2015年01月17日

介護報酬下げ 現場が崩壊しかねない

介護報酬下げ 現場が崩壊しかねない
2015年1月16日 東京新聞「社説」

 介護保険から個々のサービスに対して事業者に支払われる介護報酬が、四月から全体で2・27%引き下げられる。
人手不足がより深刻になり、介護の現場が崩壊しかねない。

 介護サービスの公定価格である介護報酬は三年に一度、見直されている。
二〇〇〇年度に制度がスタートして以来、五回目の改定となる今回、過去最大規模の下げ幅となった。
制度開始時よりも報酬は実質2・1%下がっている。
三年前と比べ消費者物価は4%超上昇していることを考えても、引き下げは乱暴だ。

 財務省が引き下げの根拠として持ち出してきたのが、特別養護老人ホーム(特養)の内部留保が平均三億円程度あるという数字。
しかし、この中には老朽化した施設の建て替え費や職員の退職金などの積立金が含まれている。現状でも特養の三割近くが赤字であり、経営状況が厳しくなる施設がさらに増えることが予想される。

 介護職員の人手不足は深刻化している。
最大の要因は賃金の低さだ。
常勤のホームヘルパー、施設職員の平均月収は全産業平均よりも約十万円低い。

人手が足りないため過酷な勤務状況にならざるを得ず、離職率も高い。
昨年十一月時点で介護関係職種の有効求人倍率は二・五一倍と、全職業の一・〇四倍を大きく上回っている。

 改定では、介護職員の賃金を一人当たり月一万二千円程度引き上げるため加算制度が充実される。
だが、これに必要な報酬1・65%分はその他の部分を4・48%下げることで賄われる。

特養などの施設サービスの報酬は大幅に引き下げられる。
施設の経営自体が悪化すれば、職員の賃金アップもままならなくなるかもしれない。

 東京都社会福祉協議会が昨年末に実施した調査によると、都内の約半数の特養で介護職員が不足している。
そのため一部事業所を閉鎖するなどの事態が起きている。

 特養の入所待機者数は五十二万人に上っている。
改定は「施設サービスから在宅サービスへ」という政府の基本方針に沿ったものだが、現場のニーズを反映していないのではないか。

 政府は二五年度には、今より介護職員を百万人増員する必要があるとする。
だが、このままでは職員が集まらずサービスの質が低下したり、サービスが必要でも利用できない「介護難民」が増えるのは必至だ。

社会保障を充実させるための消費税8%への引き上げだったはずだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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