平均貯蓄額1820万円の真実
現役世代に迫りくる
無数の「格差」に要注意!
2017.05.22 messy
こんにちは!ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子です。
先日、総務省より2016年度家計調査「貯蓄・負債編」が発表されました。
この調査では、国民の貯蓄・負債状況などが調べられています。
今回はこの調査を参考に、平均貯蓄額について一緒に考えてみてほしいと思います。
これからは、お金関連の事柄に「格差」が付いてまわります。
自分がいろいろな「格差」の残念なグループに入ってしまわないように、対策を考えていきましょう。
なぜ平均貯蓄額に
届かない人が約8割も?
貯蓄が増えている実感を持つ人が少ない中、2016年度の平均貯蓄額が4年連続で増加し、2002年以降で最高額を打ち出したというニュースは、多くの人を驚かせました。
おそらく読者の皆さんも平均貯蓄額1820万円と聞いたら同様の感想を持たれるでしょう。
貯蓄ゼロの世帯が3割というデータもあるくらいです。
1820万円なんてどう考えてもおかしいような気がします。
おおよその平均貯蓄額である1800万円を基準にしたデータを見てみると、勤労者世帯、つまり普通に働いている現役世代の77.8%が貯蓄額1800万円以下となっています。
約8割ですから、普通の人達は1800万円も持っていないということです。
実のところ平均貯蓄額を引き上げていたのは高齢者世帯で、実に44.5%が1800万円超とのこと。
しかも、勤労者世帯と高齢者世帯の分布を比べると、勤労者世帯の最も多くが分布されている貯蓄額は「100万円未満」で12.8%、それに対し高齢者世帯は「4000万円以上」で18.6%です。
働いてきた年数が違うので当然といえば当然ですが、将来4000万円以上のグループに入ることができるかと言われると自信がなくなりますよね。
日本にはこれほどの「世代間格差」があることを自覚しなくてはなりません。
将来の貯蓄格差はなぜ生まれるか
さらに高齢者世帯を詳しく見てみると、無職高齢者世帯の平均貯蓄額は全体の平均よりも約500万円多い2363万円です。
この理由は、定年退職時に受け取った退職金でしょう。
これからも、退職金で大きな差が付くのは間違いありません。
退職金がなくても、違法でもなければブラック企業でもありません。
退職金が3000万円の会社もあれば、0円の会社もあります。
現役時代に同じような暮らしをしていても、退職後に大きな差が付く可能性が高いのは言うまでもありませんね。
これが「退職金格差」です。
もう定年退職だの、老後なんていう概念を捨てなくてはいけないかもしれません。
「元気であればずっと働くことを考える時代」という声もちらほら聞こえてきます。
ただ、元気に働ける高齢者というのは概して一流企業や公務員の退職者で、多額の退職金を受け取っています。
退職金ももらっていて、さらにその後も働くこともできるわけで、そうでない人との差は広がるばかりです。
さらに、これらの老後の勝ち組は公的年金の額も多いということで、「高齢収入格差」も生まれます。
もう1つ考えられるのが、親のお金。
今の高齢者が手元にあるお金を使い切らなければ、いつか次世代に回ってくることになります。親がお金を持っている人とそうでない人でもかなり差が付きます。
これが「相続財産格差」です。
格差の残念組に入りそうなのは?
将来の格差の残念組に入ってしまいそうなケースをまとめてみましょう。
・退職金がない人(自営業、退職金制度のない会社)
・公的年金が少ない人(個人事業主、年金未納者)
・親のお金に期待が持てなそうな人
・将来仕事をする自信がない人(能力や気力や体力など)
・何も対策をしていない人(貯めていない人)
このケースに当てはまる人は、何か早めに対策を講じた方が良さそうです。
老後のお金作りであれば、最低でも確定拠出年金くらいはやっておくと良いでしょう。
今年から加入者の範囲が拡大され、20歳以上のほぼ全国民が加入できるようになりました。
会社でやっている場合もあり、これを企業型といいますが、自ら任意の金融機関で申し込む個人型(iDeCo)に加入することも検討してみましょう。
この制度については次回解説したいと思います。
お金の不安といえば、いろんな調査で上位に入るのは「老後」です。
ついては、貯蓄の目的も「老後」という方が多いです。
であれば、合理的に貯めていきたいですね。
川部紀子
1973年北海道生まれ。
ファイナンシャルプランナー(CFPR 1級FP技能士)
・社会保険労務士。
大手生命保険会社のセールスレディとして8年間勤務。
その間、父ががんに罹り障害者の母を残し他界。
親友3人といとこも他界。
自身もがんの疑いで入院。
母の介護認定を機に27歳にしてバリアフリーマンションを購入。
生死とお金に翻弄される20代を過ごし、生きるためのお金と知識の必要性を痛感する。
保険以外の知識も広めるべくFPとして30歳で起業。
後に社労士資格も取得し、現在「FP・社労士事務所川部商店」代表。
お金に関するキャリアは20年を超えた。
セミナーに力を入れており講師依頼は年間約200回。
受講者も3万人超。
テレビ、ラジオ、新聞等メディア出演も多数。
twitter:@kawabenoriko
サイト:FP・社労士事務所 川部商店 川部紀子】
ジッちゃんは無し
まだ退職金には手をつけていないのが救いです。
早く 旅行のできる身体に戻りたいです。
私の勤務した公務員の賃金統計も どの範囲まで入れているの?? と思う程 マスコミ平均より低かった覚えがあります。数字の背景まで冷静に考えないと誤った分析結果になります。
平均50点でも、半数が100点・半数が零点の場合もあるし、全員が平均前後の場合もありますもの。
平均は有意差のない 分母が大きいものでないと騙されやすいですね。