2018年06月13日

「勝てるはずの新潟」で野党が敗れた深刻理由

「勝てるはずの新潟」で
  野党が敗れた深刻理由
前回の知事選よりも有利だったが…
2018年06月12日 東洋経済

安積 明子 : ジャーナリスト

6月10日に投開票された新潟県知事選は、自民党と公明党が支持した元海上保安庁次長の花角英世氏が54万6670票を獲得して当選した。
野党5党などが推薦した前県議の池田千賀子氏が獲得したのは50万9568票で、その差は3万7102票。
投票率は58.25%で、非自民党候補が当選した前回の選挙を5.2ポイント上回っている。

注目度の高かった選挙での敗退はまさしく野党にとっては「痛い」結果となった。
その敗因とは何なのだろか。

優勢と考えていた野党側に「緩み」
まず気になるのは野党側に「緩み」があったのではないかという点だ。
筆者が入手した国民民主党による5月26日・27日の調査結果では、池田氏が43.9に対して花角氏が33.7で、池田氏が10ポイントもリードしていた。
一方で自民党が5月19日・20日に行った調査では花角氏が43.3に対し池田氏が38.1、5月26日・27日の調査では花角氏が44.0に対して池田氏が41.5と接戦状態だった。

実際にはどうだったのか。
選挙戦の最中に日本共産党関係者に聞いてみたところ、「うちの感触は自公支持候補がややリードの接戦。池田候補が大きくリードしていると見ていない」とのことだった。
しかし、終盤になって池田氏が猛撃することが予想された。
というのも、2016年の知事選では当初、自民党と公明党が推薦した森民夫候補がリードしていたが、最終盤になって共産党や自由党、社民党などが推薦した米山隆一候補が競り勝った経緯があるからだ。

ただしこの時は、連合新潟は原発再稼働に反対した米山氏に反発し、森氏を支援した。
当初、連合を支持母体とした民進党は静観を決め込んだが、米山氏が有利と見るや、党内での求心力を回復したい蓮舫代表(当時)が新潟入りして応援するなど野党による支援体制は弱かった。
それに対し、今回は連合新潟が池田氏を推薦し、立憲民主党や国民民主党もこれに倣っている。
いわば野党にとって、枠組みの上では前回の知事選よりも有利な条件が整っていたわけだ。

しかし政策の上ではそうではなかった。
野党側は争点を失った
花角氏は原発政策は米山前知事の路線を継承することを宣言。
自民党や公明党の推薦を断り、政党色を薄めるスタンスで臨んだ。
党側は争点を失い、中央からの応援弁士が訴えるのは森友学園問題や加計学園問題が多くなった。
これが有権者にとって、池田氏の「新潟のことは新潟で決める」というキャッチコピーと乖離を感じさせたのではないか。

さらに闘い方の差があった。
自民党は二階俊博幹事長の指揮の下で、地元の建設業者などを中心に大規模で綿密なローラー作戦を展開。

公明党は国政の代理戦争化を嫌ったとして一時は自主投票を決めたが、もともと花角氏と関係が深く、全力投入している。
このような徹底した「地上戦」は、野党が真似できるものではなかった。
花角氏の「副知事」などの経歴は市議3期・県議1期の池田氏より全県的に浸透しやすかったともいえる。

動員力は池田陣営の方が上だったが…
しかしながら動員力は池田陣営の方が上で、投開票日の10日夜に配信された選挙対策事務所の様子は、池田陣営の方が華やいで見えた。
自民党による調査では最終盤で花角氏が7ポイントリードしていたにもかかわらず、午後8時を過ぎてもなかなか当確の判断がつかなかったのは、こうした事情からだ。
花角陣営が「地上戦」に力を入れる一方、「空中戦」が手薄に見えた理由のひとつに、「応援すれば当選する」と言われる小泉進次郎衆議院議員が新潟に入らなかったことが挙げられる。
これには知事選告示日の前日に、反原発の講演のために新潟入りしていた父・小泉純一郎元首相が池田氏と面会しエールを送ったため、「親子分裂と言われるのを避けたのではないか」と言われた。

また官邸に批判的な進次郎氏が、新潟入りを拒否したとも囁かれた。
真相は不明だが、「選挙の人気者」が応援することなしに勝てたことで自信を深めたのは二階幹事長だろう。

花角氏は二階氏が運輸相時代に秘書官
今回の知事選を仕切っていたのは二階幹事長である。
花角氏は二階幹事長が運輸相時代に秘書官を務めている。
二階幹事長にとっては、かつての部下のためにも絶対に負けられない選挙といえた。
しかし二階幹事長にとってより重要なのは、9月の総裁選以降での党人事への影響だろう。

総裁選ではいまのところ有力な対抗馬がいない以上、安倍晋三首相の3選は確実とみられるが、二階幹事長の続投はどうか。
選挙に勝てない幹事長では、来年の統一地方選や参議院選では心もとない。

中野区で負ける以上、
新潟で負けられなかった
同日に行われた中野区長選では立憲民主党、国民民主党、自由党と社民党が推薦した元区職員の酒井直人氏が現職の田中大輔氏らを破って初当選。
区議補選でも当選したのは立憲民主党の杉山司氏だった。
もっとも現職を推す自民党の勝算は小さかった。

中野区を含む東京7区は立憲民主党の長妻昭政調会長のおひざ元であるうえ、衆議院選で自民党が最重点区として安倍首相や進次郎氏を応援に投入しても、なかなか勝てないという背景がある。
加えて自民党と公明党、維新が推した現職区長の田中大輔氏は、2002年に初当選した時には多選禁止を訴えて条例に規定を入れたが、前回の区長選で自らそれを削除。
これが区民の反発を招いた上、元都議の吉田康一郎候補が保守票を取り込んだために伸びなかったといえる。

よって中野区での勝利の見込みがなければ、当然新潟では負けられなかった。
さらにいえば、新潟県には世界最大の柏崎刈羽原発があり、その再稼働をめぐり国のエネルギー政策に大きな影響を及ぼす。
勝利のインパクトは新潟県知事選の方が大きい。
当選を果たした花角氏は今後2,3年かけて原発の安全性を検証した後、再稼働の是非を判断することを表明。
その場合は辞職・再出馬で県民の信を問うとしている。

こうした花角氏の主張に対し、永田町では「党本部に当選させてもらったわけだから、最終的には党本部の意向には逆らえないだろう」と見る向きも多い。
いずれにしろ花角氏の勝利で、安倍・二階体制はひとまず安泰といえるだろう。

内政には患いがなくなったように見える安倍首相だが、対外的には果たしてどうか。
6月12日に米朝首脳会談が行われ、極東アジアの外交安全が大きく変わろうとしているが、その波をうまく乗り切れるのか。政権としての正念場はまさにこれからだといえる。
posted by 小だぬき at 00:00| 神奈川 ☁| Comment(2) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
市民に不満があったんだよ、きっと
Posted by みゆきん at 2018年06月13日 16:28
地方行政と国政の課題は違うはずです。
野党が統一すれば勝てると 政策より数の論理に陥ってしまったのが 最大の敗因だと思います。
Posted by 小だぬき at 2018年06月13日 22:56
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

モッピー!お金がたまるポイントサイト