香山リカのココロの万華鏡:
人間関係はアナログで
毎日新聞 2015年04月07日 首都圏版
今年も入学、入社の季節がやって来た。
大学にも初々しい新入生があふれ、サークルの先輩たちが勧誘のためさかんに声をかけている。
中にははじめてひとり暮らしをする学生もおり、大学側が生活ガイドブックなどを頒布している。
以前、学生相談室の担当者と話したときに「昔は駅がわからない、料理ができない、と相談に来る新入生が多かったけれど今はほとんどいない」と聞いた。
スマホやパソコンで簡単に調べがつくからだろう。
しかし、それにかわって増えた相談は「友だちの作り方がわからない」。
「友だちができなかったらどうしよう」と不安を口にする学生も多いそうだ。
診察室にいても「転職したが新しい会社の同僚になじめない」と相談に来る人がいる。
「夫の転勤で引っ越した地域の“ママ友”と話せない」と言う主婦もいる。
いまを生きる人にとって「他者とどうつき合うか、どうコミュニケーションするか」は大問題なのだ。
そういう人たちは、「わかってもらえるはず」と他者への期待が大きすぎるようにも見える。
これまで実家や暮らしなれた地域で、こちらから何かを口にしなくても「全部わかってるよ」とまわりが受け入れてくれた。
ところが新しい環境になればそうはいかない。
自分から「こんにちは。最近、引っ越してきたのですが」と自己紹介しなければならず、それに対して相手が「すてきな人ですね、仲良くしましょう」と最初から歓迎してくれるとも限らない。
少し話してみたけれどなんだか相性があわない、ということもあるだろう。
そのように初対面の人とはギクシャクするのは、むしろあたりまえのことだ。
はじめから「待っていました」と両手を広げて受け入れられることなど、あるわけはない。
お互いに「相手はどんな人かな」と警戒しながら、少しずつ近づき、会話を重ねて「この人となら仲良くできそう」となったらさらに親しくすればよいし、「ちょっと違うかな」と思ったらしばらく距離を置く。
デジタル時代になっても、人間関係だけはアナログ方式のまま、手さぐりで作り上げていくしかないのだ。
「なんでも検索すればすぐわかる」という時代に育った人にとって、この手さぐりはいかにもじれったく思うかもしれない。
でも、決してあせることなく、自分にとってプラスになる友だち、同僚を見つけてほしい。
この春、新しい環境に飛び込んだ人には、そんなアドバイスをしたい。
(精神科医)


人間関係を固定的に考えるから イジメやストレスが溜まるのですね。
もっと柔軟に 一人でもいい いずれ必ず 気の合うやつとめぐり合うと考えていくしかないですね。