<関東・東北豪雨>
「まさか、これはダメ」
水没に悲鳴 宮城
毎日新聞 9月11日(金)21時53分配信
◇田園地帯。大崎市流れる渋井川が決壊
「まさか、ここでも」。
茨城県など北関東地方に大きな被害をもたらした南北に連なる「線状豪雨」が、今度は東北地方を襲った。
河川はまたもや未明になって次々と氾濫。
住宅街や周囲の水田を次々とのみ込み、住民の多くはなすすべもなく、救助を待った。
宮城県北部の田園地帯。
大崎市を流れる渋井川の堤防は11日午前5時前に決壊し、付近の住宅街に水が流れ込んだ。
早朝に水かさが一気に増したため自宅に取り残された住民も多く、不安を抱えながら救助を待った。
市によると、渋井川の堤防決壊で古川西荒井地区周辺で孤立した146人がヘリやボートで救助された。
避難所となった古川第五小体育館には自力避難を含めて約160人が避難。
同地区の佐々木はるさん(63)は同日午前4時半ごろ、近所の人に声をかけられ、玄関のドアを開けると水が家の中に流れ込んできた。
平屋建ての自宅では「危ない」と感じ、119番した後、10カ月の孫のミルクとおむつをゴミ袋に詰めて助けを待った。
駆けつけたレスキュー隊員に孫を抱えてもらい、胸まで水につかり、流れにさらわれそうになりながら、家族6人で約20分歩いて脱出したという。
「家はもう住めないかもしれないが、家族全員が元気なことが唯一の救い」と話した。
隣の地区の佐々木公男さん(74)は自宅1階が床上浸水し、2階のベランダからタオルを振って救援を求め、自衛隊ヘリで体育館に運ばれた。
佐々木さんによると、午前5時50分ごろ自宅の外が15センチ程度浸水しており、その10分後には外に出られないほど深くなり、同7時には家に水が入ってきたという。
「玄関を無理やり開けたら膝上まで水があり、これはダメだと思った。
水が一気に上がったから逃げるか判断する時間もなかった」と振り返った。
同県栗原市の自営業、菅原久孝さん(71)は、同市内で死亡が確認された女性が車で流されるのを見て通報した。
菅原さんは女性が「助けて」と何度も叫ぶ声を聞いた後、車が左右に一回転しながら泥水に押し流されるのを見た。
女性が窓を閉めたため、菅原さんは開けるようにジェスチャーしたが、直後に沈んだという。
「こんなに恐ろしい洪水は初めて。
助けられなくて本当に残念だった」とうつむいた。
11日で東日本大震災から4年半。
震災の津波で甚大な被害を受けた同県東松島市野蒜(のびる)地区では、近くの吉田川の増水で午前7時前に近隣世帯に避難指示が出され、避難所の一つの旧野蒜小校舎には昼までに約100人が避難した。
近くの尾形典子(ふみこ)さん(83)は
「今日は震災の月命日で、あの日と同じ金曜日。
心配で、震災以来用意してきた防災リュックを持ってきた」。
小山恵美子さん(82)は「ここに嫁に来て約60年になるが、川の増水で避難指示が出るのは初めて。
昨日は茨城の大雨の映像を見て震災を思い出し、眠れなかった」と話した。
【百武信幸、本橋敦子、二村祐士朗】

