熱血!与良政談
安倍政権、物言えぬ暗さ=与良正男
毎日新聞2017年6月7日 東京夕刊
今回も学校法人「加計学園」をめぐる話を書く。
同学園の獣医学部新設計画について「行政がゆがめられた」と証言した文部科学省の前川喜平・前事務次官に対し、安倍晋三首相は現職中に意見を言う機会はあったと強調し、「なぜその場で反対しなかったのか不思議だ」とラジオで反論した。
同じ思いをしている人もいるだろう。
その点は前川氏本人が「力不足だった」と既に認めている。
だが、なぜ現職中に言わなかったのか、首相が本当に「不思議だ」と考えているとすれば、これはより深刻だ。
今月1日、外務省は森本康敬・釜山総領事を退任させた。
韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦問題を象徴する少女像が設置されたことへの対抗措置として政府は森本氏を一時帰国させた。
森本氏はそれらの判断を私的な会食の場で批判し、それが官邸に伝わって更迭されたというのが定説だ。
一昨年夏には総務省側がある幹部の昇格を提案したが、菅義偉官房長官が「それだけは許さない」と拒否した−−と先日毎日新聞は報じた。
この幹部は菅氏が主導したふるさと納税創設に反対していたそうだ。
府省庁の幹部人事は今、官邸が牛耳っていることは本欄で書いた。
人事への報復を恐れ、意見を言いたくても言えない、言わない状況を作り出しているのは今の政権なのだ。
前川証言で印象に残った言葉を。
現職中知り得た情報を明かすのは公務員の守秘義務違反ではないかという指摘に対し、前川氏はこう言った。
「秘にしてはいけないものを、国民に知らせるのはむしろ積極的にやるべきことだ。
それがなかったら民主主義は成り立たない」 その通りである。
そして「官邸主導」は小泉純一郎政権以降に強く叫ばれるようになったとの見方を示したうえで、こう語った。
「小泉政権は反対意見もそれなりに受け入れてくれた。
抵抗しても報復はなかった。
風通しのよさ、明るさがあった」
そう。確かに小泉時代は今と比べて明るかったし、自由にものが言えた。
力ずくで(時に「出会い系バー」の話を持ち出すなどして)異論を封じる安倍政治の本質を突いている言葉だと思うが、首相はそれにも聞く耳を持たない。
(専門編集委員)
安倍政権がこのまま続いたら暗い独裁社会になるね。
安倍氏の退任後は 孤立し惨めになると信じます。
後の世代が修正していかなければ 「独裁」者が支配する怖い世界になりますね。
有権者が本気で怒りの投票をし 自公政権を倒さればと思います。