香山リカのココロの万華鏡:
みなで支え合い心守ろう
毎日新聞 2015年02月10日 首都圏版
「イスラム国」の日本人人質事件に続き、和歌山県で小学5年の男子児童が殺害されるといういたましい事件が起きた。
診察室でも「子どもを衝撃的なニュースからどう守ったらよいのでしょう」と質問後、「私自身もかなりまいってます」と告白した人がいた。
地域での事件、世界での大きな悪いできごとが起きたときには、おとなはまず「だいじょうぶ、必ず守ってあげるから」と伝えることが大切だ。
その上でなるべくいつも通りの生活を続けながら、子どもが不安や恐怖を口にしたら話をそらさず聞いてあげる。
とくに答えは出さなくても、「そう思ったんだね」とゆるやかに肯定しながら聞けば、子どもは次第に自分で気持ちを整理していくことができるものだ。
では、そうするためおとなはどうやって自分の心を守ればよいのか。
まず必要なのは、支えてくれる“誰か”の存在だ。
配偶者がベストだが、友人あるいは親やきょうだいという場合もあるだろう。
運悪く「誰も自分を支えてくれる人はいない」という人もいる。
そのときは、学校の先生、カウンセラーなどの専門家にも話を聴いてもらい、アドバイスを受ける。
そして何より、無理をしすぎないことが大切だ。
「私ひとりで子どもを守る」「子どもの前では笑顔で元気にしなきゃ」と肩に力が入りすぎると心身に不調が出てしまう。
「世の中物騒なことばかりだけど、とにかくこの時間は好きなドラマを見ましょう」とリラックスできる時間を忘れない。
あまり目の前の心配ごとにばかりとらわれず、子どもといっしょにからだを動かし、汗をかいて心地よい疲労感を味わうこともよいだろう。
もちろん、運動やリラックスで一時的に不安から逃れても、夜になるとあれこれ思い出し、「また恐ろしいできごとが起きるのでは」と心配になるかもしれない。
そういうときはあまりあせらず、「不安になるのはあたりまえだ」と自分に言い聞かせてみてはどうだろう。
最近、診察室で動揺を隠せない人たちには、こんなことを伝えている。
「お恥ずかしい話ですが、私もです。
ニュースを見ていると気が滅入(めい)りますよね」。
精神科医が心の弱さを見せるのはふだんはタブーだが、今回ばかりは多くの人はほっとした顔をしてくれる。
「なんだ、先生も同じなんですね」。
そう、「この社会、どうなっちゃったの?」と不安なのはみな同じ。
お互い支え合い、無理せずに日々を送りたい。
(精神科医)


もう嫌になっちゃう!!
人間がだんだん壊れ始めているのかな・・