的に審査することを決定。
川内原発は9月に審査に合格し、新規制基準に適合した最初の原発になった。
11月には伊藤祐一郎・鹿児島県知事が「やむを得ない」と再稼働に同意した。
川内原発は来年3月以降に再稼働する見通しだ。
 12月には関西電力高浜原発3、4号機(福井県)でも事実上の合格証となる審査書案を規制委が了承。
政府は川内原発をモデルに他の原発の再稼働も進める方針だ。
だが安倍首相が再稼働の要件として「規制委が安全性を確認した原発」と述べる一方、田中俊一規制委員長は「安全とは言わない。
再稼働にはコミットしない」と述べ、事故時の責任の所在は不明確なままだ。
 運転開始から40年を超える老朽原発を巡る議論も加速した。
来年7月までに運転を延長するか廃炉にするかの判断が必要な老朽原発は7基あり、政府は10月、各電力会社に早期の判断を指示。
関電は美浜原発1、2号機(福井県)の廃炉の検討に入る一方、より出力の大きい高浜原発1、2号機(同)では12月、運転延長に向けた「特別点検」を始めた。【酒造唯】

◇秘密保護法施行に懸念  

安全保障に関して国が指定した秘密を漏らした人に厳罰を科す「特定秘密保護法」が12月10日施行された。
政府は法律の整備により、米国などと政府間の迅速な情報共有が可能になると意義を強調する。一方、情報公開や公文書管理制度が未成熟なため、都合の悪い情報が隠されたり、文書が捨てられたりして政策の検証ができなくなる恐れを懸念する声も出ている。
 秘密保護法は
(1)防衛(2)外交(3)スパイ活動などの防止(4)テロ防止−−の4分野の機密情報を漏らした人に最長懲役10年を科す。
秘密を探ろうとして「そそのかし」「あおりたて」「共謀」があったとみなされても最長懲役5年の罰則がある。
 記者の取材や、国会議員らの資料提供要求に対し、公務員が厳罰に萎縮し、情報がこれまで以上に出にくくなると懸念されている。
 秘密の指定期間は5年単位で、最長30年まで延長できる。
「やむを得ない場合」は閣議決定で60年、一部はそれ以上の秘密指定も可能だ。
30年を超えて秘密指定された文書は、期間満了後に国立公文書館などに保管されるが、それ以下の文書は首相の同意を得れば廃棄できる。
 特定秘密の対象情報として55項目が示されたが、明確な線引きは難しい。
「不都合な事実」が指定され、国民に必要な情報が届かなくなる余地は残っている。
 恣意(しい)的な秘密指定を防ぐため、内閣府の「独立公文書管理監」や衆参両院の「情報監視審査会」という監視機関が置かれる。
いずれも違法な秘密の解除を要請できる。
しかし文書の提出を求めても、「安全保障に著しい支障を及ぼす」と省庁側が判断すれば、拒否される。
また、膨大な特定秘密の目録の中から不正をどうやって見抜くのか、効果を疑問視する声もある。【青島顕】

◇STAP細胞の存在否定

 弱酸性による刺激だけでマウスの体細胞から新たな万能細胞「STAP細胞」を作製したとする日米の研究チームによる論文が1月、英科学誌ネイチャーで発表された。
生物学の常識を覆す大発見として注目を集めたが、直後から国内外のネット上で疑義が指摘され始めた。
 理化学研究所の調査委員会は3月末、研究の中心だった小保方晴子(おぼかたはるこ)・理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)研究ユニットリーダーによる画像2件の不正を認定。
その後も新たな疑義の指摘が続き、残された試料などの解析から、STAP細胞が既存の万能細胞のES細胞(胚性幹細胞)だった可能性が高まった。
 論文2本は7月に撤回され、8月には論文のまとめ役だった笹井芳樹・CDB副センター長が自殺。
理研はSTAP細胞の有無を確かめる検証実験に取り組み、小保方氏も参加したが、12月に再現できなかったとして打ち切った。
さらに2度目の調査委が12月26日、STAP論文のほぼ全てを否定し、実験過程でES細胞が混入したとする結果を発表した。
新たに小保方氏の捏造(ねつぞう)2件を認定する一方、誰がES細胞を混入させたかは特定できなかった。【須田桃子】

