2015年10月24日

日本ほど農業を保護してない国はない

これでTPPに合意するのか!?
日本の農家は過保護」は嘘
欧米の方がはるかに自国の農業を保護していた
2015.10.23.LITERA(小石川シンイチ)

「『これでは農業総自由化と同じではないか』。
環太平洋連携協定(TPP)の詳細な合意内容が明らかになるにつれて、生産現場には驚きと衝撃が走っている。
あまりに広範囲に及ぶ関税撤廃や大幅な削減に伴い、日本農業がかつて経験したことのない危機的状況に陥りかねない」
と憤りをあらわにするのは、日本農業新聞(2015年10月12日付)だ。

 批判の矢は、TPPの大筋合意に喜ぶ安倍首相にも向けられている。
「安倍晋三首相のあまりに楽観視した発言に、生産現場で落胆が広がっている実態を重視すべきだ。
大筋合意後の会見で重要5品目に関連して『関税撤廃の例外をしっかり確保できた』と強調したが、農業者は全く納得していない。
生産現場から国会決議の“約束違反”の批判が出るのは当然ではないか。

TPPはまさに『国のかたち』を変えかねない協定である
「首相は9日の全閣僚で構成するTPP総合対策本部初会合で『守る農業から攻めの農業に転換し、意欲ある生産者が安心して再生産に取り組める、若い人が夢を持てるものにしていく』と述べた。
(略)先行き不安から新規投資ができず、中堅層ほど農業に見切りをつけた離農が増えかねない。
首相が語る『夢』は『悪夢』に変わりかねない
 たしかに、この指摘は正しい。
とくに深刻なのが、コメだ。
コメは、関税は維持するものの、米国と豪州を対象に協定発効当初で計5万6千トン(13年目に計7万8400トン)の無関税枠を新設することとなった。

すでに、日本は世界貿易機関(WTO)の協定に基づき、ミニマムアクセス(最低輸入量)として、年間77万トンのコメを無関税で輸入している。
このうち、米国からの輸入量は約36万トンであり、今回の協議で、実質的な米国枠を6万トン増やすことにも合意しており、年約50万トンの米国産コメが入ってくることになる。

 これは、日本の2015年産主食用コメ生産数量目標の約1ヶ月分にあたる。
農家が危機感を感じるのは無理もない。
 しかも、アメリカのコメは国からの圧倒的なバックアップを受けているのだ
例えば、アメリカをはじめとする輸出国は食の競争力があるから食の輸出国になっているのではなく、国をあげての食料戦略と手厚い農業保護のおかげである
それが端的にわかるのがコメである。
アメリカのコメ生産費は、労賃の安いタイやベトナムよりもかなり高くなっている。
だから、競争力からすれば、アメリカはコメの輸入国になるはずである」

『食の戦争 米国の罠に落ちる日本』(鈴木宣弘/文藝春秋)によれば、米国には、輸出販売を促進するために、より安い価格で販売することが必要だと判断し、安い販売価格と農家に必要な価格水準(目標価格)との差額を不足払いする制度や安く販売した場合の返済免除の仕組み、常に一定額の補助金として上乗せして支払われる固定支払いがあり、「安く売っても増産していけるだけの所得補填があるし、いくら増産しても、海外に向けて安く販売していく『はけ口』が確保されている。
まさに、『攻撃的な保護』(略)である。

この仕組みは、コメだけでなく、小麦、トウモロコシ、大豆、綿花などにも使われている。
これが、アメリカの食料戦略なのである」。

 これは、明らかに実質的な輸出補助金だ。
「このような実質的な輸出補助金額は、アメリカでは多い年では、コメ、トウモロコシ、小麦の3品目だけでも合計で約4000億円に達している」。
このほかの輸出信用や食料補助の仕組みと合わせれば「約1兆円の実質的輸出補助金を使っている」というのだ。

輸出補助についてはWTOルールで撤廃するよう命令しなければならない。
2013年には一部は廃止されたが、いまだにその多くは維持されている。

今回のTPPの大筋合意にいたる交渉でも、多くが秘密のベールに包まれているが議論された形跡がない。
「輸出補助金は、『輸出に特定した』(export contingent)支払いであるから、この場合は、輸出に特定せずに、国内向けにも輸出向けにも支払っているので輸出補助金にならないというのである」(同書より)

