2017年10月09日

安倍首相の土俵に乗ってはいけない 総選挙「本当の争点」

安倍首相の土俵に
乗ってはいけない
総選挙「本当の争点」
2017年10月8日 日刊ゲンダイ

浜矩子 同志社大学教授

 今度の総選挙は当初、安倍首相のご都合主義解散への賛否と、それを自ら「国難突破解散」と名付けたことが最大の焦点でした。
もちろん、安倍首相という「国難」を突破するという意味ではその通りなのですが、そこへ「希望の党」なる不気味な存在が出てきて、どうも有権者がまともな選択をできないような異様な与野党対決の構図になってしまった、というのが現状ではないでしょうか。
アホノミクスの皿も小池さん(希望の党代表)の皿も、いずれも“毒皿”という感じですからね。  

さすがに枝野さんがリベラルの旗を掲げた新党を結成したので、多少は逃げ道というか、正常な受け皿ができたと思っています。

 小池新党の不気味さというのは見ての通りですが、「旧民主党系を排除する」「安保法制と改憲に賛成」「改革保守」などと言って、要は「保守」であることを前面に出しています。
「リアルな外交安全保障」という表現も使っていました。
極めてネオコン的な色彩が濃い。
ネオコンの行き着く先は国粋主義です。

その意味でグリーンモンスターとアホノミクスの大将は非常に似ていますが、前者の方が「粘り腰」がありそう。
パワーアップバージョンの国家主義者に、どうも一段と警戒が必要そうです。
 実際、安倍さんと小池さんの発言には共通点が多い。
両者が連携してしまう可能性もあり、そこに維新が加わったら、国家主義の大同団結ができあがってしまう。
大政翼賛会ですね。
だから“本当の”野党が本当に頑張らなければいけないと思います。

■「国難」を突破できるのか
 こうした状況を踏まえた上で言いたいのは、争点をどう展開していくのかということです。
安倍首相の言う消費税の使い道の変更や少子高齢化などは、すべてが後付け。
北朝鮮の危機対応にしても、だったら選挙をやっている場合じゃないということにもなる。

 ですから、“本当の”野党は安倍さんが設定する議論の土俵に乗らないで、今、この国が直面している「本当の問題」を争点として打ち出していくべきだと思う。
それができれば面白い戦いになる。

 本当の野党が着眼すべき「本当の問題」とは、何か。
それは、まさしく国難突破です。
国粋主義化という名の国難から国民を守り切れるか、ということです。

「国民の上に国家を置く」ことを目指しているのがチームアホノミクス。
グリーンモンスター軍団からも同じ香りがプンプンしてくる。
チームアホノミクスは財政節度の放棄を正当化する方向に向かっています。
その行き着く先は、日銀による財政ファイナンスの制度化です。
そうなれば「経済ファシズム体制」の完成です。
そんなことを許してはいけないという観点から、切り込んでいく必要がある。

「人づくり革命」も国家のために国民を使うという考え方ですから、こうしたテーマを「本当の問題」としてうまく議論のテーブルに乗せられるといい。
グリーンモンスター軍団からも、その辺についてのスタンスを引っ張り出せるといいですね。
緑の衣の陰にどんな鎧が隠れているのか、打倒アホノミクスのついでに暴くことができれば楽しい。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]