2018年05月20日

日本は「欠陥ある民主主義国」

メディア時評
日本は「欠陥ある民主主義国」
毎日新聞2018年5月3日 東京朝刊

江上能義・早稲田大名誉教授

 森友学園への国有地売却問題と加計学園の獣医学部新設問題を巡り、国会では1年も空転が続いている。
他にも審議すべき重要課題があるだろう、うんざりだ、という声も聞かれる。
だが、これだけ時間をかけても、真相が明らかになるどころか、疑惑は深まる一方である。

その根源は政府の隠蔽(いんぺい)体質と、国権の最高機関である国会の軽視にある。
 公文書を勝手に書き換えたり、記録文書の事実を自分の都合が悪ければ、平気で否定したりする官僚たちの言動は目に余る。
一方、国会では佐川宣寿・前国税庁長官の証人喚問が行われたが、「刑事訴追の恐れがある」として証言拒否を繰り返した。これでは何のための証人喚問なのかわからず、真相究明が進まない大きな理由の一つとなっている。

喚問直後の各紙の世論調査からみても、佐川氏証言や安倍晋三首相の説明に国民が納得していないことは明白だ。

 国会は主権者である国民を代表して行政をチェックする役割を十分に果たせなくなっている。
国会議員たちは危機感を持っているのか。
 毎日新聞の世論調査によると「安倍首相に責任がある」が64%、安倍首相は自民党総裁を「代わった方がよい」が59%(4月23日朝刊)と、どんなに隠そうとしても、安倍首相に最大の責任があることを国民は十分、認識している。

 議会政治の基本原理の一つは、行政監督権の確立を通じて、行政の全てが議会に対して公開され、その責任者は不信任あるいは弾劾などの批判に従うことである。
この原理に照らしても、安倍政権の強権的な隠蔽体質が議会政治を機能不全に陥らせ、我が国の民主主義を危機に追いこんでいることが明らかである。

 国民の知る権利は民主主義の生命線であり、隠蔽体質は民主主義を腐食させ、死滅させる。
メディアは基本原理に立ち返って、安倍政権の反民主主義的な体質をもっと検証すべきである。
ちなみに英誌「エコノミスト」調査部門の民主主義指数によれば、日本は2015年度から「欠陥ある民主主義国」に転落している。
(西部本社発行紙面を基に論評)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ポチダッシュ^^
Posted by みゆきん at 2018年05月20日 17:11
はい、通過確認しました。
これからもよろしく。
Posted by 小だぬき at 2018年05月20日 21:43
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