2017年07月14日

<年金プア 不安の中で>60代夫婦 食費節約、香典も断る

<年金プア 不安の中で>
60代夫婦 
食費節約、香典も断る
2017年7月13日 東京新聞

 公的老齢年金の受給額が少ない高齢者の世帯には、支出を徹底して切りつめなければいけないケースも多い。
パートなどで働いても、生活資金の不足分を埋めるだけの収入を得られないことが多いからだ。節約を徹底している世帯の実情を聞いた。
(白井康彦)

 東海地方に住む六十代後半の男性Aさんは、妻と合わせて公的年金の年金額は月約七万三千円。
いずれもパートで働き、その収入は合計で月十二万〜十三万円という。
「家計簿をきちんと付けて節約を徹底する毎日です」。

Aさんが、年金関係の書類を見せながら説明してくれた。
「この先、パートを何年続けられるか不安です」
 自営で自動車関連の仕事をしていたAさんは国民年金加入者。
六十代の妻は一時、会社勤めをしていたが、厚生年金の加入期間は五年と短い。
Aさんは仕事がうまくいかず、五十代前半の時期に破綻。
一億円以上の借金を抱え、返済に追われた。

「その影響で今も貯金は約二十五万円しかありません」。
そのころは、夫婦とも年金保険料の支払いはできず、滞納期間は十数年。
その分、現在の受給額にはね返っている。

 古い二階建ての借家住まいで、家賃は月約六万円。
パート先への通勤は、二人それぞれが軽自動車を使っている。
二十六年前と十五年前に発売された中古車。
ガソリン代や自動車税で月平均約二万円ぐらいはかかる。

 そのほか電気代などの光熱費や携帯電話代が合計で約二万円。
国民健康保険や介護保険の保険料は月約七千五百円。
新聞代が三千円余り。
年金とパート代の合計収入から、固定的な支出を差し引いていくと、残りは九万円を割る。  

「このあたりは田舎なので、野菜や米を知り合いが持ってきてくれるのがありがたい」。
それでも食費は切りつめている。
朝食は主に、二人で食パン三枚だけ。
外食はほとんどせず、買い物はスーパーの安売り時間帯などを利用。

出費を極力抑え、「食費は夫婦で月二万円ほど」。
今の住まいに十年ほど居住しているが、近所の住民や親族らへの香典やお祝いなども断っているという。
 二〇一六年の家計調査によると、六十五歳以上の夫婦のみの世帯の平均支出額は、家賃などの住居費を除くと約二十二万五千円。
Aさん夫妻は多くて約十四万円なので、約八万五千円も平均レベルより低い暮らしぶりだ(図参照)。
年金プアー.jpg
「夫婦でいろいろ話し合いながら節約しているので乗り切れている。もし一人になったらどうなるのか。今後のことを考えると、とても不安です」

◆支援団体が食料品配布
 年金プアの世帯は多いが、自治体や貧困者支援団体が支援活動を行うには工夫がいる。
具体的な支援策がほとんどない上、対象者も見つけにくい。
 賞味期限に近いなどの理由で市場に流通させられない食品を企業から譲り受けて生活困窮者らに無償提供しているフードバンク団体「神奈川フードバンク・プラス」は六月十三日、年金生活者が多い神奈川県内の古い公営団地で、食料品の配布を行った。

十五日が年金受給日のため、その直前に行えば、多くの人が集まるのではと考えたという。
事前にチラシを配布したこともあり、食料品を運ぶ軽トラックが到着する前から行列ができ、約百六十人もの住民が受け取った。
 「古い団地なので、年金受給者は多いと思ったが、反響は予想以上」と理事長の本岡俊郎さん(70)。
「こうした支援を今後も続けていきたい」と話した。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(4) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お疲れ様です。同じ60代夫婦として身につまされる思いで読まさせて頂きました。
私の場合はまだ厚生年金なのと田舎暮らしなので何とか年金だけで暮らしていけそうなのですが、去年 癌を患い手術しました。保険には入っていたので持ち出しは無かったのですが、その保険も今年 満期になり継続も、又 新たに入る事も出来ず、今は大きな病気だけが心配です。
田舎暮らし故、農地を少々と古いながらも一応持ち家なので、家賃は掛からず野菜は自家栽培が可能です。
病気にさえならなければ夫婦二人 なんとか生きて行けそうです。
60代なんてまだ若い。でも何時 何が有ってもおかしくない年代でも有ります。同じ60代との事ですが、残りの人生無理せず、のんびり、マイペースで生きましょう。
Posted by ninomae-hajime at 2017年07月14日 02:41
コメントありがとうございます。
癌の手術をされたとのこと。
今年の暑さで体力を消耗させないように気をつけてくださいね。
私も脳梗塞・脊髄ヘルニアで闘病ています。
お互いに「生き抜く」決意だけは 忘れないように・・、
日々を送りたいものです。

本当は「医療」「生活」「治安」「防衛」「教育」は。税で賄うのが 国家の責任です。
「利益」を想定できないものだからです。
若いころから定年まで 国家に納税、リタイア後も「自己責任」が強調される国に住んでいると思うとゾーッと
する気持ちです。

来年で前期高齢者になりますが、残された日々を「あきらめない」「考える」「可能な範囲で行動する」ことで
悔いなきものにと思っています。

ご夫婦が 今後とも「日々好日」であられるることを 祈ります。
Posted by 小だぬき at 2017年07月14日 03:31
いつか私も年金暮らし
って言うか年金で食べていけるかしら・・・しくしく
Posted by みゆきん at 2017年07月14日 15:21
みゆきんは「国民年金」ですね。
国民年金基礎は 最高で月7万程度。生活保護と組み合わせないとムリかな・・・。

「国民年金」は、あくまでも個人貯蓄・利益金の補助と、制度設計されているのが問題です。
Posted by 小だぬき at 2017年07月14日 22:12
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