知って安心!今村先生の感染症塾
たかが手洗い、されど手洗い
2016年1月12日 読売新聞
年末年明けの連休が終わった学校や会社で、少し遅めのインフルエンザ流行がはじまっています。
このような感染症が流行した時に、いつもすすめられるのが「手洗い」と「咳せきエチケット」。
これらは、インフルエンザだけでなく、いろいろな感染症を防げることができる「万能の感染対策」です。
今日は、この大切な予防のことを、みなさんと一緒に考えてみましょう。
正しい手洗いを身につけよう
冬はノロウイルスやインフルエンザ、夏には咽頭結膜熱(プール熱)、手足口病、ヘルパンギーナなどの子どもの夏かぜ。
感染症は、毎年のように大きな流行を繰り返しています。
乾燥に強いウイルスは、人の手や、汚染された環境を介しても感染が広がっていくため、「手洗い」が予防の基本となります。
トイレで、ちょっと水をかけるだけではいけません。
正しく、しっかりと手洗いをするよう心がけましょう。
洗い残しが多いのは、指先、指の間、親指付近、そして手首です。
日常生活では、口や鼻に触れる「指先」を特に気をつける必要があります。
手洗いをできるようにするためには、子どもの時からの、家での習慣づくりも大切です。
家でいつもやっていると、ちゃんと外でもできるようになるからです。
空気感染する3つの感染症
日常的な感染症で「空気感染」するのは、結核、麻疹はしか、水痘みずぼうそうの3つしかありません。
これらの感染症では、くしゃみや咳がでると、病原体が小さな小さな粒となり、空中で長く浮遊してしまいます。
したがって、同じ部屋などの狭い空間に、より長く一緒にいるほど、感染の危険性が高まってしまうことになります。
飛沫で広がる感染症
一方、インフルエンザ、RSウイルス、マイコプラズマなどの多くの呼吸器感染症は、「飛沫ひまつ感染」でうつります。
飛んでいく粒が空気感染と比べて大きいため、咳やくしゃみで口から飛び出しても、通常は1〜2m以内で地上に落ちてしまいます。
飛沫感染する病原体は、いつまでも空中をただよってはいません。
だから、がんばって空間を除菌しようとしても、そこにはもう病原体はいないのです。
飛沫感染においては、距離と方向が大切です。
距離が離れていたり、違う方向に向いていたりすれば、飛び出した病原体が直接口などに入ってくる可能性も低くなるからです。
本人が気をつける咳エチケット
「うつらない」ように着けるマスクより、「うつさない」ように着けるマスクの方が有効です。
くしゃみや咳によってうつる感染症では、本人が人にうつさないように気をつけることが、最も効果の高い予防策となります。
感染している本人が気をつけることから、この予防を「咳エチケット」と呼ぶようになりました。
口を覆わず、肘でブロック
咳やくしゃみをするときには、手のひらで口を覆うのではなく、水平チョップのように肘の裏を口の前にもっていき、「肘でブロック」するようにしましょう。
子どもは、手のひらで口を覆うと、汚れた手のひらをなめてしまうことがあります。
また、病原体のついた手で触れることで、環境を汚染してしまうかもしれません。
間に合わなければ、横を向くだけでもかまいません。
みんなが咳エチケットを心がければ、感染は少なくなっていきます。
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・くしゃみや咳をする人がマスクをつける。
・マスクをつけてなければ、ハンカチやティッシュで口をおおう。
・ハンカチがなければ、肘の裏でブロックする。
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飛沫感染でも、手洗いは大切
飛沫感染する感染症も、自分の口に触れたりして、病原体が手につくことで感染がひろがってしまいます。
「感染した人の口や鼻→手→環境→他の人の手→口や鼻」…このように、手を介して、人から人へと感染していくのです。
したがって、くしゃみや咳でうつる感染症でも、「手洗い」は大切な予防策となります。
また、日頃から口や鼻をあまり触らないようにすることも、感染を少なくする方法のひとつです。
手洗いのタイミング
感染症が大きな流行になると、様々な環境が病原体によって汚染されてしまいます。
そのような日常生活の中では、流水と石けんによる手洗いを、それほど頻回に繰り返すことはできないかもしれません。
しかし、完璧を目指すのではなく、会社や学校、レジャー施設など、人が多いところを中心に手洗いの機会を増やしましょう。
手洗いする場所や機会がない時には、市販されているアルコール製の手指衛生剤も有効です(ノロウイルスやロタウイルスは、アルコールが効きにくいため、流水と石けんでの手洗いの方がすすめられています)。
また、冬になるとマスクをつけている人も多いと思います。
マスクを着用している時には、仮に手が汚染されても、その手で口や鼻を触れる機会が少なくなるはずです。
したがって、マスクを取る時が、手洗いをする良いタイミングとなります。
たかが手洗い、されど手洗い
毎年、毎年、いろいろな感染症が流行しますね。
でも、どんな感染症がやってきたとしても、日常生活における予防の基本は変わりません。
「たかが手洗い、されど手洗い」
「ゴホンとしたら、咳エチケット」
この習慣が、きっとあなたや家族を救うはずです。