◇広島、豪雨で土砂災害74人死亡

 広島市北部の安佐南、安佐北両区で8月20日未明、前夜から降り続いた豪雨により、大規模な土石流や土砂崩れが相次いで発生した。
大量の土砂が多数の住宅をのみ込み、死者74人、全半壊396の被害を出す大惨事となった。  広島地方気象台によると、被災地上空では当時、湿った空気が前線に流れ込み、次々と積乱雲が発生する「バックビルディング」と呼ばれる現象が発生。
安佐北区三入地区では20日午前4時半までの3時間雨量が観測史上最大の217・5ミリに達し、平年の8月1カ月雨量(143ミリ)を大きく上回っていた。
広島市は午前4時15分に安佐北区、同4時半に安佐南区の一部地域に避難勧告を出したが、既に人的被害が発生した後で対応の遅れが指摘された。
 一方、被災地では土砂災害の恐れがある警戒区域・特別警戒区域が未指定だったことも問題視された。
これを受けて、警戒区域を指定する前に実施する基礎調査について、都道府県に結果の公表を義務づけた改正土砂災害防止法が11月の臨時国会で成立。
指定が進まない自治体に対し、国が是正を求めることもできるようになった。【吉村周平】
◇危険ドラッグの規制強化

 東京のJR池袋駅付近で6月24日、脱法ドラッグを吸引した男の乗用車が暴走し、歩行者8人が死傷する事故が発生した。
同様の死亡事故は1月と5月に香川県と長野県でも発生し、政府は7月に閣僚会議を開き規制強化を決定。
「危険ドラッグ」に名称変更した。
11月には事業者に個別に出していた販売停止命令の効力を全国一律に広域化する改正医薬品医療機器法(旧薬事法)が成立。
危険ドラッグに絡む殺人や傷害事件も起きており、対策が強く求められている。
 危険ドラッグは、麻薬などと類似した化学物質を植物片に混ぜた「ハーブ製品」などがあり、極めて強い毒性が確認されている。
厚生労働省は有害な化学物質について製造、販売、所持などを禁じる指定薬物に指定し規制しているが、専門家の審議会で指定を決めてから施行まで約4カ月かかり、その間に化学構造を変えた新商品が出回るイタチごっこが続いていた。
 厚労省は8月以降、審議会から施行までの期間を手続きの省略で約3週間に短縮。
販売店に立ち入り検査し、検査命令や販売停止命令を出して販売を阻止する対策を始めた。
警視庁も10月から危険ドラッグを車内に持っていた運転者を最長6カ月の運転免許停止処分にする運用を始めるなど、取り締まり強化を進める。
 厚労省によると指定薬物は現在1437物質。
販売店数は今年3月末の全国215店舗から11月末で35店舗に減った。
改正法では販売停止命令を受けた商品はインターネットでも販売や広告を禁止。プロバイダーが厚労省などの要請で違法な広告サイトを削除しても、広告主への損害賠償責任を負わないとした。命令の規制対象も指定薬物に加え、指定薬物と同等の毒性を持つ疑いのある商品にまで拡大した。【桐野耕一】  

◇袴田さん、48年ぶりに釈放

 1966年に静岡県で起きた強盗殺人事件で死刑が確定した袴田巌(いわお)元被告(78)の第2次再審請求で、静岡地裁は3月27日、再審開始と死刑の執行停止を決定、袴田さんは約48年ぶりに釈放された。
死刑確定事件の再審決定は6例目で、再審確定前の死刑囚釈放は初めてだった。
検察側が即時抗告し東京高裁で審理が続いている。
 決定で地裁は、犯行時の着衣とされ、みそ工場のタンクから見つかった「5点の衣類」について「血痕が袴田さんとも被害者とも不一致」とする弁護側のDNA型鑑定の信用性を認定。
長期間みそに漬けられたのに色合いが薄い不自然さも踏まえて「警察による捏造(ねつぞう)」に言及した。
 袴田さんは5月に浜松市に帰郷し、姉秀子さん(81)宅で暮らす。
だが、長期間の拘束による拘禁症状は続き、会話で意味が通じないことも多い。
弁護団は「自由な生活に少しずつ慣れてもらうしかない」と話す。
 東京高裁での審理で、検察側は弁護側鑑定について「DNA採取に特殊な方法が用いられている」と証拠能力を突き崩したい構え。
鑑定の検証が実施されれば審理がさらに長期化する可能性がある。【荒木涼子】

