香山リカのココロの万華鏡:
依存症者、元はステキな人
毎日新聞 2015年11月17日 首都圏版
「アルコール依存症は病気です。そして治療があります!」というユニークな名の啓発イベントに参加した。
企画したのは「生きづらさ」を表現する詩人としても知られる月乃光司さん。
月乃さん自身、20代のときにアルコール依存症に陥った経験を持っている。
イベントの主張は明確で「アルコール依存症は甘えや意志の弱さの問題ではなく、治療が必要な病気だ」というもの。
残念ながら、依存症者は100万人以上いると言われながら、治療を受けているのはわずか4万人あまり。
残りは自分が病気だとも気づかないまま酒におぼれ、周囲に迷惑をかけ自分のからだを痛め続けている。
イベントで当事者の体験談を聞きながら、私はひとりの患者さんを思い出した。
いわゆる一流大学を出て大手企業に入ったその男性は、仕事などでイヤなことがあるたび飲酒の量が増え、診察室に来たときには昼休みにも缶酎ハイを飲むほどになっていた。
「依存症ですね。治療しましょう」と言うと、彼は視線をそらし「家族がいるわけでもないし、どうなってもいいんだ」とつぶやいた。
40代で独身、趣味もなく「酒をやめても楽しいことがあるとは思えない」と言うのだ。
話をしていると、とてもまじめで繊細な人だとわかってきた。
大手企業にいて高収入があれば、それだけで「自分は偉い」と自信を持てる人もいる。
しかし、彼は「そんなものはむなしい」と感じ、生きる寂しさ、しんどさといつも向き合ってきたのだ。
私はしみじみ「よくわかります。もし私があなたの会社にいたら、いばってばかりいる人よりあなたのような人と友だちになりたいと思ったでしょう」と言った。
そして、こう付け加えた。「実はそんな人はたくさんいると思いますよ。ただ、酒びたりでは気づくことができないでしょうけれどね」
「ウソはやめてください」と言われたが、そんな話を何度かするうち、彼は入院を決意してくれて、専門病院を紹介することになった。
酒がなくなったら楽しみがないと言っていたが、そんなはずはない。
今は治療を受けて、新しい友人や趣味などを見つけていると信じている。
アルコールなどの依存症には人間的には魅力的な人が多い。
感受性が鋭いからこそ社会や生活に耐えられず、何かに逃避してしまうのだろう。
そんな人たちに言いたい。
「あなたは実はとてもステキですよ。
そして、お酒や薬物をやめたら、もっともっとステキな人になれるはず」
(精神科医)


ワインだけど飲むとジッちゃんと昔話に花が咲く程度
とっても楽しいお酒タイムよ♪
依存症の怖さは 私は「ニコチン」で体験中。
じっちゃんとの晩酌をこれからも楽しんでくださいね。