2016年02月04日

人間性を欠いた笑顔

香山リカのココロの万華鏡
人間性を欠いた笑顔
毎日新聞2016年2月2日 首都圏版

 東京都大田区で3歳の男の子が同居する男性から暴行を受け、死亡する痛ましい事件が起きた。
男性は「しつけ」と称して虐待を繰り返していたという。
一部の報道によると、男性は男の子を正座させ「笑いながらベランダを指さし、『あっち行け。死んでしまえ』と脅した」という。

 もちろん、虐待はそれ自体許されるものでないが、私がとくに気になったのはこの「笑いながら」の部分だ。
幼い子どもに苦痛を与えながら、なぜ笑えるのか。
その心理は想像もつかないが、同じような“笑い”を何度か見たことがある。

 2004年、イラクのアブグレイブ刑務所で、捕虜や戦犯となったイラク人兵士に対し米国人兵士が虐待していたことが発覚した。
人間性を陵辱するような拷問を行い、捕虜たちと写真に納まる米国人兵士の多くは満面の笑みをたたえていた。

 私は大声で在日コリアンなどへの差別や排除を叫びながら公道を練り歩く、いわゆるヘイトスピーチデモへの抗議活動にときどき出向くが、いつも理解できないのは、デモに参加する人の多くが楽しそうに笑っていることだ。

「差別反対」などと書かれたプラカードを手に抗議する人たちや、不安そうに様子を見ている外国人らしき人たちに笑顔で手を振るデモ参加者もいる。
書くのもはばかられるような差別的な言葉や憎悪の表現を口にしながら、なぜそこまで晴れやかに笑っていられるのか。
その言葉と表情のギャップに、私はいつもめまいがしそうになる。

 虐待、暴力、差別。人間として許されないこういう行為に手を染めるとき、人はどういう表情を作ってよいのかもわからなくなり、思わず笑ってしまうのだろうか。あるいは、人間としての分別も良心も捨てた行為を自分でも止められず、途方に暮れて「笑うしかない」という境地になるのか
被害者は、自分が受けている暴力や差別に傷つき、さらに相手の笑顔に傷つく、と二重のダメージを受けることになるのだ。

 いずれにしても、これほど恐ろしくおぞましい笑顔はない。
私たちは日ごろ「笑顔は人をハッピーにする」と信じている。
しかし、「人間性をかなぐり捨てた笑顔」があることも忘れてはならない。
 不祥事で記者会見を開く政治家は、いまのところかろうじて笑っていない。
もしそういう人たちが「やりましたよ。ハハハ」と笑顔になったら、と考えると、そのときが社会の終わりと考えてよいかもしれない。
         (精神科医)
posted by 小だぬき at 00:00| Comment(6) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは
今年の恵方巻は
姫ちゃんが元気になりますようにと
願って食べていたら
姫ちゃんDVかまして
恵方巻が血の味でした
Posted by トモ at 2016年02月04日 00:08
せっかく 姫さんの元気を祈って食べたのにね。
血の味とは・・・。

これから寒さも本格的になります。
トモさん、姫さんも 元気にファイト!!
Posted by 小だぬき at 2016年02月04日 08:09
小だぬき 賛

お早うさんで茣蓙居ます。
平成二十八年如月四日(第一木曜日・先勝)=立春であります。
暦の上では『春』到來です。
しかし、まだまだお寒ぶう茣蓙居ますなぁ。

http://www.youtube.com/watch?v=B2F4qqn-RG8

http://www.youtube.com/watch?v=6sxswEuVg_M

一時に比べ陽が長くなりました。
東京では日出が6時39分、日の入が17時11分だそうです。
この寒ぶうさは暫く續く樣であります。
どうぞご自愛のほどを。
では、また。。。。

Posted by 紋狗 悠之輔 at 2016年02月04日 08:34
これから1ヶ月は 寒さの本番ですね。
陽が長くなってきたことは とっても嬉しいことです。

早春賦は ダークダックスではなく 倍賞千恵子さんのCDで聞いていました。いろいろなアレンジがあり 本当に待ちどおしい「春」ですね。
「春よ来い」は 童謡のよさを改めて感じました。
ありがとうございます。
Posted by 小だぬき at 2016年02月04日 11:32
子供の虐待は悲しい事件
昔は、貧しい家では生まれた子を間引きした時代もあった
世界中で子供の虐待
こうして普通の家庭に生まれた事が嬉しいデス。
Posted by みゆきん at 2016年02月04日 16:00
子どもの虐待なんて 昔は考えられませんでした。
子のために親がガマン・辛抱してくれました。

今は子供より 親自身優先ですものね。
妊娠していけない「子供」が 妊娠してしまう不幸ですかね。それにしても 子には罪はない。やるせない気持ちになります。
Posted by 小だぬき at 2016年02月04日 19:58
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