2015年03月22日

「デブ」は病気なのか?

イグ・ノーベル・ドクター新見正則の日常
「デブ」は病気なのか?
2015年3月20日 読売新聞

 今週、気になった医療記事は、「『肥満は病気』提唱…日本のメタボ対策海外へ」というものです。
 いろいろな見方が好きな僕です。
いろいろな考え方があることをいつも提唱している僕です。
医療は人それぞれの要素が強いといつもメッセージを送っている僕です。
そんな僕的視点から今日はお話が始まります。

「肥満者=病気」には条件がある

 このタイトルだけをみると、「肥満は必ず病気」と思えます。
しかし、記事のなかで、「肥満は病気」を提唱している日本肥満学会の春日雅人理事長のコメントには、「肥満は世界的に増えているが、外国ではリスク要因とは捉えても、一定の条件にあてはまれば病気だという発想がない。

糖尿病や高血圧の治療は行っても、肥満の治療を行わないから根本的解決にならない」とあります。

つまり、肥満で一定の条件にあてはまれば病気なのです。
肥満者が全員病気とは言っていません。

一定の条件にあてはまらなければ、病気ではありません。
その点がとても大切に思えます。

 では、一定の基準とはなんでしょう。
厚生労働省のホームページをみると詳細に、わかりやすく書いてあります。

 その出だしはこうです。「BMIで肥満と判定されても、すぐに治療を始めるわけではありません。
医学的に減量を必要とする肥満を『肥満症』といいますが、肥満症は、次の二つの場合です。」とあります。

ひとつめは、BMIが25以上で、肥満に原因があるか肥満に関連していて、減量を必要とする健康障害を伴うものです。
BMIは体重(キロ・グラム)÷身長(メートル)÷身長(メートル)です。

 そして肥満に関連する健康障害は、

1.耐糖能異常・2型糖尿病
2.脂質代謝異常
3.高血圧
4.高尿酸血症・痛風
5.脂肪肝
6.冠動脈疾患
7.脳梗塞
8.骨・関節疾患
9.睡眠時無呼吸症候群・Pickwick症候群
10.月経異常
11.肥満妊婦
12.心理的サポートが必要な肥満症  です。

今病気があって、減量すればその病気から解放される、または相当軽くなる症状が並んでいますので、これらの疾患を有する肥満は、病気であると考えるのは当然ですね。

「健康デブ」の判断基準

 さて、「肥満症」のふたつめです。
「BMIが25以上で、上記のような健康障害はなくても、検査によって内臓脂肪型肥満症と診断されたもの」とあります。

そして、それを知るためのスクリーニング方法が、立って息を吐いたときのへその周囲のサイズが、男性では85センチ・メートル以上で、女性では90センチ・メートル以上です。

そして確定診断は、CTスキャンによる測定で、へその断面積で、内臓脂肪が100平方センチ・メートル以上です。

 するとBMIが25以上でも、上記二つにあてはまらなければ、肥満症という病気ではありません。
ここが何より大切です。

つまり、今、肥満による病気がなくて、そしてCTスキャンによる内臓脂肪の量が100平方センチ・メートル未満であれば、病気ではないのですよ。
つまり「健康デブ」ということになります。

 二つめの基準は、メダボリックシンドロームの最初の一歩の基準と同じです。

 そしてこれを満たすと、2番目の診断基準に進みます。

そして脂質異常、高血圧、高血糖の項目でふたつ以上が異常値になるとメタボリックシンドロームとなります。
ここで高血圧と高血糖は、通常よりもきつめの設定になっています。

最初の一歩の正確な診断はCTスキャンです。
 僕は肥満を一生懸命研究している先生方が間違っているとは思っていません。

かれらのメッセージが正しく反映されていません。
つまり、へその周囲径だけで、メタボリックシンドロームと思っている人は、ぜひCTスキャンで正確な内臓脂肪の測定をして下さい。

そして、内臓脂肪が100平方センチ・メートル未満であれば、まずメタボリックシンドロームではありません。

そして、肥満による病気がなければ「肥満症」でもないのです。

つまり「健康デブ」なのですよ。

長生きは「ちょい健康デブ」

 実際に、国立がん研究センターの男性16万人を平均11年間追跡した調査では、全死因でもっとも死亡率が少なかったのは、なんとBMIが25から26.9のグループです。
このグループは肥満に該当するグループなのです。

 つまりこの結果からは、男性では「ちょい健康デブ」がもっとも長生きということになります。

 もっと知りたい方は僕の本「長生きしたけりゃデブがいい」(ソフトバンク新書)を読んでください。

そしてこの本を上梓じょうししてから、肥満の患者さんが僕の外来に急増し、愛誠病院(東京都板橋区加賀)に肥満合併症解消入院を導入しました。

2週間の入院です。
この入院の目的は、肥満による病気のチェックと指導、そして肥満自体への対応は内臓脂肪を100平方センチ・メートル未満にすることに主眼が置かれています。

もちろん病気なのですから医療保険が利きますよ。
 人それぞれが、少しでも幸せになれますように。

◆ 新見正則(にいみ まさのり)
      帝京大医学部准教授
posted by 小だぬき at 00:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私は仕事をしていた時は、痩せすぎって言われてたけど、今はちょっとヤバイ
40キロ半ばだった体重
現在50キロ近い
今が丁度いいって言うけど、4キロも太ったのよ
着る服がナイ・・・
2キロはダイエットしなくっちゃなの(^^;
Posted by みゆきん at 2015年03月22日 14:57
私などは忘れもしない胆嚢摘出手術入院で 購買部の常連になり 1ヶ月入院したら 着てきた背広が小さくなり?? 体重で10`超、ウェストが78→86となり退院しました。手術で太って退院する人は いないんだけどな・・・」と通院のたびに冷やかされました。
みゆきんは、まだまだ 部分スリットを入れれば 全ての洋服が着れるでしょう・・・。
Posted by 小だぬき at 2015年03月22日 17:01
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