2018年03月29日

東京都迷惑防止条例改悪の危険、今日 本会議で強行か・・

東京都迷惑防止条例、
改正に抗議デモ…
警察、恣意的判断で逮捕可能か
2018.03.28 Business Journal

文=林克明/ジャーナリスト

3月22日午後5時半、東京都議会場前の道路では、この日都議会の警察・消防委員会で可決された東京都迷惑防止条例の「改正」案に反対する人たちが、抗議の声を上げていた。

「今さら小池に忖度するな!」
「賛成した議員はみんなヤメロ!」
「迷惑都知事は辞めろ!」
「賛成議員は恥を知れ!」

 改正案は、29日の本会議で正式に成立する可能性が高い。
彼らはなぜ、この都条例の改正に強く反対しているのか。

そもそも東京都迷惑防止条例は1962年に制定され、繁華街で迷惑行為を重ねる愚連隊などを取り締まる目的だった。
それが何度か改正され、現在の条例には盗撮行為や痴漢行為も規制する内容も盛り込まれている。

「迷惑防止」を強化するのだから、都民にとって必要なことではないかと思えるが、改正内容を見ると、迷惑行為を防止するというよりは、改正案そのものが都民・市民にとって迷惑で危険な存在だとわかった。

 改正ポイントは2つあり、「盗撮」と「つきまとい」の防止をさらに強化するというものだ。

このような行為を「特定の者に対するねたみ、恨みその他の悪意の感情を充足する目的」で行うことを取り締まる。

抗議集会に駆けつけた元日本弁護士連合会(日弁連)会長の宇都宮健児弁護士は、都条例が改悪であるというポイントを次のように指摘する。

「国会で森友問題が騒がれているタイミングで、東京都はこっそりと条例改悪しようとしています。
この危険性が、国会周辺で森友問題に関して抗議する人々にも十分に伝わっていません。
国会周辺のデモを取り締まりたい警察は取り締まる武器が必要であり、その武器が東京都迷惑防止条例改悪なのです」(宇都宮弁護士)

 森友問題などに関して連日、国会周辺では抗議デモが続けられている。
集まった人たちは、安倍晋三首相、昭恵夫人、佐川宣寿前国税庁長官、麻生太郎財務大臣など、具体的に名を挙げて厳しく批判している。
 このような言動が、条例が改定されれば警察の恣意的判断で取り締まられる可能性がある。
権力側から見れば、絶妙のタイミングでの「改正」だ。

29日の本会議で成立すれば、7月には施行される。
宇都宮弁護士はさらに続ける。

「強行成立させた特定秘密保護法、共謀罪(テロ等準備罪)と同じ威力を持つ条例改悪です。
悪政を追及して正そうと批判する言論表現活動を取り締まる目的が、これらの法律や条例に共通しています。

(改定のポイントの「つきまとい」と「盗撮」行為を)『悪意の感情を充足する目的』で取り締まるという点が問題です。
悪意の感情などは内面の問題であるのに、警察の恣意的判断に委ねられてしまうことは問題です。
森友・加計問題で安倍首相らを非難することも『悪意の感情を従属する目的』とされかねません。
だから、警察の判断で国会デモに参加する人たちをいつでも逮捕できる余地を与えてしまうと考えられます」

 もうひとつのポイント、「つきまとい」に関してはどうか。
『つきまとい(みだりにうろつく)』行為が取り締まられることは、記者の張り込み取材が規制対象になる恐れがあります。

いま問題になっている森友問題で、財務省官僚の自宅周辺を張り込んだり、前国税庁長官の佐川(宣寿)さんの自宅や滞在先をうろつくことも規制される可能性があります」(同)

 取材活動はもちろん、労働組合や市民運動が団交や批判の対象者がいる場所に出入りし「うろつく」ことは当然あるだろうが、このような動きもできなくなる。

委員会で反対はたった1人
 さらに、取り締まり対象には、電子メールやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)での発信も含まれている。
そのため、日常的に何気なく批判的な言動をアップすれば、逮捕されるおそれは十分にある。
批判内容が名誉棄損と解釈される場合が要注意だ。

通常、名誉棄損は告訴するなどの行為が必要だが、改正条例案では被害者が訴えていなくても警察の判断で捜査できてしまうのだ。
 つまり、捜査当局の意向でどうにでもなる、民主主義と言論表現の自由に対する時限爆弾のような都条例改悪案だ。

それなのに、警察・消防委員会で反対したのは共産党の大山とも子議員ただ1人で、都議会民進党・立憲民主党、都民ファースト、自民党、公明党などは賛成した。
 その大山議員が抗議集会に駆けつけた。

「二十数年間都議会議員をしていて、皆さんからのファックスや意見など、数日間でこんなに盛り上がったことはありませんでした。
都条例改定案は、『悪意ある』などと内心の問題に踏み込む内容です。
悪意があるかないかを判断するのは警察です。
そもそも改正する必要のある具体的事実(立法事実)があるのかと聴いたところ、警視庁は『統計がないから』と答えを避けました」(大山議員)

 このように、今回の改定はまったく必要性がないと指摘した。
そして大山議員は最後に「29日の本会議がある」と、世論の動向によっては本会議で否決できるとして、わずかな望みを抱いていることを明かした。

 重大な懸念があるにもかかわらず、たった1時間の審議で委員会採決をしてしまうとは、都議会と都民をバカにしているとしか言いようがない。

警視庁の提案どおりに改正案を都議会に提出した小池百合子都知事の目的は、不正に対して街頭で抗議する市民を“排除”することなのだろうか。

ニュースサイトで読む:
http://biz-journal.jp/2018/03/post_22782.html Copyright c Business Journal All Rights Reserved.
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
大事な国会が森友で台無し
Posted by みゆきん at 2018年03月29日 15:24
森友問題は、今までの国有地売却の不透明さや政治家関与の可能性を示しました。
行政を信用できるか、真実をウヤムヤにしての昨年の衆議院選挙の結果は 何だったのだろうか・・・。
まさに 民主主義の土台が問われる問題です。
何も政府提案の改悪法が棚ざらしになっても 国民は困りません。
東北列藩同盟を 与野党でつくり、長州の安倍内閣を打倒したいものです。
Posted by 小だぬき at 2018年03月29日 18:51
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