◇沖縄知事に辺野古移設反対派

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設を最大の争点にした沖縄県知事選は11月16日に投開票され、辺野古移設に反対する前那覇市長の翁長雄志(おながたけし)氏(64)が、移設推進を訴え3選を目指した仲井真弘多(なかいまひろかず)氏(75)ら3氏を破り、初当選した。
次点の仲井真氏に約10万票の大差をつけた。
 日米両政府が普天間飛行場返還に合意した1996年以降の5回の知事選で、辺野古移設反対を明言した候補の当選は初めて。
 選挙戦は元自民党県連幹事長の翁長氏を、共産、社民などの革新勢力と自民党を除名された那覇市議らが支援。
知事選で初めて、保守が分裂し、保革共闘が成立。
翁長氏は「あらゆる手段を駆使して辺野古に新基地は造らせない」と主張し、幅広い支持を得た。
自民推薦の仲井真氏は2010年知事選で「県外移設」を掲げて当選しながら、昨年末に政府の辺野古埋め立て申請を承認したことへの県民の反発が強かった。
 沖縄は12月の衆院選でも全4小選挙区で辺野古移設に反対する候補が自民候補に勝利した。政府は辺野古移設を進める方針だが、曲折が予想される。【佐藤敬一】

◇混乱続くウクライナ

 旧ソ連のウクライナで2月に起きた政変が、ロシアの介入を招き、内戦に発展した。
欧米諸国が対露制裁を打ち出し、ロシアと西側の対立が先鋭化した。
 一連の混乱は、ウクライナのヤヌコビッチ大統領が、欧州連合(EU)との関係強化を図る「連合協定」の署名を見送ったことが原因だ。
ロシアより欧州との関係を優先させたい住民の反発を呼び、反政府デモが激化。
ヤヌコビッチ政権は崩壊した。
 これに、南部クリミア半島のロシア系住民が反発。
覆面姿のロシア軍部隊が議会や空港を制圧する中、ロシアへの編入を問う住民投票が実施され、プーチン露大統領は3月18日、クリミア編入を宣言。
米欧や日本が猛反発し、対露制裁を発動し、主要8カ国(G8)からロシアを追放した。
 混乱は親ロシア派住民が多い東部のドネツク、ルガンスク両州に拡大した。
親露派活動家が州庁舎などを占拠し、政府側との間で戦闘が起きた。
親露派は5月に住民投票を実施、「独立」を宣言した。
 5月25日のウクライナ大統領選では親欧米派のポロシェンコ氏が勝利。
東部の戦闘は、ロシアが親露派へ水面下の軍事支援を続ける中、激化した。
7月17日、マレーシア航空機がドネツク州上空を飛行中に撃墜され、乗員・乗客298人全員が死亡。
ロシア製の地対空ミサイルを使った親露派による攻撃とみられ、EUと米国は対露制裁を経済制裁に拡大した。
 9月上旬、東部での停戦合意が発効したが、戦闘は続いた。
国連の統計では4月からの死者数は約4700人に上った。
経済制裁と原油安の影響で、ロシアでは12月中旬に通貨ルーブルが急落。
ウクライナの混乱は、ロシア国民の生活にも影響を及ぼし始めた。【モスクワ真野森作】

◇イスラム国が勢力急拡大

 イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」が6月、イラクとシリアにまたがる実効支配地域で、イスラム法に基づく新国家樹立を一方的に宣言した。
敵対勢力の大量処刑や拉致した欧米人の殺害、奴隷制度の復活は世界に衝撃を与えた。
急拡大するイスラム国に対して米軍主導の有志国連合は8月に空爆を開始したが、勢力をそぐには至っていない。
 イスラム国は国際テロ組織アルカイダから派生した。
2012年以降に内戦下のシリアで勢力を拡大し、今年6月にイラク第2の都市モスルを制圧。8月にシリアで敵対勢力に同行していた湯川遥菜(ゆかわはるな)さん(42)を拘束した。10月には北海道大学の学生がイスラム国に加わるためにシリア渡航を計画していたことが発覚した。
 支配地域では法制度や教育制度を改変。公開処刑など恐怖支配を敷く。バグダディ指導者は歴史的称号「カリフ」を自称し、各国の過激派が次々と忠誠を誓い、中東や欧州各国から1万人以上の戦闘員らが参加している。
イスラム国は敵対国への攻撃を扇動している。
欧米では帰国したイスラム国戦闘員や支持者によるテロの懸念が高まっている。【カイロ秋山信一】

