五木寛之【特別寄稿】
観光ブームの陥穽
2016年5月5日 日刊ゲンダイ
北陸新幹線が開業してからの金沢ブームは、いまだに衰えずに持続しているようだ。
先日、金沢を訪れたとき驚ろかされたのは、駅にも市内にも観光客があふれ返っていたことである。
新宿や渋谷のラッシュ時の雑踏にも劣らない混雑ぶりなのである。
私は、金沢ブームといっても一過性のもののように予想していた。
そもそも京都などとは比較にならない北陸の都市である。
加賀百万石とかいったところで、観光的にはそれほど魅力のある街ではない。
兼六園に忍者寺、近江町市場と東の花街ぐらいが一般的な観光コースである。
21世紀美術館、泉鏡花記念館など、目新しいモニュメントもないではない。
しかし、もともと観光にはあまり熱心でない土地柄だった。
たぶん5、6年住んで暮してみれば、金沢のおもしろさがわかるだろう。
2時間半で金沢へやってきて、1日か2日で駆けもどる旅には向かない土地ではないかと思っていた。
まあ、3カ月か、良くて半年ぐらいのにぎわいだろうと、たかをくくっていたのである。
ところが、その私の推測は、ものの見事にはずれた。
新幹線の開業がきっかけとなって、金沢観光の波は日ごとに増すばかりといった盛況ぶりをみせている。
市内のめぼしいホテルや、寿司屋や、レストランなども、予約がなかなかとれないらしいのだ。 しかも最近の観光客は、適当なガイドブックなどを頼りに歩き回ったりはしない。
ブログや知人友人らの口コミやらで、十二分の情報武装をおこたらない。
定番の高級料亭などより、地元の金沢人が日常通っているような安くて旨い店を自分の足で探して回るという。
「おかげで、行きつけのおでん屋や寿司屋、気軽で家庭的な飲み屋などが観光客であふれ返って、地元の自分たちが締めだされてしまう有様です」 とは、金沢の古い住人の悲鳴である。
私が若い頃、いきつけの浅野川ぞいの鍋物の店なども、最近では団体バスを何台もつらねて客が押し寄せる繁昌ぶりらしい。
これだけブームが続けば、地元の経済効果は相当なものだろう。
街の近代化も目に見えて進むだろう。
活気にあふれる大都市に成長するだろうこともまちがいない。
しかし、最近の金沢には、陰翳というか情緒というか、そんな趣きが失われてきたことも事実である。
成長か、停滞か。
むずかしいところだ。
のっぺりした街になってきたような気がする。
これはこの国全体に言えることかもしれない。
むずかしいところではある。
函館に行くのが大変
在来線を残して欲しかった
新幹線は高いし
JR貨物に客車をつけてくれると「東北線」と第三セクターで青森・函館にいけるのですが・・・。
盛岡駅の地盤沈下ですね。
軍事的にも北海道第七機甲師団の移動は、フェリーかJR貨物牽引になるのですね。
日本の交通施策の駄目さ加減がわかるというものです。
新函館の駅は「木古内」「五稜郭」「大沼」のどこに新設されたのかな?? 青森駅と同様に「函館駅」はさびれていくことになるのでしょうね。
航空便の優位さが 進むと思います。
札幌にしても 千歳空港駅から約50分で札幌ですから・・。