2016年06月23日

<不寛容という病 バッシングが止まない日本>

「舛添批判」から、
短絡的すぎる「舛添降ろし」へ。
日本人の不寛容さは、
もはやコントロール不能に!?
「舛添バッシングの過熱、
日本人の不寛容性

第1回<不寛容という病
バッシングが止まない日本>
幻冬舎plus 6月22日(水)6時0分配信

岩波 明(精神科医)

 幻冬舎新書『他人を非難してばかりいる人たち バッシング・いじめ・ネット私刑』が評判になっている精神科医・岩波明氏。

本書は2015年に発売されたが、2016年に入った途端、絶え間なく、メディアによる「バッシング」が起きている。
ベッキーと“ゲス乙”川谷絵音の不倫騒動、SMAP解散騒動、国会議員の「ゲス不倫」と、炎上事件が相次いだ。

その後も、ショーンK学歴詐称事件、乙武洋匡5股不倫騒動、元”ファンモン”のファンキー加藤と”アンタ”柴田の元妻W不倫騒動など、メディアもネットも、日々誰かをバッシングを続け、不倫を詫びる芸能人を、何度も見ることになりました。

そして、今最もバッシングの渦中にある人物といえば、舛添要一前都知事。
責められて当然のことをしていることは否めませんが、その一方で、舛添氏をバッシングする側の過剰な熱量には違和感を感じ、そのエネルギーが向う先に不安さえ感じます。

今こそ、日本人の「不寛容さ」について、あらためて考えていきたい。
精神科医岩波明氏による連載スタート!   
* * *
1.舛添バッシングは「祭り」になり、舛添は「天下の極悪人」となった。
この異常な現象をどう考える!? 
 舛添都知事が、ついに辞任することになった。
頑強にマスコミや一般市民からの批判やバッシングに抵抗し、この苦境を乗り切ることについて秘かに自信をのぞかせていた舛添氏であったが、与党である自民党まで不信任に同調する事態となり、ついに白旗を掲げた。

 週刊文春が、舛添氏の疑惑について第一報を報じたのは、4月27日発売の「5月5日・12日合併号」においてである。
週刊文春WEBは、舛添氏の公用車流用疑惑について、次のように伝えた(2016.04.26 16:02)。
 ……舛添要一東京都知事(67)の「豪華すぎる海外出張」へのブーイングが日に日に高まっている。
だが当の舛添氏は、4月12日から18日まで例によってファーストクラス&スイートルームでニューヨーク、ワシントンを外遊した。

そんな折、小誌にある「内部告発」がもたらされた。
「舛添都知事は週末に東京を離れて、公用車で湯河原にある自分の別荘を訪れている」

 小誌が早速、情報公開請求によって、舛添氏の公用車の運転手が移動経路を記録した「庁有車運転日誌」を取り寄せたところ、驚くべき事実が判明した。
 この記録と小誌の取材によると、舛添氏は、昨年4月からの約1年間で、実に49回にわたって、毎週末、公用車で、温泉で名高い神奈川県湯河原町にある別荘を訪れていたのである。
都内のハイヤー会社によると「都庁と湯河原の往復で約八万円かかります」というから、その総額は単純計算でも400万円を超える。

 これに続いて、国会議員時代における政治資金の私的流用、都の公用車での美術館めぐりなどの疑惑が次々と噴出し、過去の身内とのスキャンダルなどプライバシーに関する内容も繰り返して報道されることとなり、だれにもコントロールができない「祭り」状態となった。  

実は、このような追求を舛添氏が受けるのは、初めてではなかった。
都知事に就任後の平成24年においても、画廊やアートギャラリーなどから、政治資金で、掛け軸や版画などの美術品を多数購入していたことが発覚し、報道陣から追及を受けている。
舛添氏は、美術品は自ら店頭やネット通販で入手し、自宅や知事室に置いてあるとし、「研究本を書くための資料だ」と弁明したが、この時はうやむやのままに終わっている。
けれども、今回は様子がまったく違った。