◇エボラ熱猛威、感染2万人以上

 有効な治療薬や予防ワクチンがなく致死率の高い感染症「エボラ出血熱」が西アフリカのリベリア、シエラレオネ、ギニアで猛威を振るった。
感染者(疑い例を含む)2万人以上、死者7842人と被害は過去最悪。
米国やスペインで2次感染者が出て、アフリカ以外でも不安が広がった。
 過去にもアフリカで発生したが、今回は2013年12月にギニアで始まり今年3月、エボラ熱と確認。
その後、国境を接するリベリアとシエラレオネでも感染が判明。
患者、死者は増え続け、世界保健機関(WHO)は8月に「緊急事態」を宣言した。
国際社会の支援で対策は強化されたが、まだ終息のめどは立っていない。
 エボラ熱は従来、アフリカ中・東部の辺境で流行。
だが、今回は3カ国の首都など都市部にも達したため、感染が爆発的に拡大した。
 特に、長年の内戦を経験したリベリアとシエラレオネは医療インフラが弱いため、初期段階で十分な対応ができなかった。
また、WHOや国際社会の対応が遅かったことが、拡大を阻止できなかった一因との批判もある。【ヨハネスブルク服部正法】

◇御嶽山噴火、死者・不明63人

  長野・岐阜県境の御嶽山(おんたけさん)(3067メートル)が9月27日午前11時52分に突然、噴火した。
行楽日和の土曜の昼時だったため多くの登山者が巻き込まれ、57人が死亡、依然6人が行方不明のままだ。
1991年の雲仙普賢岳(長崎県)火砕流の死者・行方不明者計43人を上回る戦後最悪の火山災害となった。
長野県は来春以降の捜索再開を検討している。
 自衛隊などによる捜索は困難を極めた。
山頂付近に積もった火山灰は泥沼状態。
火山性微動や2度の台風にも阻まれた。
高地での活動に体調不良を訴える隊員も続出。
長野、岐阜両県災害対策本部は初冠雪翌日の10月16日、2次被害の恐れから捜索を打ち切った。
 火山防災のもろさも露呈した。
気象庁は半月前に火山性地震の増加を把握していたが、自治体が登山者に警戒を促すことはなく、噴石から身を守る避難シェルターも未整備だった。
登山届の提出が少なく安否確認が難航した教訓から、岐阜県は火山登山者に提出を義務付ける条例を制定した。
 御嶽山は現在も噴火警戒レベル3のままで、火口から半径4キロ内は入山が規制されている。ふもとの長野県王滝村のスキー場は一部が規制区域内のため営業できず、地域経済は打撃を受けている。
 政府の中央防災会議は、活火山の監視体制や不足する専門家の育成などについて有識者による見直しを進め、今年度中にも提言をまとめる。
噴火発生を迅速に登山者らに伝える火山速報も検討中だ。
一方、同庁は10月以降、宮崎・鹿児島県境の霧島連山・硫黄山や福島市の吾妻山などの火山活動が活発になったとして、警戒レベルを相次いで引き上げた。【稲垣衆史】

