会社の理不尽との戦い方
コラムニスト石原壮一郎氏が伝授
2018年8月12日 日刊ゲンダイ
電通社員が過労自殺して以来、企業は働き方改革に力を入れている。
しかし、一部の専門職を労働時間の規制から外す高度プロフェッショナル制度が国会で成立。
高プロの適用拡大も問題になっていて、ブラック企業が野放しになりかねない。
実際、今もなお理不尽なトップや幹部、上司の振る舞いに悩まされている人は多くいる。
では、そんな会社の理不尽とどうやって闘えばいいか。
「9割の会社はバカ」(飛鳥新社 共著三矢晃子)の著者で、コラムニストの石原壮一郎氏に話を聞いた。
■ケース1 上司の意向を忖度し、グレーな行為に手を染めなければならなくなった
上司がひいきにする取引先にコンペでちょっと色をつけたり、競合先のエース社員に嫌がらせをしたり……。
指示を受けた人は嫌でも避けられないが、それがバレたら、誰が責任をとるのか。
「こうした不祥事が起きた場合、対外的に責任をとるのは代表取締役社長です。
現場の社員が解雇されるなど重い処分を受けるのは不当。
会社の中で味方をつけて話し合いをするか、社内外の組合に相談して、要望書を提出したりするといい」
■ケース2 本社の重役に過剰なおもてなし
本社の幹部が支社や支店をチェックに来る。
そんなとき、現場は事前に幹部が好きなお茶菓子を用意。
訪問の日は、手厚くもてなす。
正直、迷惑なのだが……。
「一番の“がん”が特定されている場合は、その上を説得するのが一番です。
人数を集めて、社長に相談するなりして、その人に退場を願います。
しかし、相手はそれなりの権力を持っています。
一人で闘うヒロイズム的なやり方はよくありません。
心ある仲間をなるべくたくさん集めて、一緒に動くのが穏当なやり方です」
■ケース3 サービス残業が当たり前、有休もとれない
サービス残業が横行したり、有給休暇を消化できなかったりする会社は少なくないだろう。
「昔の常識が今も通用すると多くの人が思っている職場は危険です。
訴えても聞き入れられない場合は、労働基準監督署に証拠を揃えて持っていきましょう。
守秘義務があるため、誰が通報したかは、会社側に知られません。
仮に社内で犯人捜しが始まってバレたとしても、それを理由に解雇や降格・減給などの処分を受けるのは違法です」
■ケース4 休日や深夜に仕事LINEが鳴りやまない
仕事でSNSを使う会社も増えているが、帰宅後や休日にも「あれどうなってる?」などと、いちいち連絡されてはたまらないだろう。
「相手には悪いことをしているという意識はないので、『夜中、結構目が覚めちゃうんですよね』『家族のことで忙しくてチェックできないんです』と、上司や周りに言いづらくても早めに指摘するのが肝心。
ため込んで怒りを爆発させると、思わぬ問題に発展しかねませんから。
こじれないうちに小出しに、冷静に伝えることが大切です」
社内外に味方をつけ、一人でストレスをためこまないことだ。