 こうした食料戦略はアメリカだけではない。
欧州諸国も同様だ。
「農業経営に関する統計に基づいて農業所得に占める政府からの直接支払い(財政負担)の割合を比較すると、日本は平均15・6%ほどしかないが、フランス、イギリス、スイスなどの欧州諸国では90%以上に達している。

アメリカの穀物農家でも、年によって変動するが、平均的には50%前後で、日本とは大きな開きがある」
「日本の農業は過保護だ」という日本の政治家やメディアはこの点についてはまったくふれない。
安い商品こそが善という新自由主義的で、デフレを招く発想に毒されているのだ。

欧米諸国の自給率・輸出力の高さは、競争力のおかげではなく、手厚い戦略的支援の証ともいえるのである
換言すれば、わが国の自給率の低さは過保護のせいではなく、保護水準の低さの証なのだ

「農産物輸出大国といわれるアメリカやオーストラリアが、実はそこまでして、戦略的に食料生産を位置づけ、国内供給を満たすどころかそれ以上を増産し、世界に貢献、あるいは世界をコントロールするための武器として食料生産を支援しているのかということを我々も学ぶ必要があろう」(同書より)

 日本の農家だけは政府のサポートも脆弱なままで、政府の圧倒的な輸出補助を受けた欧米諸国の農産物と戦わなければならないのだ
これでは日本の農家にとっては「悪夢」以外の何モノでもないだろう。
                    (小石川シンイチ)
posted by 小だぬき at 00:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
そうです。
同感です。
食は国の根幹をなすものです。
食がなければ人は生きられません。
今回の合意は、農家に何の情報も与えずに勝手に国会決議さえ無視した結果です。
今北海道は激震状態です。
日本の食糧基地、北海道がつぶれたら日本はどうなるのでしょう。
農家がつぶれたら、元に戻すのは容易ではありません。種を植えればできるというものではありません。
狭い農地を輪作という手法で守ってきました。どれかが欠ければ輪作は成り立ちません。
一次産業を守らなければ国は成り立たないのです。
最低限の食糧を確保できるだけの保護政策を今すぐ農家に提示すべきです。
したっけ。
Posted by 都月満夫 at 2015年10月24日 14:53
このTPPで甘利大臣が真剣に国益を考えて粘り強く交渉したとは思えません。今までの農政が八郎潟のように大規模農政に乗り出したかと期待したら 次は減反です。そしてTPPでは 農薬・ポストハーベスト・着色剤・保存剤などを大量に輸入することになる。外食産業やコンビニなどは 人体に危険と知った上、安い農薬まみれの外米を使うことになるでしょうね。
今、農協や農家の努力で 米のパンだとかいろいろな工夫をしています。政府は 食糧が戦略物資なのに安定供給が続くとノー天気な楽観論。
一度 その国に根付いてしまえば 価格操作などされると認識していないらしい。
また大規模化というけれど 集約する資金があるのは銀行か商社でしょう。
昔の不在地主と小作という関係を作ろうとしているのか、なかなか具体的な見通しをいいません。
まずは 協定書署名阻止、つぎは批准阻止です。
まだ農家だけの問題とみる人が多いですが、国民の健康を守る視点を持ち続ければ 安保法制並みの運動にはなり得ると思います。
まだまだ 米国の奴隷になろうとする 自公政権や右翼といわれる人の暴走は 止められうると思います。
Posted by 小だぬき at 2015年10月24日 16:55
外国産は買いません
Posted by みゆきん at 2015年10月24日 21:57
ここで問題なのは 菓子・コンビニ弁当・ファミレスなどで 今も外国産米をコスト軽減のために使用している点です。これからは 私達が表示をよく見て少し高くても国産米使用製品を買う習慣をつける必要があります。
今の安さをとるか 将来の医療費・健康を選択するかが問われると思います。
Posted by 小だぬき at 2015年10月25日 07:06
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