2015年01月12日

池上彰さんの活躍に思う「マスコミの存在意義」

池上彰さんの活躍に思う「マスコミの存在意義」
2015.01.11 zakSPA 文=鴻上尚史

 選挙が終り、1年が終わりますねえ。
今回も、選挙特番の池上彰さんの活躍はすごかったで。

安倍首相に、大勝の感想インタビューで「憲法改正に向けて一歩一歩進めていくということですね」とずばり聞きましたからね。

 で、安倍首相は「そういうことです」と認めました。
中継が終わった後、池上さんは、「憲法改正の熱意、野望をまったく隠そうとされなかったですね」とまとめました。
 ぞくぞくきますねえ。

 池上さんは何回も「欧米ではジャーナリストが政治家に対して、これぐらいのことを聞くのは当たり前で、自分が特殊ではない」とおっしゃっています。

それがジャーナリストの仕事なんだから、ということです。

当選した政治家に対して「おめでとうございます。
今の心境はいかがですか?」
しか言えないのは、ジャーナリストではなく、ただ、テレビに出ている人、だということです。  

池上さんが選挙特番をするようになって、多くのキャスター達は、意識的な質問をするようになったと僕は思っています(もちろん、激励して、身内だとアピールする人もいますけど)。

ただ、池上さんがすごいのは、ものすごい質問をじつにヒョウヒョウとやることです。
これはなかなかできません。
何人かのキャスターの人達の質問する時の「気合」を感じましたが、質問する時に相手に「気合」を伝えてしまうと、相手は身構えしまうのです。

そうすると、相手も公式答弁とか沈黙とか韜晦に逃げる可能性が高いのです。

それを池上さんはじつにヒョウヒョウとするのです。
本当にすごいです。

 こういう人がいる限り、マスコミの存在意義はあるんだと思います。
これは決して大げさな言い方ではないです。

記者クラブに自動的に所属して、日常的に政治家と接するようになり、やがて、政治家の身内のような感覚になり「自分が政治家を守るために、この記事をやめておこう」なんて意識にまでなってしまうマスコミの中で、池上さんの存在は本当に希望だと思います。

 ■SNSを禁じる大手マスコミ

 最近、大手の新聞社から「マスコミとネット」についてのインタビューを受けました。

「マスゴミ」と言われてしまうマスコミは、「売国奴」だの「反日」だのの言葉を使いながら、ゆっくりと自殺しているんだ、とこの欄に書いたことがきっかけでした。

 驚いたのですが、大手の新聞記者さんは、ツイッターやフェイスブックをすることを、基本的に会社から禁じられている、というのです。
許可された一部の記者だけがやっているそうです。

僕は思わず「そんなあ!」と声を上げてしまいました。

ネットの民は、ネットに溺れながらマスコミを知っている。
けれど、マスコミの人達は、ネットをまったく知らない。
そんなんでネットと戦えるはずないじゃないかと思いました。

 ツイッターやフェイスブックが禁じられている理由は分かります。
大手のマスコミの人間が不用意につぶやいて、「××新聞社の記者がこんなこと言ってる」と炎上したらまずいということでしょう。

肩書を見て、例えば朝日新聞社の記者だと分かれば、スルーする発言も祭にする可能性は十分にあります。
 だから、仕事でどうしても必要な記者以外は禁じてしまえ、という上層部の切実で短絡的な発想も分かります。
分かりますが、それでは、マスコミの死期をどんどん早めてしまうだろうと思います。

 僕は思わず、「会社に怒られるのなら、偽名にしてやればいいじゃないですか」とアドバイスしました。
実際、例えばフェイスブックでは、有名人が何人も名前を変えて僕に「友達申請」してきています。
メッセージでこっそり、自分の本名を名乗るのです。


 表現者やアーティストとして「フェイスブックとはどんなものか」とか「ツイッターの可能性と限界」を体験することは、とても大切なことだと思っています。
ジャーナリストの人達も、もちろんです。

 毎日、仕事としてネットを覗くことは、なかなかに大変なことです。
興味を持って、熱中している人ならともかく、仕事で見ると胸潰れることがたくさんあります。それでも、希望を感じることもたくさんあるのです。

 2015年も、ネットという巨人とつきあっていこうと思います。
ということで、来年もよろしくです。

※SPA! 12/30・1/6合併号から
posted by 小だぬき at 00:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
当選おめでとうって言える議員?
全くいません
ピシッ! (*ー"ー)ノ☆)゜ロ゜)ノ グハッ!!
Posted by みゆきん at 2015年01月12日 20:15
政党と党員・議員の関係をどう評価するのかということでしょうね。

いくら個人的に魅力的な人がいても 組織の中の論理に飲み込まれれば ただの採決要員だろうし・・・。

この選挙制度をより民意に近づける努力と運動がなければ 間接民主主義の破壊になるし・・難しいところです。
学校の教員でも 宗教団体や政党の力の強い所の圧力で 異動や辞職をせざるえないのが「民意」なるものの怖さですから・・・。
Posted by 小だぬき at 2015年01月12日 22:06
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