東大教授・矢作直樹さんインタビュー
2013年2月14日 読売新聞「心の元気塾」
(1)救急の現場から霊や神を語る
最先端の救急医療に携わりながら、霊や神といった科学の枠を超えた存在について語り、話題になっているのが東京大病院救急部・集中治療部長の矢作直樹さん(57)。
仕事の性質とは相反するような思索の理由を聞いた。(藤田勝)
――2011年9月に「人は死なない」というタイトルの著書を出版し、その後、気功や超常現象の専門家との対談本まで出されましたね。
「最初の本は、知人の作家の出版記念会で出会った出版社社長に、個人的な関心から調べたり、考えたりしていたことを話したら『面白い。本にしたい』と勧められたのがきっかけです。タイトルは、<肉体は滅んでも霊魂は残る>という意味です。
様々な霊的な現象や研究を紹介しているのでキワモノに思われそうですが、日本人古来の死生観からすれば、そんなに理解できない内容ではないと思います」
――医師としての仕事とは関係があるのですか。
「最近、人はいつか死ぬという当然のことを忘れているように見受けられる患者さんやご家族が増えました。
病院に来れば治ると思い込み、いざ死に直面するとあわててしまう。
いくら医療が進歩しても死は避けられないのです。
生と死についてもっと深く考えて、豊かで幸せな人生を送ってほしい。
医療はサービス業の面もありますから、とにかく患者さんやご家族に少しでも満足してもらえたらと思います。
それが執筆の大きな動機です」
――なぜ死や霊に強い関心を持つようになったのですか。
「何度か、死を覚悟した経験が大きいです。小学校3年生の時に車にはねられて、病院のベッドで医師と母親の会話を聞きながら『死ぬんだ』と思いました。
幸い助かりましたが、以来、死がとても身近なものになりました」
「大学では単独登山に熱中し、冬山で大きな事故を2回経験しました。
最初の墜落事故では、落ち始めた瞬間に死ぬと思いました。
奇跡的に助かったのに懲りず、同じ年、また冬山で滑落しました。
その時も助かって下山した後、どこからか『もう山に来るな』という声が聞こえたのです。
以来、ぱったりと登山をやめました。
あの声は単なる幻聴だったとは思えないのです」
2013年2月15日 読売新聞「心の元気塾」
(2)亡くなった人に見守られている
――医療現場でも不思議な経験はありますか。
「治療がうまくいったはずの患者さんが急変して亡くなったり、逆に助からないはずの患者さんが回復したり、現代医学で説明できないことは多くあります」
「いわゆる臨死体験を患者の口から聞くこともあります。
光を見た体験などを語るのです。
脳内ホルモンの作用で説明されることがありますが、それだけで説明し切れない場合もあります」
「代替医療としての気功に関心を持ち、講習に参加したことがあります。
物理法則では説明がつかない力があることに衝撃を受けました」
「科学は現象のメカニズムは説明しますが、例えば、なぜ宇宙があるのか、という根源的な問いには答えません。
この世界は神秘に満ち、人が知りうる部分はわずかです。
欧米では著名な科学者が心霊研究に取り組んできた歴史がありますし、今も代替医療などへの関心は高いのですが、日本は明治時代に古来の思想を捨ててしまいました」
――もっと宗教を大事にすべきということですか。
「特定の神様を信じる必要はありません。
人知を超えた大きな力の存在を意識すればいいのです。
それを宗教では神と呼びますが、私はそれを『摂理』と呼んでいます。
日本人はよく無宗教だと言われますが、古来、森羅万象に神々の存在を感じ、死者の霊の存在も信じてきました。
そうしたすばらしい感性は、今でも残っていると思います」
「摂理によって人は生かされており、肉体は滅んでも霊魂は永遠である。
亡くなった人の霊に、いつも自分は見守られている。
そのように考えれば、生きている限りは感謝の気持ちを持って生きられ、死に直面してもあわてずに済むのではないでしょうか」
「危険な宗教には近寄ってはいけません。見分けるのは簡単です。
心身を追いつめる、金品を要求する、本人の自由意志に干渉する、他者や他の宗教をけなす、そんな宗教は危険です」(終わり)
矢作直樹(やはぎ・なおき)
1956年、神奈川県生まれ。
金沢大医学部卒。
麻酔科、救急・集中治療、外科、内科など経験し、2001年から、東大医学部救急医学分野教授、同大病院救急部・集中治療部長。
著書に「人は死なない」(バジリコ)など。


コメントは消すことにします。
風邪はご心配おかけしました
早めに寝て
よくなったみたいです
素敵な週末を