長寿日本の問題点は?
2015年5月5日 読売新聞
医療や介護 支えきれぬ恐れ
Q 最近のニュースで、世界最高齢の大阪市の女性が117歳で亡くなったと伝えられていたね。
長い歳月を生き抜いてこられたんだなぁ。
僕のおばあちゃんも70歳を過ぎているけど、まだまだ元気。
「勉強しろっ」て叱られっぱなしだけど、長生きしてほしいな。
A 健康で何よりだね。日本は、世界でも有数の長寿の国なんだ。
2013年の平均寿命は、女性が86・61歳、男性が80・21歳となっている。
Q あれっ、男性と女性で寿命は違うの?
A 世界的にみても女性の方がより長生きといえる。
理由は諸説あるけど、女性ホルモンなどの関係や、たばこやアルコールの摂取といった生活習慣の違いから、女性の方が、病気にかかりにくいといわれている。
Q へえ。でも、おばあちゃんが子どもの頃は、70歳を超える人は少なかったって聞いたけど。
A 終戦後の1947年の平均寿命は、女性が54歳、男性が50歳だったからね。
死因も今とは違って、1位が結核、2位が肺炎や気管支炎、3位が胃腸炎だった。
その後、栄養状態が改善したり、医療技術や薬も新しいものがどんどん出てきて、状況は変わった。
今は、がんや心疾患(心不全など)、肺炎、脳血管疾患(脳梗塞など)が死因の上位だ。医療技術などが進歩し続ければ、寿命はさらに延びていくと予想されている。
Q 僕も100歳まで生きられるのかな。
A 健康に気をつければ、夢ではないかもね。
でも、みんなが長生きだと、どういう社会になると思う?
Q お年寄りばかりになりそう。
A そうだね。驚くような数字だけど、2025年はおよそ5人に1人、60年は4人に1人が75歳以上になるという試算があるんだ。
Q 60年というと、僕は60歳ぐらいだ。
A 私はちょうど75歳。ちなみに、60歳という年齢は、今でも現役といえるよ。
健康に問題なく日常生活を送れる「健康寿命」(10年時点)は、男性が約70歳、女性が約74歳、と言われているからね。
でも、75歳以上になると、どうしても、病気になったり、足腰が悪くなったりして、医療や介護が必要になってくる。
Q じゃあ、病院にかかったり、介護施設に入ったりするお年寄りがもっと増えるってことか。
A そうすると、何が問題になってくるだろう。
Q お金かな。施設も足りなくなりそう。
A そうだね。25年度の医療にかかる費用は、15年度の約1・4倍、介護は約1・9倍まで増える予想だ。
しかも、こうした費用を負担しているのは、本人だけじゃない。
保険料というかたちで働く世代も出しているし、国や地方自治体の税金も使われている。
Q でも、若い人は減っているんだよね。
A その通り。少子化が続いて働く世代は減っている。
医療や介護の施設で働く人も足りなくなる。
長寿化はおめでたいことなんだけど、このままでは、お年寄りが受ける医療や介護サービスを支えきれなくなる恐れもあるんだ。
Q 何だか不安になってきた。僕が年を取ったとき、日本は一体どうなっているんだろう。
A 日本は今、他のどの国も経験したことのないスピードでお年寄りが増えている。
高齢化の先進国なんだ。お年寄りが健康に長生きできるよう、地域や職場で長く活躍できる場を増やしたり、亡くなるまで自宅で安心して暮らせる仕組みづくりを進めたりしないとね。
老いは誰にでも訪れる。
ひとごとじゃない。長寿を楽しめる社会にしたいね。
(手嶋由梨)

