足立区でひもとく「貧困」
23区内で最多
「生活保護世帯」を狙う
貧困ビジネスの魔の手
2018年4月27日 日刊ゲンダイ
貧困層や低所得者をターゲットに暴利をむさぼるビジネスを、貧困ビジネスと呼ぶ。
借金がある人、若い非正規労働者、生活保護世帯、場合によっては年金生活者までもがターゲットにされるという。
生活に余裕のない貧乏人から金が取れるの?
そう思いがちだが、現実は違う。
細く長く――。
まるで悪代官が農民らから年貢を搾り取るように、貧困層から確実に金をむしり取っているのが現実だ。
「日本の『地下経済』最新白書」(SB新書)の著者で、経済学者の門倉貴史氏がこう言う。
「いい例が脱法ハウスです。
役所へはレンタルオフィスで届け出を出しているのに、室内を3畳程度の居住スペースに区切り、共同住宅仕様にした一種のシェアハウス。
非正規で働く未婚の単身者や、地方から出てきてアパートを借りるには予算的にキビシイ若者をターゲットに荒稼ぎをする。
料金が安いとはいえ、間取りが狭い部屋の面積から考えたらメチャクチャ割高です。
2016年度の国交省の発表では、全国に2004棟もあり、うち1527棟が東京に集中している。
ざっと76%。
新宿区や世田谷区に多いのも特徴です」
生活保護世帯も貧困ビジネスの格好のターゲットだ。
東京都福祉保健局の「福祉・衛生行政統計年報」(16年度)によると、23区内の生活保護世帯数は――。
@足立…1万8820
A江戸川…1万5383
B板橋…1万4198
C大田…1万3561
D練馬…1万3106
東京都の生活保護世帯は総数23万2042世帯あって、ここまでが上位5区部。
総世帯数に占める割合では、山谷がある台東区、足立区、荒川区の順で多かった。
どうやって、生活保護者が狙い撃ちされているのか?
「簡単に言うと生活保護費のピンハネです。
ホームレスを簡易住宅に入れて生活保護を受けさせ、家賃としてその大部分をかすめ取ってしまう。
背後には暴力団がいて、暴力団排除条例の施行でシノギが厳しくなったため、資金源のひとつにされているという見方もあります。
定期的に安定した収入を得られますからね」(門倉貴史氏)
■簡易宿泊所は暴力団の資金源に
ホームレスには家がない。
住所不定では生活保護の申請が認定されにくい。
これに目を付けた暴力団ら悪徳業者がボランティアを装って近づき、簡易住宅を提供して生活保護を申請させる。
行政の審査が通ってしまえば、生活保護費の大半は悪徳業者の“取り分”という構図だ。
家賃のほかに、光熱費、管理費、運営費などが次々加算され、10万円ちょっとある保護費のうち手元に残るのは2万円ほど。
部屋はベニヤ板で仕切られた3畳スペース……。
むごい話ではないか。
暴力団の手先たちがホームレスを探し歩き、足立区や江戸川区の簡易宿泊所に入れている可能性もあるということだ。
貧困ビジネスはコレだけじゃない。
門倉貴史氏は、前出の著書の中で、礼金・敷金ゼロのゼロゼロ物件をはじめ、クレジットカードのショッピング枠を使って購入した商品のネットオークション出品、金に困った高齢者の麻薬の運び屋、臓器売買なども、その範疇だと指摘する。
貧困ビジネスの闇は深い。
悪魔だーーーっ
私も「悪魔」だと思います。
福祉の貧困が このような悲劇を生んでいると思うと悲しくなります。