こどもの日 地域のおせっかいが大切だ
2015年05月05日 01時13分 読売新聞「社説」
「世界には 君の輝く場所がある」。
「こどもの日」から始まる児童福祉週間の今年の標語は、千葉県に住む10歳の男の子が作った。
すべての子供が、希望を胸に、未来を切り開いていく。
それを大人が支え、見守りたい。
今年の「こども未来賞」(読売新聞社など主催)に選ばれたエッセーのタイトルは、「子育ては公共事業よ!」である。
近所の人が子供たちを褒めたり叱ったりしなくなった――。
最近の風潮に疑問を感じた京都府の主婦、笹谷豊子さん(68)が、子育て中だった約30年前の経験を交えて書き上げた。
3歳の長男と公園デビューをした。同じ年頃の男の子におもちゃを取られ、けんかになりかけた。
見知らぬ子を注意することもできず、ハラハラ、ドキドキ……。
すると。
相手の男の子をきつく叱った母親が、こう言った。
「うちの子が悪いことをしたら叱ってやってほしいねん。子育ては公共事業や。頼むわなァ」
それから長男は、公園で近所の大人に叱られ、教えられ、褒められ、「ありがとう、ごめんね」を言えるようになった。
生きる力を育んでいったとつづる。
子供に善悪の判断や社会のルールを身につけさせる責任は、地域の大人全体にある。
そんなメッセージが伝わってくる。
地域ぐるみで子供に目配りする必要性は一段と高まっている。
所得が標準の半分未満の貧困世帯で暮らす子供の割合は、2012年に過去最悪の16%台に達した。
低所得の家庭の子供は高校や大学への進学率が低い。
食生活が乱れがちとの調査もある。
かつてのような地域の「おせっかい」を再生しようと、困難を抱える子供の学習や食事を支援するボランティア団体などが、各地で増えているのは心強い。
東京都豊島区で学習支援を行うNPO法人は、月2回、民家で子供たちに夕食を300円で提供している。
大阪府吹田市などでも、同様の取り組みが広がる。
4月にスタートした生活困窮者の自立支援制度では、自治体の事業メニューとして、子供の学習支援を行う民間団体などへの補助が盛り込まれた。
積極的に実施してもらいたい。
官民一体で子供の貧困問題の解決を目指す「子供の未来応援国民運動」も始まった。
企業などの寄付で基金を創設し、学習やスポーツ活動を支援する。
政府も、しっかり後押しすべきだ。
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