◇朝日新聞が誤報認め謝罪

 朝日新聞が、次々に噴出した問題に揺れた。
木村伊量(ただかず)社長は、慰安婦報道の検証紙面で謝罪しなかったこと、東京電力福島第1原発事故報道をめぐる誤報、ジャーナリストの池上彰さんのコラム掲載をいったん取りやめたことの責任を取り、12月5日に辞任した。
 8月5、6日、朝日新聞は過去の慰安婦問題報道を検証する特集を掲載した。
この中で、戦時中に植民地だった朝鮮で「慰安婦狩りをした」と証言した吉田清治氏(故人)について、1982年以降取り上げた記事16本を取り消した(後に2本の取り消しを追加)。
しかし、記事を取り下げたことを謝罪しなかったことで、朝日新聞への批判が噴出した。
 同月末、この問題を取り上げたジャーナリスト、池上彰さんの連載コラム「新聞ななめ読み」の掲載を朝日新聞は見合わせた。
木村社長が難色を示し、実質的に社長の判断で掲載しなかったのだ。
掲載見合わせが発覚すると、朝日新聞は一転してコラムを掲載した。
コラムには「過ちを訂正するなら、謝罪もするべきではないか」と書かれていた。
 5月20日朝刊1面に「所長命令に違反 原発撤退」の見出しで掲載した福島第1原発事故の「吉田調書」報道では、当初、強気な姿勢だった。
優れた報道に贈られる日本新聞協会賞の候補にも申請した。
ノンフィクション作家の門田隆将(りゅうしょう)氏からの批判にも抗議していた。
 しかし、8月に産経新聞と読売新聞が「命令違反はなかった」と相次いで報道したことを受け、社内で検証した結果、「所員が逃げ出したような間違った印象を与える記事」と判断。
9月11日に木村社長が記者会見を開き、誤報を認め謝罪をした。
 朝日新聞は問題の解決を図るため、外部の有識者を入れた三つの委員会を発足させた。
11月に「吉田調書」報道を検証した「報道と人権委員会」が、12月には慰安婦報道を検証した「第三者委員会」がそれぞれ報告書を出し、厳しい意見を述べた。
 もう一つの「信頼回復と再生のための委員会」は年明けに改革案を発表する予定だ。【青島顕】  
◇アベノミクス正念場へ

 2014年の日本経済は、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」によって円安・株高が進んだ一方、4月の消費増税や円安による輸入品の値上がりが個人消費を冷え込ませ、回復の足踏み状態が続いた。
 アベノミクスの「第一の矢」である日銀の大規模な金融緩和を背景に進んだ円安は、今年10月末に日銀が電撃的に追加金融緩和を決めたことを受け、一気に加速。年初に1ドル=104円前後だった円相場は12月、07年7月以来、約7年4カ月ぶりに1ドル=120円台を付けた。
円安に支えられて株価も上昇した。
輸出関連企業を中心に業績改善の期待が広がり、日経平均株価は12月に一時、1万8000円台に乗せ、4月の1万3000円台から大幅に値上がりした。
 しかし、実体経済の回復ペースは鈍い。
政府や日銀は当初、4月の消費増税に伴う駆け込み需要の反動減は夏にかけて徐々に収まり、7〜9月期に回復に向かうとみていた。
ところが、反動減が長引いたうえ、夏場の天候不順も重なり、7〜9月期の国内総生産(GDP)は物価の変動を除いた実質で年率1・9%減。
4〜6月期(年率6・7%減)に続き、2四半期連続で「想定外のマイナス成長」(大手証券アナリスト)だった。
首相は、15年10月に予定していた消費税再増税を1年半先延ばしすることを決めた。
 景気低迷の理由の一つは消費増税や物価上昇に賃金の伸びが追いついていないことだ。
現金給与総額から物価上昇分を差し引いた実質賃金は11月まで17カ月連続でマイナスとなった。
 円安にもかかわらず、輸出が伸び悩んだことも誤算だった。
政府・日銀は輸出の増加で国内生産が増え、雇用や所得が改善して消費が増えるシナリオを描いていたが、輸出数量は緩やかな伸びにとどまっている。
輸出企業が10年ごろの円高局面で生産拠点の海外移転を進めたことや、新興国メーカーなどの競争力向上を受け、円安下でも自動車や家電などの輸出が増えにくくなっているためだ。
 円安は企業が海外で稼いだ収益を円換算で押し上げた。
半面、原材料を輸入に頼る中小企業のコストが増えて経営が圧迫されたり、輸入原材料の高騰で食品などの値上げが相次いで家計の負担が増えたりと、マイナス面も目立っている。
 衆院選翌日、首相は「アベノミクスはまだ道半ば」と述べた。
金融緩和頼みでなく、企業の賃上げや政府の成長戦略による経済の好循環を実現できるのか。15年、アベノミクスは正念場を迎える。【柳原美砂子】
posted by 小だぬき at 00:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
明けましておめでとうございます
今年は、どんな年になるかな?
素敵な1年になりますように!!
Posted by みゆきん at 2015年01月01日 14:53
明けましておめでとうございます。
ここ数年は「歴史の岐路」になると思っています。

雪かきとおせち、お疲れ様でした。
本当に素敵な年にしたいですね。お互いに。
Posted by 小だぬき at 2015年01月01日 15:07
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