ネット上においても、マスコミ報道でも、舛添氏に対する批判が殺到し、まさに「天下の極悪人」扱いとなった。

 平成26年2月の都知事選では、210万票あまりを得票し、宇都宮健児弁護士、細川護煕元首相らを破って当選した舛添氏は、都民の人気も高く、厚生労働大臣の経験もある実力派の政治家として期待されていたはずである。
けれども、任期の半ばあまりにおいて、予想もしない激しいバッシングを浴びて退場することになったのである。

2.本人が動けば動くほど、「舛添疑惑」は非難の目を浴びることに。
 この結末には、舛添氏側の「まずい」対応も関係している。
 おそらく、「火消し」とするつもりで知事が用意した「公平な第三者」という触れ込みの弁護士による調査報告は、さらに舛添氏に対する不信感を増幅する結果となった。
政治資金の個人的流用に関して、調査した弁護士たちは、チャイナ服などの購入などについて、「不適切であるが、違法ではない」と強弁したが、この説明にだれも納得しなかった。

 知事は打つ手を間違えたのである。
彼とその取り巻きは、マスコミや都民をなめていた。
しばらく以前であれば、「権威のありそうな」弁護士が断言すれば、あるいは一般市民は仕方なく納得させられてしまったかもしれない。
 けれども、今やそのような「牧歌的」な時代ではない。

SNSの世界では、「第三者」とされた元検事である佐々木善三、森本哲也の二人の弁護士の過去の「仕事」が瞬時のうちに洗い出され、批判をさらに増幅する結果となった。
彼らは政治家の疑惑の「火消し」を生業にしてきたわけで、今度も出来レースに違いないと見なされたのである。

 平成28年6月上旬の時点では、都議会における厳しい追求やバッシングが繰り返された。
マスコミ報道において、視聴率のとれる「舛添疑惑」は重要なコンテンツとなった。
しばらく、このような状態が続いたが、「面の皮が厚い」舛添氏は、猪瀬前知事のようにあっさり白旗を振って辞任する様子はみせなかった。
もっとも本人は、当初は口先三寸で逃げ切れると甘く見ていたにもかかわらず、盛り上がるバッシングに対して、次第に焦りを募らせていたようである。

 このような状況を東洋経済オンラインは、「舛添知事、逃げ道ふさがれ辞職へまっしぐら」と次のように伝えた(安積明子、平成28年6月9日)。
 舛添要一東京都知事の政治とカネを巡る問題が終幕へと向かいつつある。
舛添知事は「第三者」の弁護士に調査をさせ、それを明らかにさせれば批判の勢いは収まり辞任を回避できると考えていた。
しかし、その目論見は完全に外れようとしているのだ。……(中略)……  

すでに他の逃げ道はふさがれており、辞職までまっしぐらの舛添知事。
しかしてそのタイミングはいつなのか。与党が参院選との“ダブル選”を嫌がっているため、「9月辞職説」が聞こえている。
 参院選が終われば、リコールが始まる可能性も大きい。
リコールには約147万もの有権者の署名が必要になるが、多くの都民は進んでこれに応じるだろう。
いくら舛添知事が抗おうとも、それを止めることは不可能だ。すでに政治の歯車は大きく動き出している。

 舛添氏をめぐる状況は、この記事の予想よりも、さらに急速に展開した。
当初、陰ながら舛添氏を支持していた自民党であったが、間近に迫った参議院選挙への悪影響を恐れ、不信任に賛成するに至った。
この時点で、頼るべきバックを持たない舛添氏は、辞任する以外に道は残されていなかった。  * * *  
次回へ続く。
いよいよ、日本人の不寛容性がいかなるものか、斬り込んでいきます。

■岩波 明(精神科医)
1959年、横浜市生まれ。
東京大学医学部医学科卒。
医学博士、精神保健指定医。
東大病院精神科、東京都立松沢病院などで診療にあたる。
東京大学医学部精神医学講座助教授、埼玉医科大学精神医学講座准教授などを経て、2012年より昭和大学医学部精神医学講座主任教授。
精神疾患の認知機能、司法精神医療、発達障害の臨床研究などを主な研究テーマとしている。
著書に『狂気という隣人』『うつ病』『文豪はみんな、うつ』『生の暴発、死の誘発』『精神科医が狂気をつくる』『心の病が職場を潰す』ほか多数。
posted by 小だぬき at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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