熱血!与良政談
改憲の先取りが進む!?=与良正男
毎日新聞 2015年04月15日 東京夕刊
自民党が3年前の4月に決めた憲法改正草案の大きなポイントは「国防軍の保持」とともに、国家が国民を縛る条文が目立つことだ。
例えば草案12条には「(国民は)自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」とある。
自由や権利は「濫用(らんよう)してはならないのであって」とある現行憲法で十分だと思うが、自民党内にはかねて「今の憲法は権利ばかりが書いてある」との不満がある。
それが「国民は公の秩序に反するな」と明記することにつながっているのだろう。
本欄の読者には「耳にタコ」で申し訳ないが、
憲法とは国民でなく、とかく暴走しがちな国家権力を縛るものだ。
その立憲主義の根幹がどうも安倍晋三首相らには通じない。
自民党は最近、9条改正など国論が二分しそうなテーマは先送りし、反対の少ない項目から改正に取り組むと言っている。
でも実際には国民投票を経ずに改憲を先取りして既成事実化する動きが次々と出てきていることを私たちは知った方がいい。
集団的自衛権の行使容認しかり。
卒業式や入学式で日の丸掲揚や君が代斉唱をしない国立大学に対して文部科学省が「適切な対応」を要請する−−という今度の話もそうだ。
自民党草案には「日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない」と書いてあるのだ。
私は日の丸も君が代も拒んだ経験はない。
大切にしているつもりだ。
ただし強制する話ではないと思う。
「文芸春秋」5月号の対談で小林節慶応大名誉教授はこれを憲法に盛り込むことに対し「卒業式で国旗に敬礼しない教員や生徒を、『おい、非国民』と取り締まる風潮も出てきかねない。
それでは北朝鮮の強権政治と変わらない」と語っている。
全く同感。
安倍首相らの語る「国立大学は税金で賄われているから」との理屈もすごい。
これでは生活保護を受けざるを得ない人たちは今後、思想の自由を奪われるかもしれない。
こんな話をすると即、「大げさに不安をあおりたてている」といった反論が聞こえてきそうだ。
「大学自治を侵すな」と言ってみても大学自治という言葉自体が死語になりつつある時代でもある。
だからといって権力の介入を知らぬ間に許していくわけにはいかない。
(専門編集委員)


そんな事をいつも思う。