永田町の裏を読む
加計学園問題と改憲宣言で
追い込まれた政権の自滅への道
2017年6月8日 日刊ゲンダイ
高野孟ジャーナリスト
どうも安倍政治が悪い方へ悪い方へと傾いているように思うのだが、と自民党のベテラン秘書に問うと、ズバリ「その通り」という答えが返ってきた。
「森友学園もさることながら、加計学園の方が深刻だ。
前川喜平前文科事務次官の反乱を抑え込もうとして、出会い系クラブ通いをするような卑しい人間なんだという人格攻撃を仕掛けた菅義偉官房長官の小細工が過ぎて、かえって傷口を広げ大失敗。
また安倍晋三首相も、加計学園問題から目をそらせようとしたのか、2020年9条改憲宣言をしたが、これも拙速粗暴に過ぎる。
追い込まれて、焦ってジタバタしてオウンゴールを繰り返すという悪いパターンに入ってきた」と嘆く。
実際、JNNの6月初旬の世論調査でも、加計学園問題では、政府側説明に「納得できない」が72%、前川前次官や総理秘書官らを「国会に呼んで話を聞くべき」は70%に達する。
7割というのは厚過ぎる世論の壁で、蹴散らして進もうとすれば必ず傷を負う。
改憲宣言も、一見するとなかなか巧妙に組み立てられていて、9条1項・2項はそのままにして第3項を「加憲」するという形で、護憲派を動揺させ民進党内の保守派を誘い出す一方、公明党を引きつける。
他方、大学授業料無償化を掲げることで維新の会に手綱をかける。
「しかし」とベテラン秘書が言う。
「あまりに軽々しい。自民党が“党是”として掲げてきた改憲って、こんな話だったっけ? と驚いた党員が多い。
党がまとめた改憲草案と整合しないことも戸惑いの要因。
何よりもまずいと思うのは、党憲法改正推進本部で長年苦労し、衆参両院の憲法審査会を通じて民進党はじめ野党との合意を丁寧に積み重ねることに腐心してきた、保岡興治本部長、船田元同代行、中谷元同代理など我が党の“憲法族”主流を脇に押しのけるような人事をして、首相側近の下村博文を本部長補佐、西村康稔を事務局長補佐、佐藤正久事務局次長などを押し込んだことだ。
『野党との合意などまだるっこしいことを言っていては進まない』という安倍の前のめり姿勢の表れだ」
この調子でいくと、年内にも自民党として安倍宣言に沿った案をまとめ、来年前半には発議して国民投票を実施するということで突き進むのだろうが、両院の憲法審査会で自民党案を“強行採決”するということができるのかどうか。
安倍も菅も近頃、目が血走っているようで気味悪い。
真実は出て来ない気がします。
自分たちのご都合主義の結果を出すでしょうね。
石破氏の発言なども このことを恐れてのことと思います。
野党の徹底抗戦が 与党の常識派を励まし安倍への造反を励ますことになると信じます。