憂楽帳:多角的な視点
毎日新聞 2015年06月01日 西部夕刊
安全保障関連法案が国会で審議中だ。
法案が成立すれば、自衛隊の海外での活動範囲は広がり、米軍との一体化が進む。
法案の狙いやデメリットを巡る国会論戦を注視している。
ところで先日、元自民党重鎮の持論を聞いて「一理ある」と思った。
こう論じた。
「米国に守ってもらう代わりに、これまで米軍に基地を提供してきた。
だが法案が通って日米が一緒に戦うようになるなら、米側に基地返還も求めていいはずだ。
でも、なぜかその方向の声が政府から出てこない」
実はその数日前、自民党沖縄県連関係者から似た意見を聞いた。
米軍基地が集中する沖縄は米兵の事件事故が後を絶たない。
しかし米軍に法的特権を与えた不平等な日米地位協定が存在し、警察の捜査に支障を来している。
関係者は「安保法案の議論は重要だと思うが、政府には米国に地位協定の改定こそ求めてほしい」と語った。
日米同盟が大切なのは分かる。
ただ政府は「関係強化が必要」と強調するばかりで、一方で米国に言うべきことを言っていない印象を受ける。
同盟はどうあるべきか。多角的な視点が改めて必要だ。
【井本義親】

