「妻への愛情故の犯行」
嘱託殺人、93歳被告に猶予刑 千葉地裁
ちばとぴ by 千葉日報 7月8日(水)19時40分配信
「苦しむ妻への愛情故の犯行だったことを疑う余地はない」
自宅で2014年11月、体の痛みを訴えていた妻=当時(83)=に頼まれてネクタイで首を絞め、その後死亡させたとして、嘱託殺人の罪に問われた夫(93)に対して、千葉地裁は8日、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役5年)を言い渡した。
閉廷前、佐藤傑裁判官は夫に「どこかで妻が見たときに悲しまないよう、穏やかな日々が送れることを願っています」と言葉をかけた。
判決を受けたのは茂原市の夫(93)。
判決によると、被告の妻は次第に足腰が弱くなり、14年、転倒したことから強い痛みをしきりに訴えるようになった。
自力歩行が困難なり、痛みで夜も眠れない妻のため、被告は自らも軽度の認知症を患いながらも、自宅に手すりを設置したり、マッサージをするなど寝る間を惜しんで献身的な介護を続けた。
妻がヘルパーの利用や高度な治療を受けることに消極的だったため、2人きりで過ごす時間が多かった。
絶えず痛みにさいなまれる妻は安楽死を望む発言をしたこともあったという。
被告は同年11月2日、廊下で転倒した妻から「殺してほしい」と懇願され苦渋の思いで了承。
添い寝をして思い出話をした後、あらためて妻に覚悟を確かめ、同日午後6時10分ごろ、自宅で妻の首を二重に巻き付けたネクタイで絞めた。
妻は12月16日に死亡した。
公判で「妻を愛している」と発言した被告。
佐藤裁判官は量刑理由で「妻が天寿を全うできるように尽力することが被告には求められており。短絡的な犯行」と指弾する一方、
「介護に追われ、被告は心身ともに疲弊していた。妻を苦しみから解放することを最優先に犯行に及んだことは強く非難できない。
60年以上連れ添った妻を自らの手にかけることを決断せざるを得なかった苦悩は同情を禁じ得ない」と述べた。
佐藤裁判官は大きな声でゆっくりと判決文を朗読。
「被告に対しては、社会内で妻の冥福を祈りつつ、平穏に余生を送る機会を与えることが相当」と締めくくった。
(本紙、ちばとぴでは実名報道)

