2015年04月08日

人間関係はアナログで

香山リカのココロの万華鏡:
人間関係はアナログで
毎日新聞 2015年04月07日 首都圏版

 今年も入学、入社の季節がやって来た。
 大学にも初々しい新入生があふれ、サークルの先輩たちが勧誘のためさかんに声をかけている。
中にははじめてひとり暮らしをする学生もおり、大学側が生活ガイドブックなどを頒布している。

 以前、学生相談室の担当者と話したときに「昔は駅がわからない、料理ができない、と相談に来る新入生が多かったけれど今はほとんどいない」と聞いた。
スマホやパソコンで簡単に調べがつくからだろう。

 しかし、それにかわって増えた相談は「友だちの作り方がわからない」。
「友だちができなかったらどうしよう」と不安を口にする学生も多いそうだ。

 診察室にいても「転職したが新しい会社の同僚になじめない」と相談に来る人がいる。
「夫の転勤で引っ越した地域の“ママ友”と話せない」と言う主婦もいる。

いまを生きる人にとって「他者とどうつき合うか、どうコミュニケーションするか」は大問題なのだ。

 そういう人たちは、「わかってもらえるはず」と他者への期待が大きすぎるようにも見える。

これまで実家や暮らしなれた地域で、こちらから何かを口にしなくても「全部わかってるよ」とまわりが受け入れてくれた。

ところが新しい環境になればそうはいかない。
自分から「こんにちは。最近、引っ越してきたのですが」と自己紹介しなければならず、それに対して相手が「すてきな人ですね、仲良くしましょう」と最初から歓迎してくれるとも限らない。
少し話してみたけれどなんだか相性があわない、ということもあるだろう。

 そのように初対面の人とはギクシャクするのは、むしろあたりまえのことだ。
はじめから「待っていました」と両手を広げて受け入れられることなど、あるわけはない。

お互いに「相手はどんな人かな」と警戒しながら、少しずつ近づき、会話を重ねて「この人となら仲良くできそう」となったらさらに親しくすればよいし、「ちょっと違うかな」と思ったらしばらく距離を置く。

デジタル時代になっても、人間関係だけはアナログ方式のまま、手さぐりで作り上げていくしかないのだ。

 「なんでも検索すればすぐわかる」という時代に育った人にとって、この手さぐりはいかにもじれったく思うかもしれない。

でも、決してあせることなく、自分にとってプラスになる友だち、同僚を見つけてほしい。
この春、新しい環境に飛び込んだ人には、そんなアドバイスをしたい。
           (精神科医)
posted by 小だぬき at 12:12 | Comment(2) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
人間関係って難しいものね(ーー;)
Posted by みゆきん at 2015年04月08日 12:54
いろいろな人がいるから 人間関係は難しい、けれど楽しいものであるハズですよね。

人間関係を固定的に考えるから イジメやストレスが溜まるのですね。
もっと柔軟に 一人でもいい いずれ必ず 気の合うやつとめぐり合うと考えていくしかないですね。
Posted by 小だぬき at 2015年04月08日 16:41
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