春闘労使交渉
賃金底上げへの起点にしたい
2018年02月25日 読売新聞「社説」
大企業が賃上げを牽引し、中小企業や非正規労働者に、その裾野を広げていきたい。
春闘の労使交渉が本格化している。
労使は、3月中旬に予定されている経営側の集中回答日まで、賃上げなど待遇改善を巡る協議を続ける。
デフレ脱却を確実にするためには、労働者全体の賃金底上げが欠かせない。
まずは、大手企業が、高水準の賃上げを実現できるかがカギを握る。
労使双方の積極的な取り組みが期待される。
経団連は、2014年春闘から賃上げを呼びかけたが、2%台にとどまった。
今回は3%を掲げ、中でも基本給を一律に引き上げるベースアップと定期昇給での積極的な対応を求めた。
景気は好調に推移し、今年度の上場企業全体の最終利益は、過去最高を更新する見通しだ。
春闘への追い風と言える。
3%賃上げを明言する企業もある。
だが、主要企業の労働組合が要求する水準を見れば、全体としての目標達成は容易ではない。
日本を代表する企業の一つであるトヨタ自動車は、労組が、ベアを月額3000円要求した。
満額回答を得ても、定期昇給を含めて2・9%増にとどまる。
日産自動車は2・4%、電機大手の日立製作所も2・8%だ。
賃上げを巡って、経営側のみならず労組の慎重姿勢が目立つ。
最近の株式市況の乱高下や円高の進展、自動運転をはじめとする開発競争の激化など、経営を取り巻く不安要素を勘案して要求を抑えた面があるのだろう。
無論、賃上げは、企業ごとの業績と見通しに基づき、労使の協議で決めるものだ。
業績低迷で原資に乏しい企業も少なくない。
賃上げを固定化するベアと定昇だけでなく、賞与や手当、人材高度化のための研修など様々な手法の組み合わせが求められる。
労使が協力して「人への投資」にアクセルを踏んでほしい。
政府の役割も重要だ。
業績不安を抱える企業の積極投資を促す規制緩和を促進すべきだ。
業界の枠を超えて技術を結集し、人工知能(AI)やロボットを活用した生産性向上策を後押しすることも必要である。
働き方改革による長時間労働の是正で、残業代が減るとの見方もある。
従業員の手取りが減少すれば、消費喚起はおぼつかない。
企業が生産性を伸ばし、収益を増やして、それを原資に賃上げで従業員に還元する。
こうした好循環を生み出すことが大切だ。
生涯賃金の平均額の5割では、退職金と父母の遺産の切り崩しでないと生活困難。
高級官僚や政治家は、1年でも200万円前後の年金で「文化的な生活」ができるのか試して欲しいものです。
欧米の老後保障の手厚さを目標にして欲しいです。
議員年金の復活には熱心でも 低年金の改善には不熱心な政府・与党にNO!!